真夏のショアからのイシモチ釣りは、自作の簡単胴突き仕掛けをフルキャストして狙おう!

作成:2021.09.29更新:2021.09.29

突然ですが、イシモチは、不当に市場価値が低く設定されていると思います。身に水分が多いため柔らかく、鮮度が落ちやすいため、練り物のタネとしての利用法が安魚のイメージをつけてしまったのか(本来イシモチのかまぼこは練り物の中では高級品なのですが)、市場ではぞんざいに扱われていると感じます。同じく、クロダイも不当に評価が低いですね(スーパーの鮮魚コーナーではマダイの半額以下の価格です)。

本来イシモチは、釣ってよし、食べてよしのナイスガイだと思うのですが、市場にはあまり流通しておらず、たまにスーパーの鮮魚コーナーに並べられていても、小ぶりのものが多く、一匹200円もしないような非常な安価で売られています。昔は子供でもちょっと投げれば簡単に釣れた魚だったのですが、気のせいか、現在はオフショアでは簡単に釣れるものの、ショアから釣るのは難しくなってしまった気がします。私の釣り仲間の中には、「陸っぱりからのイシモチは幻の魚になってしまった」という者もいます。そこまでではないものの、昔のような、遠投すれば簡単に釣れるという感じではなくなってしまっているのは事実です。

夏のサーフの人気ターゲットと言えば昔も今もシロギスがNo.1ですが、実はイシモチ釣りはシロギス釣りとは趣が違い、パワフルでエキサイティングな真夏のサーフキャスト釣りです。そんな、ショアからのイシモチ釣りもまだまだ捨てたものではないということを声を大にして言いたく、イシモチの投げ釣りについて、徹底的に解説します。

イシモチの生態

実は、イシモチという名の魚は存在しません。正確には、スズキ目ニベ科の魚で、「シログチ」あるいは、近似種の「ニベ」を混同し、釣り人の間ではイシモチと呼ばれています。関東ではイシモチ、関西ではグチと呼ばれることが多いです。イシモチという呼称は、頭骨内にある、平衡感覚をつかさどる、大きな耳石(炭酸カルシウムの結晶)を持つことから、イシモチと呼ばれています。また、「グチ」とは、浮き袋を震わせてグーグー泣くこ様子が、愚痴をこぼしているように見えることから呼ばれています。ここでは、シログチ、ニベを区別せず、「イシモチ」と表記します。

イシモチは、本州東北以南から東シナ海まで普遍的に分布し、世界の暖海域に広く分布しています。水深10m~150m前後のやや沖合の砂泥底を好み、オフショアでは通年釣れます。ショアからの投げ釣りでイシモチを狙うには、初夏から秋までがおすすめです。梅雨の時期の前後、5月~9月頃まで、産卵のために沿岸の浅場にやってきます。最大60cm程度まで成長するといわれていますが、ショアからの投げ釣りで釣れるものは30cm以下のものが多いです。

ちなみに、「イシモチ」と名前につく魚はいくつかいますが、「オオスジイシモチ」や「マンジュウイシモチ」、「ツマグロイシモチ」、「アカヒレイシモチ」などはすべてテンジクダイ科の魚で、ニベ科の「イシモチ」とは全く別の種です。

シロギスは、清澄な水と泥質の少ない砂地を好むのに対し、イシモチは、泥質の多い砂泥底を好み、澄んだ水よりも濁りが入った水を好みます。イシモチは基本夜行性ですので、濁りが入っているときは日中でも釣れますが、穏やかで水が澄んでいるときは極端に難しくなります。食性は肉食性で、砂泥をついばんで、中にいる甲殻類、多毛類を食べているほか、小魚を捕食するフィッシュイーターでもあります。イシモチは数十匹単位で群れていることが多いため、投げ釣りでは、イシモチが溜まっているポイントをいかにして探し出すかが勝利のカギとなります。

イシモチの投げ釣りに必要なタックル

イシモチの投げ釣りに必要なタックルを紹介します。ここでは、ちょい投げタックルではなく、ショアから30cmの良型狙いのパワフルなタックルを前提に紹介して行きます。

ロッド

イシモチの投げ釣りに使用するロッドは、パワーのあるサーフキャストロッドを使用します。最低でも25号、状況により35号までのシンカーをフルキャストできるパワーが必要です。硬調のサーフキャストロッドで、4M以上のものを選びましょう。アタリは明確に出ますし、基本向こうアワセで、シビアなフッキングも不要なので、調子は不問です。飛距離重視で、自分の体力に合ったものを使いましょう。

リール

リールは大型のサーフキャストリールが良いでしょう。大口径・ロングストロークスプールのスピニングリールで、ラインは最低200m程度巻いておきましょう。

ライン

イシモチの投げ釣りに使うラインは、飛距離を求めるのであれば、PEラインの1.5号もしくは2号を使います。PEラインには、4本ブレイド品と8本ブレイド品がありますが、ライントラブルがより少ない8本ブレイド品をおすすめします。25mごとにラインのカラーが変わるものを選べば、おおよその飛距離がわかります。経済性を求めるなら、ナイロンラインの3号をメインラインに使います。

力糸(テーパーライン)

メインラインにPEラインを使う場合でも、ナイロンラインを使う場合でも、力糸が必要です。力糸とは、先端に向かって太くなっていくラインのことで、メインラインがキャストの衝撃で切れないようにするラインです。PE製力糸と、ナイロン製力糸があります。PE製力糸は、細くても強度があり、飛距離も感度も犠牲にしませんが、1本1,000円以上します。ナイロン製力糸は5本で1,000円ほどですので非常に経済的ですが、先端は非常に太くなりますので、飛距離の点で不利になります。それでも、ナイロン製力糸をおすすめします。理由は締結性とライントラブルの少なさです。

シンカー

シンカーは30号を基準に、25号〜35号まで用意しておきましょう。空力特性を考慮した弾丸シンカーがおすすめです。一般の軟鋼製シンカーよりも比重の大きいタングステン鋼製シンカーであれば、同じ重さでより小さくできますので、飛距離的には有利になりますが、非常に高価です。また、シンカーの頭部が木製または樹脂製の軽量パーツが組み合わされている、ウッドシンカーと呼ばれる細長いシンカーは、水中でラインを張った際にシンカーを立てることができ、感度の点で非常に有利に働きますが、飛距離は若干落ちます。

ターゲットのサイズにもよりますが、30cm程度のイシモチを想定するのであれば、丸セイゴ針の12号〜14号程度が良いでしょう。ハリスはフロロカーボンの1.5号もしくは2号を使い、イシモチの強い引きに備えます。

三脚

サーフで投げ釣りするなら絶対に欠かせません。その他の場所で投げ釣りをする場合も三脚はあるに越したことはありません。キャストして狙ったポイントに仕掛けを送り込むことができたら、三脚にロッドを立て掛け、置き竿でアタリを待つスタイルになります。サーフの砂の上などに誤って直置きしようものなら、リールに砂を噛んで故障の原因となります。必ず三脚を使用しましょう。尚、三脚の脚の付け根の部分には、下向きにフックがついていますが、ここに水を入れた水くみバケツを掛けて重石にします。三脚が風で倒れないようにするためのフックです。必ず重石になる物を掛けましょう。

イシモチの投げ釣り仕掛けは自作しよう

イシモチの投げ釣り仕掛けは、シンカーをつけた天秤の先に仕掛けを取り付ける、いわゆる吹き流し仕掛けが一般的ですが、ピンポイントでイシモチを狙うなら、船釣りと同じように、シンカーが仕掛けの先端についた胴突き仕掛けを使うことをおすすめします。理由は、胴突き仕掛けのほうが感度が良いことと、餌が水中に浮いている方が向こう合わせの状態になりやすいからです。また、幹糸が底砂に触れて擦れることが少ない胴突仕掛けは、面倒な砂ずり(天秤の先につける、ラインを2本撚りにして根ズレに対する補強をした部分)を作る必要もありません。仕掛けは市販のものでも全く問題ありませんが、折角ですので、安価に胴突き仕掛けを自作してはいかがですか?

簡単!イシモチ用胴突き投げ仕掛けの作り方

イシモチ用胴突き仕掛けの作り方は簡単です。トリプルサルカンを針の数と、幹糸(高切れ防止の為強いもの、ナイロン4号、またはフロロカーボン3号)、捨て糸(仕掛けの最先端、下の針とシンカーを結ぶラインで、幹糸より強度を落とす)を用意します。捨て糸は、胴突き仕掛けの先端にあるシンカーが根に絡まってしまった時に、強度の弱い捨て糸が切れるようにセッティングし、根掛りによる損失を最低限(シンカー)にとどめる事を目的とします。幹糸より強度を落とします。ナイロン2号〜3号を50cmほど用意します。幹糸は、30cmほどの長さのものを、2本針仕掛けの場合は1本、3本針仕掛けの場合は2本用意し、トリプルサルカンを予め結んでおきます。

針は丸セイゴの12号〜14号程度が良いでしょう。ハリスはフロロカーボン1.5号が使いやすいですが、ハリス付きの針を購入するのが、わざわざ針にはリスを結ぶ手間がかからず良いでしょう。イシモチは最初は突くようにして餌を味見し、問題ないと判断したら食いつく習性があるので、十分食い込ませてからフッキングさせます。

イシモチの投げ釣りのエサ

イシモチの投げ釣りに使用するエサは、虫エサもしくは魚の切り身を使います。虫エサであればベストはイワイソメ(本虫)です。なるべく太いものを使いましょう。青イソメでも釣れますが、強烈な匂いを放つイワイソメのアピール力が優ります。魚の切り身を使う場合は、サバをおすすめします。皮付きのサバを塩締めして水分をある程度抜けば適度に身が締まり、針持ちが良くなります。ただしやり過ぎると硬くなってしまい、食い込み性が悪くなりますので注意が必要です。1cm×5cm程度のサイズに切り、皮目から針を刺し、身側に抜いて、再度身側から皮目に針先を抜くように指します。短冊のタラシ部分は半分くらいの長さまで縦にハサミを入れておけば、水中でひらひら動き、アピール力が高まります。

投げイシモチ、狙いのポイント

イシモチを投げ釣りで狙う際は、如何に群れを見つけられるかにかかっています。イシモチは基本夜行性なので、夜釣りでは比較的簡単に釣れるのですが、日中は、荒天が去ったあとなど、濁りが入った日でないと厳しいという面はありますが、それでもいくつかポイントがありますので説明します。

サーフではヨブに仕掛けを置くのが基本

ヨブとは、波の力で海底にできる凸凹のうち、凹んでいる部分です。ここにはプランクトンが溜まり、小型のベイトフィッシュが寄りやすく、イシモチも捕食にやってきます。仕掛けをキャストし、ゆっくり引いたときに、少し重くなるところがありますが、そこがヨブにシンカーが乗り上げている状態です。更に引き、ヨブの頂点を越えると再び仕掛けが軽くなります。ヨブの下り坂にシンカーがある状態です。さらに仕掛けを引くとまた重くなりはじめるところがありますので、そこで仕掛けを止め、ラインを張り、ロッドを三脚に立て掛けてアタリを待ちます。

河口付近

河口は河川から豊富な栄養分を湛えた水が大量に流れ込み、プランクトンが豊富に湧いており、それを捕食する甲殻類や小魚が集まります。また、河口と海の接続部は、船舶の通行や複雑な水流で底が複雑にえぐれていて、駆け上がりができやすく、また周辺に離岸流ができやすいなど、周囲とは異なる地形が形成されやすいため、様々な魚が海と河川の間を出入りしています。河口の両岸から沖に向かいフルキャストして丁寧に探ると良いでしょう。

周囲より水温の高いポイントはチャンス

イシモチは高水温に強く、他の魚の活性が下がってしまうような高水温でも活性は下がりません。逆に低水温時は活性が極端に下がります。朝晩の冷え込みが厳しくなり始める晩秋などは、周囲より水温が高い場所でイシモチが入れ喰いになることがあります。サーフではなかなかそういうポイントを探すのは難しいですが、岸壁などからイシモチを狙う場合は、例えば工場の設備冷却などで使用する冷却水の温排水が流れ込むような場所はチャンスです。

最も大量に、安定した温度の排水が海に流れ込むのは、ゴミ処理施設及び火力発電所周辺です。ゴミ処理施設や火力発電所の周辺は温水があちこちから排出されていますので、こういった場所では、イシモチやクロダイなど、高水温に強い魚が大量に居付き、周囲より餌も豊富で成長も早いため、サイズの大きな個体が多いのも特徴です。岸壁に立地する工場や施設から温排水が流入している場所は思いの外多いので、調べてみることをおすすめします。昔と違って、有毒物質を含んだ排水を垂れ流している工場はないので、その点はあまり気にする必要はありません。

イシモチ釣りに早アワセは禁物!

イシモチの摂餌行動は、前の項でも書いた通り、最初はエサをつつくようにして、安全かどうか確認し、安全だと判断した後、ガッチリと食いつく習性がありますので。前アタリがあっても決してアワセてはいけません。がまんに我慢を重ね、勝手に針掛かりしてくれるのを待った方が賢明です。さらに、一匹針掛かりしても仕掛けを回収せず、シロギス釣りの時のように追い食いさせて連掛けさせることも可能です。イシモチはかなり引きの強い魚ですので、連掛けともなるとなかなかのパワーを必要とする、エキサイティングな釣りです。くれぐれもアセらず、じっくり待って、満を持してフッキングさせましょう。

イシモチは練り物の原料だけではない。上品な白身が美味な魚!

イシモチは、身に水分を多く含んでいるため、傷みが早いため、スーパーの店頭などに並ぶことは少なく、加工用として練り物のタネに使われることの多い魚ですが、実は上品な甘みのある白身は、大変美味です。イシモチがたくさん釣れたら、ぜひ手作りかまぼこにも挑戦してみてください!

塩焼き

イシモチの身の柔らかさと甘みを最も堪能できるのは、やはり塩焼きでしょう。ウロコを完全に取り、エラと内臓を抜いたら、体表及び腹の中に薄く塩を振り、塩が馴染むまで30分程度置きます。その後、背びれ、尾びれなど、各ひれに化粧塩を厚めに塗り、グリルで焼きます。皮から脂が出て、非常に香ばしい香りがするまで弱火でじっくり焼きます。シンプル・イズ・ベストの味わいです。

煮つけ

臭みの少ないイシモチは煮つけにも向いています。水、酒、みりん、しょうゆ、砂糖、ショウガで味を整えて煮つけます。お好みでネギやゴボウを一緒に煮ても良いでしょう。イシモチは水分が多い魚なので、煮崩れしやすいため、落し蓋を必ず使い、裏返しにはせず、沸騰した煮汁をかけながら、両面に良く火を通しましょう。

刺身

大型のイシモチが釣れたら、刺身でいただきましょう。3枚におろし、血合いをよく洗い流し、皮を引き、薄切りにします。程よく脂の乗った個体は脂の甘味を感じる事ができ、非常に美味です。

炙り皮霜造り

大型のイシモチは、炙り皮霜造りをぜひお試しください。鱗を完全に取り、皮を引かず大ぶりに切り、氷水に晒すと、皮目が縮んで反り返るようになります。皮目を上からバーナーで炙ると、皮からうまみを湛えた脂がじんわり出て来て、素晴らしい味わいになります。皮のうまさはアマダイに似た素晴らしい味です。

かまぼこ

イシモチが大量に釣れたら、ぜひ挑戦していただきたいのがかまぼこです。皮を引き、小骨を完全に取り去った身を集め、塩、みりん、卵白を加え、素材の温度を上げないように(温度が上がってしまうとタネが黒っぽくなってしまいます)フードプロセッサーまたはすり鉢で良くすりつぶし、タネをさらに冷やした後成形し(かまぼこ板は使っても使わなくても可)、15~20分程度蒸して完成です。ポイントは、完全にすりつぶされていること、蒸す前のタネの温度を上げないこと、卵白の量です(卵白の量が少なすぎると食感が硬くパサついた感じになります)。この3点さえ気をつければ、難しくありません。非常においしい手作りかまぼこが作れます。

見かけによらずなかなかのファイターだ!

夏のショアからの投げ釣りのターゲットと言えば、スマートなイメージのシロギス釣りが一番人気でしょうが、イシモチ釣りは無骨に、強いタックルでパワフルな釣りを楽しめるターゲットです。似たような場所に生息するにもかかわらず、シロギスとイシモチの好む条件は全く異なります。同時にたくさん釣れることは少ないでしょうが、シロギスの魚体の美しさを愛でるのと同様、イシモチの豪快なファイトを楽しむのも良いですね。かまぼこの材料を自分で調達して、自作のおつまみで一杯やるのは最高です!

この記事を書いた人

初心者歴40余年!
ショアおやじ

 メジナ、クロダイ、アイナメ、カサゴ、メバル、カワハギ、シロギス、イシモチ、カレイ、ハゼ…ベラ、フグ、ヒイラギw、フカセ釣り、投げ釣り、穴釣り、江ノ島周辺(湘南大堤防、表磯、裏磯、片瀬漁港)、福浦岸壁、大磯サーフ、逗子・葉山界隈、城ヶ島(神奈川県)

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