ニジマスを湖で釣る!一度は出逢いたい美鱒レイクレインボーの魅力と攻略とは?
作成:2023.02.28更新:2023.04.17
目次
湖のニジマスはなぜ難しいのか?
前回はニジマスは習性を考察してルアーで釣る!そのキャスティングテクニックとは?(河川編)を掲載いたしました。先にご覧いただくとニジマスの基本習性がわかります。今回は湖・ダム湖(止水域)編です。皆さんは湖でニジマスを釣ったことはありますでしょうか?私はレイクトラウトの記録は63㎝です。アベレージは30~40㎝ぐらいです。年間約50尾ほどでここ数年では一番釣っているトラウトです。湖の人気ターゲットとしては外来種のブラウントラウト、レイクトラウトなどは多くのアングラーが狙うトラウトですね。
ネイティブトラウトのサクラマスやアメマスも湖のルアーフィッシングの魅力の一つです。その中でもニジマスは釣ることが難しいとされている湖が多いですね。私が良くいく支笏湖ではシコニジと呼ばれ憧れのトラウトになっています。なぜ湖のニジマスは釣るのが難しいのか河川のニジマスとの違いはあるのでしょうか?その謎を紐ほどいていきます。あなたもBIGレイクレインボーに近づくはずです。
レイクフィッシングで評価が高いニジマス
レイクレインボーの実釣経験があるアングラーであればその魅力はご承知と思います。他のトラウトや魚種と違う魅力がニジマスにはあります。ニジマスの特性であるトルクパワーそしてスピード、それに加わる警戒能力、学習能力の高さ。これがニジマスをターゲットとする難しさであり楽しさです。バラさずキャッチした時の喜びは他のトラウトでは味わえない達成感も魅力の一つでしょう。そして何よりも魚体の美しさ。綺麗な婚姻色は七色の虹(レインボー)に例えられ世界共通でレインボートラウト(虹鱒)と呼ばれています。この強さと美しさを体感したことの無いアングラーは是非チャレンジしていただきたいと思います。
川と湖でニジマスの生態の違い
では河川のニジマスと湖のニジマスに違いはなんでしょうか?外来種という意味ではブラウントラウトやレイクトラウトなどと同じように感じます。日本に養殖魚として輸入されていたニジマスの歴史は他の外来種とは比べ物にならないほど長く、英名のレインボートラウトであまり呼ばれず。虹鱒(ニジマス)という和名が定着しています。そんなニジマスですが川と湖ではやはり生態が違います。大きく分けて2つ。1つは育つ環境の違い。もう一つは止水域での警戒・学習能力です。
ニジマスにとって湖とは?
トラウト全般に言えることですが基本的に川で生まれて海に降りて成長して川に遡上して産卵する。このネイティブな本能行動は変わりありません。では湖(止水域)のトラウトはどうなのでしょうか。自然の湖と人工物のダム湖では同じ止水域でもトラウトの行動が異なります。
自然湖のトラウトたち
日本には約240の自然湖沼(こしょう)があります。どのぐらい魚が生息しているかは不明でほとんどの湖沼は流れ込むインレット河川と流れ出ているアウトレット河川があります。そのインレット河川の上流は源流となりトラウトの遡上、産卵場となっています。アウトレット河川を降ると海へとつながっていて降海するトラウトもいます。
北海道の網走湖はサケが遡上する珍しい湖ですが遡上した鮭は網走湖で産卵するのではなく網走湖は素通りしてインレット河川からさらに上の源流へ遡上して産卵します。自然湖の場合はトラウトの降海と遡上の途中にあるため降海時は海に降りる前の成長する場所、遡上時は源流へ遡上する最後の休憩地場所となるのです。このトラウトの本能行動を考えると海へ降海できる湖の場合は降海時期と遡上時期によってトラウトの釣り方が変わります。
ダム湖のトラウトたち
一方、人工物であるダム湖の場合です。元々は河川があった場所に人の飲料水や農業用水、水力発電、河川氾濫防止などのために作り出された人造湖です。その数は大小含めて約700を超えます。自然湖の約3倍の数のダム湖を人間が造ったいうことです。すごい数ですね本当に必要なのかはさておき。すべてではありませんがダム湖にもが多くのトラウトたちが生息しています。河川を堰き止めてダムを建設するわけですので必ずインレット河川があります。この河川のネイティブトラウトがダム湖で生きている場合やダム湖より上流の生態系を守るためや観光目的でダム湖へ放流している場合があります。
しかしダム湖のアウトレット河川はダム堤体で遮断しています。一時的な放水はあるので下流へ流れ出ることはあっても海からの遡上はできません。トラウトにとってはダム湖が海なのです。インレット河川は遡上して産卵する場所で変わりませんが海という大海原を知らずほぼ一生をダム湖を回遊して過ごしています。そのためダム湖のトラウトは季節と気温などによって生態が変化しやすいのです。自然湖でもアウトレット河川が堰き止められている場合はダム湖のトラウトと同じような生態になります。
止水域ならではの警戒能力と学習能力
以前河川でのニジマスの考察をした際にニジマスは警戒能力と学習能力が高いと掲載しました。河川は絶えず水が流れる音がしていてベイトは上流から下流に流れてきます。湖はどうでしょう。ある程度水流はありますが川のような大きな流れはありません。風が出ると波のザバッっという音がありますが無風の場合は湖面も鏡状態で静寂ということも少なくありません。警戒能力の高いニジマスにとって湖は人の存在を知るには非常に適した環境なんです。湖畔を人が歩く音や水の中の音はニジマスにほとんど聞こえていると言っていいでしょう。
難しい湖のニジマスを攻略する
湖のニジマスの習性は河川とは異なります。特に警戒能力と学習能力です。これを理解すると湖でのニジマスに出会える確率が一気に上がります。ではご紹介します。この内容を頭の片隅において釣行してください。
ニジマスの警戒能力
私の経験上、ニジマスは色の判別が得意と感じています。それに音、振動。最後に水温にも敏感です。以下に注意しましょう。
派手な色のフィッシングウエアはNG
できるだけナチュラルカラーに統一してください。止水域で特に風の無い湖が凪いで鏡面しているときはニジマスからアングラーは見えています。できるだけ後ろの背景にカモフラージュできるカラーにします。
ルアーのカラーにも注意
ファーストキャストはバイトする確率が一番高いのですがニジマスが一気に警戒するのも一投目なので注意が必要です。軽いナチュラルカラー→重いチャートカラーといったカラーチェンジが必要です
湖畔を歩くときに音を立てない
湖畔に下りる際やポイントまで歩くときは低姿勢で音を立てずに歩きましょう。見えないようにするのはほとんど皆無なのでできるだけ警戒心を取り除くということを心掛けます。特に砂利の上を歩くときや水辺を歩くときの音はできるだけ静かにします。ルアーの着水音にも気を付けましょう。
振動に気を付ける
荷物や道具はもちろん、自分が腰掛けたり足を置く時にドンっ!としない。大きな音は出なくとも振動は水に伝わってすぐ逃げます。ルアーの動きも振動となりますのであまり派手な動きは要注意です。
ニジマスが好きな水温がある
一番敏感かもしれません。一般的にニジマスが10~15℃といわれているようですが私の経験では生息している湖によってニジマスが好む水温が違う。しかも同じ湖でも場所によっても好む温度が変わると考えています。
ニジマスの警戒能力を利用して釣る
これだけ警戒心が強いニジマスですが湖ではフライマンが良く釣り上げています。やはりナチュラル(自然)な釣りが一番効果的ということでしょうか?まずこの警戒能力についてルアーフィッシングでは心掛けることがあります。では詳しくご説明いたします。
ナチュラルを心掛ける
服装やルアーカラーはもちろん人とルアーの動きをできるだけナチュラル(自然)にすることを心掛けましょう。
カラーについて
服装
基本的にナチュラルカラーをチョイスする。蛍光色はNGですが意外と黒(ブラック)も避けた方がいいです。黒い動物(クマ)と勘違いされるからです。春夏ならグリーン系、秋冬ならブラウン・グレー系です。湖側から湖岸側を見ると合わせる色がわかります。木(ブラウン・グリーン)が多いのか、岩(グレー)が多いのか。秋の紅葉時期はオレンジ・レッド系が保護色だったりします。冬で雪がある場合はホワイトも保護色になります。
ルアー
これが一番難しいチョイスです。時期、時間、タイミングでカラーが変わります。今まで分析したカラーを見やすく表にまとめてみました。各湖で捕食するベイトによって変わります。ワカサギがいる場合はシルバー系がおすすねです。川エビやヒメマス、ウグイの稚魚の場合は赤金、オレンジがおすすめです。
春 | 初夏 | 秋 | 冬 | |
夜明け~早朝 | シルバー・チャート・アワビ | シルバー・赤金・アワビ | シルバー・レッド | 赤金、オレンジ、チャート・アワビ |
日中 | 赤金・チャート | ブラック・シルバー | ブラック・シルバー・レッド | 赤金・オレンジ |
夕マズメ | 赤金・シルバー | ブラック・シルバー・赤金 | シルバー・レッド | 赤金・オレンジ |
ライン
意外と盲点なのがラインのカラーです。水に透過しやすいナイロンやフロロを使用している場合は問題がありませんがPCラインの場合はニジマスから完全に見切られています。でもリーダーを長く取ることで若干回避できます。重要なのはPEラインのカラーを何にするか?太さは0.6~0.8程度が望ましいのです。PEラインのカラーは種類が少なく派手なカラーが多いので注意が必要です。一番無難なカラーはグリーンです、次にグレー、イエロー、ホワイトと続きます。ニジマスは目がいいのでたまにラインにアタックしてきます。
動きについて
アングラーの動き
できるだけ気配を消すことが重要になります。河川は水が流れていますが湖は動いているものが非常に少ないため風や波がなければ動いているものは魚、虫、鳥、人となります。ニジマスは目がいいので大きさで人と認識するでしょう。生息する動物でクマや鹿などがいれば鹿は草食なので警戒されづらいので鹿と思わせるのもいいと思います。派手に動かず声を出さないことです。ウエーディングすることで水面から出ている部分が少なくなりますのでニジマスから見えにくくなる(小さく見える)効果があります。
湖岸でキャストする場合は背後にできるだけ大きな木が生えている前でキャストしましょう。ニジマスからは木に擬態しているように見えます。ついやってしまうのが大きな岩に上がって釣ることでニジマスからはアングラーは丸見えなんです。まず釣れません。
ルアーの動き
湖のニジマスは大きく分けて2種類います。ポイントに定位(居付き)している個体と回遊(クルージング)している個体です。サイズは定位している方は小~中型が多く、回遊しているほうは中~大型が多いです。ニジマスを狙う時はどちらを狙うかでルアーのチョイスや動きが違います。表にまとめてみました。
定位(居付き) | 回遊(クルージング) | |
タイミング・チャンス | 多い | 少ない |
個体サイズ | 小~中型 | 中~大型 |
ルアーウエイト | 3~10g | 5~12g |
ルアー動き | 大きい・派手目 | ナチュラル・少な目 |
アクション | ストップ&ゴー・ただ巻き | ただ巻き・ショアジギング |
ニジマスの学習能力
トラウトの中で一番賢く、体力と敏感さを持ち合わせているのがニジマスです。アングラーなら勝負したいですよね。
- 形状を認識:他のトラウトよりルアーの形状やカラーを認識・識別する能力が高いです。同じルアーをリーリングしている序盤に「チョン」「ツンツン」の反応があったあとは2回目のチェイスはほとんどありません。口でルアーを触ってエサではない、生き物ではないと学習してしまいます。
- 動きを認識:違うルアーでも同じスピード同じリーリング(ストップ&ゴー)などは見切られます。
- カラーを認識:ルアーフィッシングはカラーチェンジが基本ですが好まないカラーをチョイスすると反応しなくなります。
- 伝達する:上記の学習したことを他のニジマスに伝達する能力があると感じる時があります。間違いなく近くに他のニジマスがいるはずなので別のニジマスは反応するだろうと考えますがあれは偽物だ!注意しろ!と周りのニジマスに伝えたのか?と思う場面があるので注意が必要です。やはり難しい。
ニジマスの学習能力を利用して釣る
ニジマスの学習能力に対しては人間の忍耐力と発想の転換が試されます。
ニジマスより人間が劣ると思わせる
ニジマスは賢いとお伝えしました。逆にその賢さを利用します。見切られてもキャストし続ける
スプーンやジグ、ミノーなど同じ形状をキャストしていると2~3投で見切られます。ルアーだとばれてるのに同じポイントに同じルアーで同じリーリングをし続けます。賢いニジマスが見ているなら絶対にイライラして威嚇してきます。その1回のチャンスを狙います。アングラーとしては心が折れそうになる20投目ぐらいに突然襲ってきますので油断しているとバレます。
伝達能力を利用する
一度バラすたり釣り上げた後はしばらくパッタリ釣れなくなります。特にバラした直後はアングラーの目の前でジャンプすることがあります。私の想像ですがあれ馬鹿にしてるんです。そしてそのジャンプの音で他のニジマスに教えているんです。ここにヘタクソなアングラーいるぞって。そうなったとき昔は場所を変えたりしばらく休憩したりしました。これも効果的なのですが私はここでも先ほどと同じくキャストし続けます。意外と効果的ですよ。でも20投超えたらルアーを変えるか休憩します。
ニジマスにバカにされよう!
湖でニジマスが釣れない。そんなアングラーに捧げます。『魚にバカにされるような釣り方をしよう。だって釣りはバカではできないから。』なぜこれに気が付いたかというと初心者を連れて行ったときに爆釣したのです。最初は素人は殺気がないからなぁっと勝手に決めつけてたのですが。私の場所と変わっても釣れたんです。理由は最初に教えた同じルアーで同じキャストしかしらないのでずっと続けていたからです。ニジマスは捕食だけではなく威嚇でもルアーを咥えます。まさかあえて威嚇だけを狙うアングラーがいるとは思っていないわけです。是非チャレンジしてみてください。それでも釣れない時は釣れません。これが釣りです奥が深いですね。次回は湖のニジマスを狙うルアーとタックルをご紹介します。