サワガニが捕れるのはどんな場所?食べてもおいしいサワガニの捕り方

作成:2019.08.19更新:2021.08.20

サワガニを捕るなら、まず沢を探そう!

突然ですが「沢」と聞いてどんなイメージをお持ちでしょうか?沢は山間にあるちょっとした谷を指し、水量がほとんどない細い川です。沢は支流となる川に繋がる水路ですので、山道の途中でも流れていることがあります。ただし、多くの沢は人間が気づかないほど小規模の場合があります。こうした沢では春から秋口にかけて、多くのサワガニが繁殖して活発に動き回っています。

このアクティビティの醍醐味はサワガニがいそうな沢を見つけていくことです。人気がなく、人為的な構造物がまったくない沢でサワガニを捕るのは心が踊ります。またサワガニが生息しているということは、その沢の水質が非常に良いことを裏づけてもいます。サワガニは水質の良い水辺でしか生息できないので、沢を含む近辺の川やその辺りの自然環境が相対的に良いと推測できるでしょう。

しかしながら、サワガニは中流域の清流にも生息しています。それにも関わらず、筆者が沢でサワガニを捕ることにこだわるのは、山から流れてくる純度の高い水の中にいたサワガニは臭みが無くて美味しく食べられるからです(美味しい食べ方については後述します)。その上、サワガニが数多く見つかるポイントは小・中規模の川よりも沢に多く、一度にごっそりと捕れるチャンスがあるためです。次章ではサワガニが捕れる場所やコツ、道具について詳しく解説します。

サワガニのいるポイントの見つけ方

より多くのサワガニを捕るためには、ごっそりと溜まっている沢を見つける必要があります。サワガニ捕りにおいて一番難しい点ではありますが、ポイントとなる沢さえ見つけられればそこが行きつけの沢になります。サワガニが捕れる沢はある程度決まっており、サワガニは一定の範囲内で活動しているからです。ですから、一度サワガニが生息している沢を見つけられれば、コンスタントに毎年サワガニ捕りが楽しめるようになります。加えて夏の時期はサワガニの産卵シーズンとも重なり、産卵したての小さいサイズのサワガニも多く見かけるので水辺の様子は注視したいです。

問題はサワガニがいそうな沢を見つけるのに多少の苦労を要することです。「本当に水が流れているのか?」と疑いたくなるほど水が少なく、木や草が生い茂っている場所に沢があったりします。見つけ方のコツは、沢は最終的に川に繋がっているので、山から川にかけて流れ出る「流れ込み」を探すことです(渓流のような川にチョロチョロと流れ込みがある)。流れ込みになる山中にこそ沢が流れていて、上に登るほどチョロチョロと水が流れています。一目ではとても沢だとは判断できないので、良く観察をして沢探しをしましょう。それから沢をもっと多く見つけるコツがあります。それは川縁を歩いたり、時には入水しながら上流・下流域を移動し、流れ込みとなる沢を見つけることです。手つかずの沢を見つけられれば、サワガニの数、サイズ共に期待できますよ。

サワガニが潜んでいるポイントは、身を隠せるところ

サワガニの潜むポイントは身を隠せそうなところです。これは実にシンプルで、大きな岩や小さな小石、落ち葉の影、沢の流れによって形成されたエグれなど、とにかく身を隠せそうなポイントにいます。かつ、サワガニが好むエサが近くにいそうなポイントであると理想的です。サワガニは石にへばりついているコケや幼虫、ミミズなどの小さな昆虫などを捕食しています。身を隠せそうな岩石と幼虫などが生息していそうな湿った土があると、サワガニが近くに生息している確率が高いです。

サワガニは夜行性の生物なので、活発にエサを捕食するのは日が完全に落ちた後になります。このような時間帯に沢に入るのは、人間側の安全が脅かされるのでおすすめしません。日中でこそ警戒心が強く、身を隠しているサワガニですが、捕り方次第では十分捕れます。以下では、具体的なサワガニの捕り方について一連の流れをまとめました。

  1. サワガニを見つけるために、目ぼしいポイントを探す
  2. いそうなポイントを見つけたら障害物を移動する
  3. 障害物を移動した隙間に、サワガニも驚いて水中から飛び出てくる
  4. 「ササッ」と飛び出てくるので、集中してサワガニの姿を追う
  5. 見つけたら進路を遮るように片方の手でサワガニの行く手を塞ぎ、もう片方の手で甲羅を素早く掴む
  6. 掴んだ後のサワガニはハサミで暴れるので、用意したバケツに即座に入れる

サワガニの外見は2-4cm程度の大きさで、黒褐色や赤みを帯びた体色をしています。体色に関しては生育環境によっても違いがあるので、全国共通とは言えません。されど、黒褐色系のサワガニは岩や腐った葉っぱなどの色と見間違えてしまいがちです。

特にサワガニを見つけるのが難しいと感じるのは、障害物を横に移動した時に沈殿していた砂泥によって水がコーヒー色に濁る瞬間です。どうしても体色と水中の色が似ていることから、サワガニの判別が遅くなります。最悪の場合、見分けがつかない間にサワガニが逃げてしまうこともあります。対処法としては障害物を移動した後に水面の様子を伺ってみましょう。水面がモゾモゾと動いたら高確率でサワガニの可能性があります。サワガニのシルエットや動きが読めるようになると、早く捕まえられるようになりますよ。

サワガニ捕りに必要な道具

夏の時期におけるサワガニ捕りは春から初夏にかけて産卵をした大型の個体が多く、いろいろなサイズのサワガニがいる傾向にあります。サイズを選んで捕れるので楽しいですが、夏の沢には注意しないといけない危険もあります。筆者が主に危険と感じた点、また困った点は以下になります。

  • ヘビが足元や手元にいる場合がある
  • 沢を進むにつれて蜘蛛の巣が体にまとわりつく
  • 蚊やブヨが非常に多く、刺されると痒くてサワガニ捕りに集中できない
  • 足場が悪く転落する
  • 岩を持ち上げた際などに、手元を怪我する場合がある

上記で紹介した事例は実際に筆者が経験したことを元に紹介しています。沢には山のきれいな水が流れサワガニとの出会いもあり、自然の豊かさに気づける一方で、気をつけないと大惨事に繋がるリスクも内在しています。ヘビの種類もアオダイショウのような無毒なヘビなら良いですが、マムシやヤマカカシなどの猛毒を持ったヘビもいます。加えて、沢を移動する際に頭上の木と木の間には蜘蛛の巣が張り巡らされていて髪の毛や顔面にまとわりつくこともあります。

ちょっとでも油断をすると取り返しのつかない大けがにも発展するので、改めてサワガニ捕りをする際に必要な道具をチェックしておきましょう。

長袖・長ズボン

長袖・長ズボンを着用すると、涼しい沢に入っていても暑く感じます。しかし、半袖・半ズボンで沢に入ると虫に刺されたり、転倒による外傷を負ったりするリスクがあるため、長袖・長ズボンの着用を強くおすすめします。肌を露出しないことで虫刺されによるかゆみや傷を作らずに済みます。

長靴

沢の水深は深くてせいぜい20cmほどです。ですのでアウトドア用のサンダルで入水もできますが、足元の虫やヘビを避けるのであれば長靴をおすすめします。機動性と快適性は落ちてしまいますが、確実な安全を確保できます。

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帽子

一般的に沢は木々に囲われているので日射が差し込むエリアは少ないです。帽子が必要になるのは蜘蛛の巣を避けたり、首元周辺の虫刺されを防ぐためです。帽子の種類はつばが360度ついた、顔や首回りをガードしてくれるハットが最適です。

上記の写真は筆者ですが、当時はキャップ型の帽子を被っていました。まさに実体験から学んだことではありますが、首元や頭のサイドを守れないので蜘蛛の巣が首元にベッタリとついて嫌な思いをしたことがあります。

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虫除けスプレー

山に生息する蚊やブヨは通常のサイズより一回り大きい傾向があります。蚊の場合は一時的なかゆみで治りますが、ブヨに関しては1週間から1ヶ月ほど刺された箇所が腫れてしまい、強いかゆみに襲われます。あらかじめ虫に刺されるのを防ぐため、肌が露出しそうな箇所にスプレーを振りかけておきましょう。

この虫除けスプレーは今まで使ってきたもののなかでも最も強力で、顔に振るのは避けたほうがいいかもしれません。というのも、唇に少しついただけで若干の麻痺をしたくらい強力だからです。使う場合は唇を隠し、目をしっかり閉じるかサングラスをして、遠くから少量かけるようにしています。強力な分、しっかり虫を寄せつけないため、かなり愛用しているグッズの一つです。

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軍手

サワガニを捕るためには岩や小石、落ち葉をひっくり返します。この際に軍手を用意しておくと手の外傷が防げ、万が一、落ち葉の下などにいたヘビに噛まれても浅い傷ですみます。とりわけ沢にある岩石は鋭利な形状をしているため、素手で触ると指先を傷つけやすいです。

また、サワガニのハサミは小さいですが、大きいサイズのサワガニの場合、ハサミで指を挟まれると痛いです。サワガニを見つけた時に思い切り掴めるようにするためにも軍手を装着しましょう。

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サワガニを最高に美味しく食べるには素揚げが一番

沢に生息しているようなサワガニは水質の状態が良く、あまり泥を吸っていないため美味しくいただけます。サワガニはシンプルに素揚げにして、お好みで塩やレモンをかけて食べると絶品です。そしてビールや日本酒ともよく合うので、居酒屋や割烹料理屋などでは人気メニューの一つです。汗をかきながら頑張って捕ったサワガニを、酒と共に食べるのは幸せなひと時です。あまり食卓に並ぶ食材ではないため市販で購入するのは難しく、自力で捕らないと食べられないので自給自足をしている気持ちにもなりますよ。

筆者は1cm前後のサイズのサワガニはリリースして、なるべく次代の繁殖を保護できるように意識しています。そのため食べるのは2-4cmの大人サイズのサワガニだけにしています。大人サイズは食べ応えもあって食べるのにベストな状態です。

ここでは簡単に作れて、かつ、お酒にもバッチリと合うサワガニの素揚げについて調理方法を紹介します。

用意するもの

サワガニ 捕れた分だけ
適量。サワガニの身が完全に油に浸かるほどの量
味つけに使用
レモン(お好みで) 酸味が効いたサッパリした味わいに

サワガニの素揚げの作り方

  1. 泥が気になる人はサワガニを一晩水につけて、泥を十分に吐かせましょう。時間の経過と共に水が泥っぽくなることがあるので、その場合は水をかえるとよりきれいな状態で食べられます。
  2. 水を入れたボウルにサワガニを入れて、体表に汚れやゴミがないか確認します。
  3. 鍋に油を適量注ぎ加熱します。油から泡が出てきたタイミングで、サワガニの水分をキッチンペーパーで取ってから入れましょう。一瞬にして激しい音を立てて、上に浮いてきます。10秒程度で甲羅が真っ赤になるのも特徴的です。
  4. 寄生虫が体内にいる可能性もあるので、最低でも5分ほどは揚げましょう。7-9分ほど揚げると十分に火が通った状態になります。
  5. キッチンペーパーを敷いた皿に盛りつけて、塩とレモンをお好みでふりかけて完成です!カリッとした食感が楽しめ、ビールなどと合わせると最高です。

サワガニの調理は簡単で、十分に加熱した油にサワガニを入れて、こんがり揚がるのを待つだけです。生きたままサワガニを入れるので複雑な気持ちにはなりますが、捕ったばかりのサワガニは鮮度も高く香ばしい味がします。サワガニを用いた他の料理には、片栗粉をまぶして作る唐揚げや味噌汁もあります。一口サイズでパクッと食べられるので、食が進みますよ。

夏の沢に入ってサワガニ捕りを堪能してみよう

今回はきれいな水が流れる沢で、サワガニを捕る方法について紹介しました。基本的にサワガニは春から秋にかけて捕れますが、夏の時期の沢は気温も低いので涼を捕りながら楽しめます。肌の露出しやすい足元や腕などは虫やヘビに噛まれないように注意したいです。準備道具は必須ですが、ついつい夢中になってしまう面白さがあります。捕れたてのサワガニは油でカリッと揚げると、塩味と絶妙にマッチングして絶品です。

夏の長期休暇などを利用して仲間や家族と沢を登りながら、サワガニ捕りにトライしてみてはいかがでしょうか。きっと良い夏の思い出になりますよ。

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