ウキをより浮力の大きいものに変更すると、仕掛けをより重くできますので、確実に沈ませることが可能となります。具体的には、通常0号を使っているところを2Bにするとか、Bを使っているところを3Bにするとか、波や風が大変強い時は1号を使用することも考えられます。本来はポイントの水深によってウキの浮力を使い分けるのですが、仕掛けが沈まないタフコンディションの時は、ウキの浮力を大きくして、ガン玉やジンタンを適切に打ち、仕掛けの重量を重くすることで解決します。
円錐ウキの場合、本来のウキの喫水線(色分けされている部分が喫水線)よりも沈めて、水面ぎりぎりのところでウキ全体が沈んでいる状態にすると仕掛けが馴染んで行くことがあります。ハリスに小さなジンタンを2~3個段打ちし、ウキのトップを水面直下まで沈めてしまいましょう。この場合、大き目のガン玉の1個使うより、小さなジンタンを、ガン玉1個分と同じ程度の重さになる数を一定ピッチでハリスに段打ちする方が仕掛けの自然な沈降を演出しやすいため、ターゲットに違和感を抱かせにくいです。
風が強くて仕掛けが沈まないときに特に有効なのが、道糸をワンサイズ細くすることです。針は金属であり、ハリスに海水より比重の大きいフロロカーボンを使っていれば、理論的には仕掛けは沈みます。しかし、水面に出ている道糸が風の力で引っ張られたりすると仕掛けは沈みません。そんな時は、道糸をワンサイズ細くして、道糸が受ける風の抵抗を軽減させてやるとうまく沈んで行くことがあります。
この方法は私が強風や高い波で苦戦しているときに苦肉の策で使ったり、クロダイ狙いの時に使う技なのですが、フロロカーボンラインを巻いたスプールを一つ用意しておきます。フロロカーボンラインの比重は1.7~1.8程度と重いので、フロロカーボンラインに変更すれば、ナイロンラインでは沈まない場合でも沈めやすいです。根ズレに強いというメリットもあります。フロロカーボンを道糸として使う場合は、8lb(2号)~10lb(2.5号)を使います。ただし、ラインの性質上、ほとんど伸びず、風合いも硬いので、大アワセした際に魚をはじいてしまったり、馴染みがイマイチ悪かったりといったデメリットもあります。
ここでいうポイント移動は、荷物をまとめて全く別のポイントへ移動するということではありません。今いる場所から前後左右数mという、非常に近い距離の移動です。潮は風、干満、気圧、海中の地形、海中の障害物などにより複雑に流れがぶつかり合っています。こういった小さな潮のぶつかり合いによる流れの変化があちこちで起こっています。特に複雑な地形の磯などでは、10mも移動すれば全く潮の流れが異なることも少なくありません。コマセを空打ちして沈降する様子をよく観察するなどして、現状を打開できるポイントを探しましょう。意外なほど近い場所に、全く異なった、釣りやすい潮流になっているところが必ずあるはずです。
永年通い詰め、水深、水中の地形などを熟知しているような場合ならいざ知らず、殆どの場合は、現地入りしてから自分の釣り座を決めるはずです。もともと狙っていたポイントに先客がいて入れなかったとか、狙っていたポイントよりもよさそうな場所があったなど、予定通りの場所で釣りが始められることの方が稀だと思います。そのため、事前に計画していたタックルがベストの選択ではない場合も当然出てきます。風が予想より強い場合、波が高い場合、はメインラインを細くしたり、浮力の高いウキにして仕掛けを重くしたり、コマセの配合や水分量を調整し、比重をやや高めに設定するなどの対策をしますし、ベタ凪であればウキの浮力をそぎ落とし、00号や0号など、食い込み時に抵抗を与えない、浮力の小さいウキを使い、ガン玉やジンタンを使わず、自然に刺し餌を流す軽量仕掛けに仕立てたりします。釣りをしている最中も、状況は刻一刻と変わります。風の強さや向き、潮位、潮の流れる向きやスピードなど、一瞬と言えども同じコンディションの時間はありません。
そんな中、漫然と同じ仕掛けを一日使い続けているようであれば、狙っているターゲットを釣り上げることは難しいでしょう。運よく良型の本命魚が釣れたからといって、その仕掛けのセッティングのままもう一匹、もう二匹と数を上げて行くことも難しいでしょう。「釣りは短気な人間ほど向いている」と言われることがあります。釣れない状況に我慢が出来ず、仕掛けをいじったり、ポイントを変えてみたり、エサのつけ方を変えてみたり、あれこれと現状打破のための工夫をするからだと言われます。何も工夫せず、同じ仕掛けで、同じポイントで気長にタコ粘りというやり方では釣果は上がって行きません。
あれこれ仕掛けをチューニングする余地を残しておくためにも、できるだけたくさんのフカセ釣り用タックル(最低限ウキ、道糸、ハリス、針)を準備し、状況に応じて変幻自在に仕掛けを作り直せるフットワークを身につけることが上達への一歩です。
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