フカセ釣りの釣果を左右する重要なパーツ、ガン玉の機能と付け方について解説します!

作成:2023.08.22更新:2023.08.22

ガン玉はフカセ釣りにおいて釣果を左右する超重要なパーツ。サイズごとに分けて潤沢にストックしておこう。

ガン玉やジンタン、割りビシ、カミツブシなど、仕掛けの浮力を調整するための小型のオモリ、適当な位置につけたり、適当な重さのものを何も考えずにつけていて、とりあえずウキが自立すればいいやと思っていませんか? 私も若い頃はそう思っていました。特にボトム付近を狙うことが多いフカセ釣りにおいては、エサ盗りが多い表層・中層をかわすために、仕掛けをできるだけ早く沈め、エサを底層付近に送り届けようと浮力の高いロング棒ウキに中通しオモリの2号などの重いオモリをつけ、一気に沈めていました。

しかし、そんな乱暴なメソッドでは釣果が安定するはずもなく、ボウズ5回にラッキーヒット1回といった感じの戦績でした。現在は、フカセ釣りの理論研究が進み、様々なオカルト理論に基づく怪しい釣法が罷り通っていた昭和~平成前半頃までの時代からは想像できないほど、フカセ釣りの理論は確立し、その理に適った釣法と、それをサポートするためのツール・パーツが各社からリリースされています。

今回は、現在主流となっているフカセ釣り理論に基づき、フカセ釣法におけるキーパーツと言っても過言ではない「ガン玉/ジンタン」について、その役割と使い方を説明して行きます

ガン玉? ジンタン? 割りビシ? カミツブシ?

左・ナツメ錘3号、中上はガン玉6B、中下はガン玉4B、右上は割りビシ大々、右下は割りビシ中。

そもそも、釣りに使うオモリにはどんなものがあるのでしょうか? ここでは、フカセ釣りに使うオモリについて説明しますので、投げ釣りや船釣りなどに使う大型のオモリは割愛し、仕掛けの制御に使う小型のオモリについて説明します。

フカセ釣りに使うオモリには、「ウキの浮力と仕掛けの沈降をつり合わせ、ウキを自立させるためのもの」と、「ハリスの動きを制御して、エサを狙ったターゲットの泳層へ違和感なく送り届けるためのもの」があります。具体的に言うと、ウキに記載されている浮力が「2号」とあれば、2号のオモリをつけるとウキの浮力とオモリの重量が釣り合い、ウキが安定します。これが前者の役割です。

上の写真の左のオモリは、中通し式の「銀杏型オモリ(ナツメ型オモリ)」というもので、ロング棒ウキを使い深場を狙う遠投フカセ釣りや穴釣りなどに使います。

写真中央の丸いオモリがガン玉と呼ばれ、大きめのものはウキの浮力調整に、小さめのものはハリスに打ってエサの沈むスピードを調整するために使います。ガン玉と同じ形状で、ガン玉よりもサイズが小さいものがジンタンで、ハリスの中心や針のチモトのすぐ上につけてエサの沈みを微調整するためのものです。

写真右の米粒形状のオモリが「割りビシ」もしくは「カミツブシ(噛んで潰すから)」と呼ばれるオモリです。この割りビシは、ガン玉やジンタンよりも比重が低い材料を使っているため、同じサイズの場合、ガン玉よりもやや重量は軽くなります。

規格は全く統一されていない

ガン玉、ジンタン、割りビシとも、製造メーカーごとに独自の規格を運用して発展してきました。そのため、それぞれのオモリのサイズ・重量に関する規格はバラバラで一貫性が全くありません。これが、微妙な重量調整を必要とするフカセ師の大きな悩みのタネになっていることは間違いありません。これは業界団体が協力して何とかしていただきたいところではありますが、ここまで規格が乱立し、定着してしまった現在においては難しいのかも知れませんね。

ガン玉の規格

ガン玉の規格は、「B」から「6B」までの規格があり、「B」から「2B」「3B」・・・と数字が増えて行くごとに重くなります。

  • B:0.55g
  • 2B:0.80g
  • 3B:1.00g
  • 4B:1.25g
  • 5B:1.75g
  • 6B:2.20g

これを見ていただければお分かりかと思いますが、「B」を2個つけても「2B」にはならないのです。「B」から「2B」は+0.25gなのに、「2B」から「3B」は+0.2g、「3B」から「4B」は+0.25g、「4B」から「5B」は+0.5gなのです。これを頭の中に入れるのは大変ですね。私はスマートフォンの中に換算ができるアプリを入れています。

ジンタンの規格

ガン玉よりも小さく、より細やかな重量制御が求められるフカセ釣りにおいて、ハリスの沈みをコントロールするためのジンタンは、ガン玉とは逆に、数字が増えて行くと、重量が軽くなって行きます(混乱しますよね)。

  • G8(8号):0.07g
  • G7(7号):0.09g
  • G6(6号):0.12g
  • G5(5号):0.17g
  • G4(4号):0.20g
  • G3(3号):0.25g
  • G2(2号):0.35g
  • G1(1号):0.45g

ジンタンの場合も、号数と重量の間に相関性がありません。こちらについても、換算アプリで都度計算するのが賢明ですね。

割りビシの規格

割りビシの規格はもっとわかりづらく、号数表示がありません。フカセ釣りのシーンでは非常に使いづらいアイテムと言えるでしょう。私は淡水釣りのウキの浮力調整でしか使いません。

  • 極小:0.20g
  • 小小:0.25g
  • 小:0.40g
  • 中:0.75g
  • 大:0.90g
  • 大大:1.35g
  • 特大:2.10g

割りビシはサイズごとの重量差が大きく、細かい重量調整が難しいため、フカセ釣りのシーンではほとんど使われませんが、古い時代に販売されていた棒ウキや電気ウキなどには、「錘負荷 大大」などと、割りビシの規格で書かれているものも残っています。

その他のオモリの規格

カワハギ投げ釣りの胴突き仕掛けに使用するシンカー

これまで紹介した、主にフカセ釣りの仕掛けの重量を絶妙にコントロールする超小型のオモリ以外のオモリのついては、形状や用途、材質を問わず、号数と重さの相関がほぼとれていると言って良いでしょう。「1号=3.75g」。これだけ覚えておけば大丈夫です。すなわち、ちょい投げ釣り用のナス型オモリ10号なら37.5g、サーフキャスト用の弾丸シンカー25号であれば93.75g、オフショア用の胴突きオモリ100号であれば375gと言った感じです。

ガン玉の機能と打ち方

ここからは、ウキフカセ釣りにおけるガン玉、ジンタンの機能と打ち方について解説して行きます。

使用するウキの与浮力と同じ重量のガン玉をウキの下に打つ

まずは基本のキ。中通し式の円錐ウキを使用する場合でも、棒ウキを使う場合でも、ウキ本体に記載されているガン玉を1個使います。ガン玉を打つ場所は、円錐ウキの場合は、ウキの直下に取り付ける潮受けパーツの下、道糸とハリスの結び目のすぐ上(締結にサルカンを使う場合は道糸側のサルカンの直上)に打ちます。棒ウキを使う場合もガン玉を打つ場所は同じです。棒ウキの場合は、からまん棒を使いますので、からまん棒の下、道糸とハリスの結び目の上に打ちます。

ウキの浮力と同じ重量のガン玉を使うことで、ウキの喫水線(水中に入っている部分と水上に出ている部分の境目のライン)が正しい位置に来て、最もウキとして安定した状態になります。この状態で、ウキが潮の流れに乗って、仕掛けを目的の場所まで素早く送り込むことが可能となります。ウキが仕掛けを運ぶのは主に水平方向なのですが、垂直方向に仕掛けを運ぶのがそれ以外のパーツ、すなわち潮受けパーツであり、ガン玉であり、ハリスであり、ハリであると言えます。

こうして調整された仕掛けでも、表層付近で餌盗りに餌を取られてしまい釣りにならない場合があります。そんなときは、ハリスの中間付近にやや大きめのガン玉を1個打ち、餌盗りが溜まっているレンジを素早くクリヤーし、ターゲットがいるレンジまで刺し餌を送り込んでやります。これがハリスに打つガン玉の機能のひとつです。しかしこれだけでは、餌盗りが溜まっている層を避けることは可能ですが、その先、本命魚にアプローチするための仕掛けの馴染み調整には、小さなジンタンを段打ちしたり、さらに細かい工夫が必要になります。

ジンタンの機能と打ち方

フカセ釣りのパーツの中で、その使い方が最も難しいのはジンタンだと思います。理由は、「使わなければならない」パーツではなく、ターゲットの魚の活性や生息するタナ、水温、波の状況、潮回りなど、いろんな条件を総合的に判断し、ジンタンを使う/使わない、使う場合はどの程度の重さにするか? 針のチモトに1個打てばいいのか、ハリス全体に2~3個段打ちしなければならないのか? など、正解がないからです。

仮にジンタンをあるパターンで打った際に釣果がてきめんに上がり、これが正解だと思っても、正解だったのはその一瞬だけで、30分もすればそのパターンでは釣れなくなってしまうというようなシロモノなのです。そのため、釣りをしている間、のべつ幕なし、ジンタンを打ったり外したり、位置を変えたりしながら当たりパターンを探し続けなければならないのです。

現代のフカセ釣り理論において、最も確からしいことは、「コマセと刺し餌の同期」であると言われています。コマセを投入すると、潮の流れに乗って流されながら、ゆっくり沈降して行きます。この沈降スピードに合わせ、最終的にターゲットの魚がコマセに含まれているオキアミの粒を捕食するタイミングで、コマセに紛れ込んでいる刺し餌を食わせなければなりません。

この時、自然に流れるコマセの沈降スピードよりも刺し餌の沈降スピードが速かったり遅かったりすると、タナがあっていたとしても魚が違和感を抱き、刺し餌だけを避け、我が物顔でコマセだけを捕食されるということになってしまします。

・・・と、言うは易しですが、実際は海中の様子が見えるわけでもなく、コマセの中に刺し餌を紛れ込ませるのは至難の業であり、きちんと同期ができているのかを確認する方法も皆無と言えます(最近は水中にカメラを投入して観察する動画などもあるようですが)。そのため、ジンタンの打ち方に関するメソッドはまだまだ発展途上と言っても良いのかもしれません。

ガン玉、ジンタンを打つ際に頭に入れておくべきこと

ウキの挙動を安定させるためのオモリとは別に、仕掛けを馴染ませるためにハリスに打つガン玉、ジンタンの使い方には正解はないと前項で書きましたが、いくつかのセオリーがあります。この項では、ガン玉、ジンタンを使う場合に意識すべきことについて説明します。

まずはウキの浮力とガン玉のサイズを合わせる

これは当然と言えば当然ですね。海が穏やかで、仕掛けのなじみが良い場合はこの仕掛けで問題ありません。特にメジナ狙いの時に、コマセが効いていてターゲットが表層に浮いてきている場合はこのまま攻めます。ウキをもっと浮力の小さいものに変えて、それに合わせてガン玉も小さいものにすれば、より自然に仕掛けを流すことができます。

段打ちする場合は上から下に向かってサイズを小さくする

ガン玉やジンタンの段打ちは、下に重いものは打たない。

海が荒れていて刺し餌が沈んでいかなかったり、刺し餌が浮き上がってきてしまい仕掛けが馴染まないときは、ハリスにガン玉を打ったり、ジンタンを1~3個段打ちしたりしますが、その場合は同サイズのジンタンを打つか、仕掛けの下部に行くほど小さなものを打つようにします。下に上より重いガン玉やジンタンを打ってしまうと、自然に流れるハリスを演出できず、ハリスの真ん中のジンタンだけが潮の影響を強く受け、不自然にハリスが膨らんでしまいます。

ハリスが3m程度と長い場合は、ハリスを馴染ませるのも一苦労となることが多いでしょう。そんな時は、ジンタンを針のチモトの上、ハリスの中間点に2個打ったり、場合によっては等間隔に3個打つこともあるでしょう。ジンタンの個数や打つ間隔は、実際にハリスが着水した後どのような挙動で沈んで行くか見極めながら何度も何度も微調整して行きます。この作業は非常に地味ですが重要な作業です。この作業がうまくハマった時は、これまでのシブチンは何だったんだと思うほど、突然爆釣モードになったりします。

毎投毎に個数と位置を確認する

ガン玉にしろジンタンにしろ、ハリスを挟んて古亭されているだけなので、着水、沈下、回収を繰り返すとすぐに位置がズレたり、場合によっては外れて失くなったりします。そのため、打ったガン玉やジンタンが、正しい場所にキチンとついているか、外れて失くなっていないか、仕掛けを回収するたびに確認しましょう。緩んで位置が変わってしまった場合は正しい位置に戻し、改めて歯で噛んだりプライヤーを使ってハリスに打ち直しましょう。

ガン玉・ジンタンの使い方は正解が常に変わり続ける超難解なパズル!

城ヶ島の捨て石堤防。穴釣りやフカセ釣りの好ポイント。

フカセ釣りにおけるガン玉・ジンタンの使い方は非常に難しいです。波、風、潮の流れる強さ、方向、ターゲットがいるタナ、餌盗りがいるレンジなど、あらゆる情報を読み取り、コマセと刺し餌を同じ挙動で流し、ターゲットがいるレンジまで沈んだコマセの中に紛れさせ、魚に刺し餌を食わせなければなりません。

現場で試行錯誤を繰り返しながら、ようやく見つけた当たりパターンも、刻一刻と変わる状況に、常に修正を余儀なくされる、言ってみれば、正解が変わり続けるパズルのようなものです。

ガン玉・ジンタンの基本的な使い方は一応頭に入れておき、あとは場数を踏み、自分なりの必勝パターンを見つけていただくしかありませんね。斯く言う私も、よくわかっておらず、手当たり次第に試行錯誤を繰り返しているだけなのですが。

この記事を書いた人

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初心者歴40余年!
ショアおやじ

 メジナ、クロダイ、アイナメ、カサゴ、メバル、カワハギ、シロギス、イシモチ、カレイ、ハゼ…ベラ、フグ、ヒイラギw、フカセ釣り、投げ釣り、穴釣り、江ノ島周辺(湘南大堤防、表磯、裏磯、片瀬漁港)、福浦岸壁、大磯サーフ、逗子・葉山界隈、城ヶ島(神奈川県)


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