超小型お手軽スピニングリールのMR 750に1000番が追加、機動力が大幅アップ!
ハゼ釣りや穴釣りなどの小物釣りを、思い立った時にすぐに始められる、超コンパクトスピニングリール、ダイワ・MR 750から、2021年4月、1000番が発売されました。非常にニッチな商品で、釣具店の店頭でもほとんど見ることがないリールではありますが、初心者のみならず、小物釣りを究めるアングラーにとっても、コンパクトながら塊感があり、ツールとしての造りはかなりしっかりしていて、価格以上の造形に驚かれるかも知れません。感度を要求されるテクニカルな釣りはさすがに厳しいですが、思いのほか使い勝手が良く、タックルケースやリュックに1個忍ばせておけば、いつでもどこでも釣りができます。
これまでのMR 750に、1000番が追加された狙いは何なのでしょうか? そのあたりも考慮しながら、MR 1000についてみて行きたいと思います。
MR 1000の基本スペック
ギア比は5.1、ハンドル1回転あたりの最大巻き上げ長さは64cmです。ドラグはダイワの現行のドラグ機構であるATD(オートマチックドラグシステム)ではなく、ひと世代前の機構ですが、最大釣力3kgのUTD(アルティメットトーナメントドラグ)が搭載されています。ラインキャパは、ナイロン1号で230m、1.5号で150mです。自重は175gです。メーカー希望小売価格6,000円という廉価な製品ながら、アルミスプールやアルミマシンカットハンドルが採用されていたりと、構造に抜かりはありません。
MR 750ではダメなのか?
MR 750と、MR 1000には、違いは殆どないと言って過言ではありません。サイズ感が僅かに違いますが、わざわざ新モデルを出すほどの違いではありません。しかし、決定的な違いがひとつだけあります。それはラインキャパです。MR 750のラインキャパは、ナイロン2号で60m、3号で30mとなっています。これは、MR 750が「穴釣り専用機」であることを意味します。
ナイロン1号のキャパをカタログ上記載しておらず、2号、3号で記載しているところより、このリールの想定シーンが穴釣りであることは間違いありません。このラインキャパでは、正直穴釣り以外は難しいでしょう。
しかし、超小型、軽量な上、大変廉価なモデルにもかかわらず、思いの外(失礼ながら!)、高級感のある造形と必要十分なドラグ性能をもつMR 750は、穴釣りファン以外からも支持され、ちょい投げなどのキャスティングにも使えるよう、ラインキャパの大きなスプールを搭載したモデルを求める声が多かったものと想像できます。恐らく、コロナ禍の影響も追い風になったのかも知れません。
ラインキャパを増やし、ちょい投げ釣りに対応できるモデルとして、MR 750の発売から2年の月日を経て、満を持してMR 1000を投入したと言うことになります。このモデルの投入には、コロナ禍ですっかり人々の行動様式が変わってしまった社会で、「新たな釣りビギナー層の獲得」という、ダイワのしたたかな戦略が見え隠れしています。
「コスパ」と言う言葉の意味をどう捉えるか?
MR 1000は、メーカー希望小売価格6,000円、MR 750はメーカー希望小売価格 5,500円です。ダイワでもシマノでもアブガルシアでも、定価を設定していない「オープン価格」機を除き、恐らくこれより安いモデルは見当たらないでしょう。リールの構造、回転体としての機能は最低限確保できています。滑らかな回転運動を支えるベアリングも、ローラーベアリング1個、ボールベアリング4個使われています。穴釣りにも、ちょい投げ釣りにも、必要にして十分な機能は持っています。
しかし、それ以外の見えないスペック(ギアの剛性や防水性能など)については殆ど特筆すべきテクノロジーは使われていないと思います。そこを割り切って、小型で軽量、かつアルミスプールとアルミマシンカットハンドルを奢った機種であるという部分に価値を見出し、いつでもどこでも連れ出して可愛がるなら、非常にコスパに優れた良いチョイスになると思います。
私がもしMR 1000を持つなら、ラインはフロロカーボンの10lb程度を巻き、穴釣り、ちょい投げ兼用機として、180cm程度の穴釣りロッドと共に、タックルケースに常備すると思います。基本、エサ釣り専用リールと思ったほうがいいでしょう。それ以外に、ジグヘッドを使ったアジングやプラッギングなど、感度を必要とするゲームフィッシングもしたいと思うなら、然るべきリールを選ぶべきです。
MR 1000の理想的な使い方
MR 1000は、初心者が初めて使うスピニングリールとしては、気兼ねなく使え、スピニングリールリールの構造や使い方を理解する、あるいはキャストの練習をするなどにはもってこいのモデルです。
実釣の場面ではもちろん、そのコンパクトさを活かした使い方をするのか理想ですが、ラインキャパがMR 750よりありますので、より幅広い使い方ができます。ちょい投げでハゼを釣っていて、リールを巻いているときにガツンと言うアタリがあり、何かと思ったら、セイゴやメッキなどのフィッシュイーターに獲物のハゼの頭から下を食われていた!なんて使い方が最高に楽しいですね!
ただし、これひとつで釣りに出かけるというのは、「今日は穴釣りしかやらない」あるいは「堤防で小物狙いのサビキ釣りオンリー」、「ちょい投げでハゼ100匹に挑戦」など、明確に目的を決め打ちした日でないと厳しいかもしれません。必ず予備のリールを準備して、臨機応変に立ち回れるようにしておきたいですね。往々にして、アングラーの思い通りに行かないのが釣りですから。