魚たちのマンション、堤防でのフカセ釣りのコツと注意点について解説します。

作成:2021.07.26更新:2021.08.20

初心者からベテランまで、様々な釣りが楽しめる堤防には、様々な魚が着きます。堤防が建設されているところは潮通しが大変よく、小魚たちのエサとなるプランクトンが豊富に生息しています。そして、プランクトンを捕食している小魚を狙う様々な魚がやって来ます。ショアからの釣りよりも水深があり、海底も複雑な形状をしているため、砂地あり藻場あり岩礁あり、場所によっては漁礁が沈められているところもあります。また、潮通しが良く、外洋に面した堤防では、回遊魚の接岸もあります。夏の回遊魚のシーズンになると、堤防は「お立ち台」に変貌し、ルアーマンやカゴ投げ師でごった返すこともあります。季節問わず、一年中様々な魚が釣れるのが堤防釣りです。もちろん、フカセ釣りも可能です。今回は、堤防でフカセ釣りをする場合のコツと注意すべきことについて説明していきます。

堤防の種類と特徴

ひとくちに堤防と言っても、その目的により様々なタイプがあり、住み着きやすい魚の種類なども異なります。ただし、魚が着きやすいのは全ての堤防に言えます。主な堤防のタイプと特徴について説明します。

傾斜堤

直径数メートルもの大きな捨て石やコンクリートブロックを海中に沈め、台形状に積み上げて成形したタイプの防波堤で、比較的水深が浅く、潮の流れや波の大きくない内湾によく見られる堤防です。こういうタイプの堤防には捨て石の周りに根魚がつきやすく、穴釣りやぶっこみ釣りによるロックフィッシュ釣りに向いています。また、周囲に目立った根がなく、砂底が広がるような場所では投げ釣りによるシロギス、イシモチ、アナゴ、カレイ、ヒラメ、マゴチ釣りに向いています。

直立堤

外洋に面した大規模漁港などに多い防波堤で、断面が垂直方向に直立したタイプの堤防です。強固な地盤の上に大規模に建設されることが多く、長さ、幅ともに大きな堤防です。コンクリートブロック型、ケーソン型直立堤がありますが、ケーソン型直立堤のほうがさらに大規模の堤防が多いです。直立堤は防波効果が高く、外洋に面した荒れやすい場所に設置されることが多く、外洋からの第一防波堤の役目を果たす沖堤などは、大型回遊魚や大型クロダイ、メジナなどの好ポイントとなっています。

混成堤

傾斜堤の基礎部分、すなわち、台形状に成形された捨て石基礎の上に直立堤が形成されたタイプの防波堤で、傾斜堤と直立堤のメリットを併せ持つ、安定性の高い堤防で、魚も傾斜堤に着きやすい魚、直立堤に着きやすい魚の両方が住み着きやすい、釣りをするには最も向いた防波堤です。さらに、傾斜堤基礎の上、直立堤の根本部分に波消しブロック(テトラポッド)が沈められた混成堤は、防波堤としての機能が最も高く、さらに魚の種類、量ともに最も多く、あらゆる釣りができる理想の堤防となります。

堤防で可能なフカセ釣り

堤防はこのように、魚の隠れ家として、エサ場として、産卵場所として、さまざまな魚が居付き回遊魚が訪れる、魚たちのマンションともいうべき人工の施設です。海が穏やかな時は足場も良く、比較的安全に釣りを楽しむことが可能です。ただし、釣りが認められている堤防であることが大前提です。釣り師のために建設される堤防などというものは、海釣り施設や釣り桟橋と呼ばれる、有料の管理釣り場以外はほとんど存在せず、漁業や海運業、港湾保安関連等、他の目的で建設された堤防で、本来の用途としての使用の妨げにならない時間帯に限って釣りを黙認してもらっているだけであり、決して釣り師を歓迎しているわけではないことをまずは肝に銘じましょう。立ち入り禁止を破って不法侵入するなどは言語道断で、釣り師の風上にも置けません。

さて、堤防でのフカセ釣りのメインターゲットとしては、やはりクロダイとメジナになるでしょう。特にクロダイ釣りがおすすめです。直立型の大規模堤防では、垂直に立つ壁際にびっしりとムラサキイガイ(カラス貝)が付いていることが多く、また、カニやエビなどの甲殻類もついているため、それらを捕食するクロダイが数多く居付いています。真夏の日中は、落とし込み釣りがメインの釣法となりますが、フカセ釣りはシーズン問わず、堤防でのクロダイ釣りに向いています。堤防でのフカセ釣りはクロダイ、メジナ以外にもゲストが豊富で、カワハギ、マダイ、シマダイ、ウミタナゴ、アジ、サバ、ワカシ、ソウダガツオ、セイゴ、シマイサキ、メバル、カサゴ、アイナメ、タカノハダイ、ベラ、アイゴ、フグなど、非常に多彩です。

堤防でフカセ釣りをする場合、地磯で行うフカセ釣りとは少し異なるタックルが必要になることがあります。堤防から水面までの高さが圧倒的に異なる場合が多く、ライディングが難しいケースが多々あることです。特に水面から足場までの高さが6m以上あると、玉網を当てることが難しく、強引にぶっこ抜かなければならない場面がほとんどとなります。そのため、地磯で水面までの高低差が少ない場所で行うフカセ釣りよりも、ややパワーのあるロッド、強度の大きいメインライン、ハリスを使用する必要があります。次の項で具体的なタックルについて説明して行きます。

堤防でのフカセ釣りに必要なタックル

ここからは、堤防でフカセ釣りを行う際のタックルについて説明して行きます。ターゲットは比較的堤防でも大物が釣れる可能性の高いクロダイ狙いの前提で進めて行きます。

ロッド

磯竿の5.4m程度の長めのものを使用します。号数は地磯でフカセ釣りを行う際のロッドよりも1サイズ大きい2~3号が使いやすいでしょう。堤防釣りの場合、水面まで距離のある場所が多く、ぶっこ抜きをしなければならない場面が多く、また、予期せぬ青物の誤爆なども頻繁に起こりますので、先調子の強めのロッドを使う方が、胴調子のチヌ竿を使うよりも楽に取り回しができるでしょう。

リール

スピニングリールの2500番~3000番を使います。ギアはパワーのあるノーマルギアが良いでしょう。水面まで距離があり、玉網を当てることが難しく、ぶっこ抜きをしなければならないケースがある場合は3000番、それ以下の距離であれば2500番で良いでしょう。ドラグ性能の良いものを選びましょう。

ライン

メインラインはナイロン2.5号〜3号を100m程度巻いておけば良いでしょう。青物がかかる可能性がある場合は、ナイロン4号を使い、誤爆に備えましょう。

堤防でのフカセ釣りは、水深がある程度ある場所での釣りが多いです。クロダイは基本、ボトムを探りながらの釣りとなりますので、必ずボトムをとって仕掛けを調整します。ウキの浮力よりも重いタナ取り錘を針に付け、ウキが沈んでしまえばウキ下が浅すぎ、ウキが立たなければ深すぎます。微調整を続け、ウキが正しく直立すれば正しくボトムが取れたことになります。潮の干満に応じて、都度タナ取りをしなおしながら、常に食わせエサがボトムぎりぎりのところにあるように調整します。

ウキ

視認性の良い、遊動式の棒ウキ仕掛けをおすすめします。もちろん、中通し式の円錐ウキでも出来ますが、堤防で多くの釣り人が竿を出しているときは自分の仕掛けがどれだか視認性が悪くなりますので、棒ウキの方が良いでしょう。

シンカー

錘はウキの浮力に合わせますが、あまり浮力が軽いものは、仕掛けが左右に流され、周りの釣り人に迷惑がかかりますので、左右に流すよりもボトムへ仕掛けを素早く送ることを重視し、ナツメ錘1.5号〜2号など、重めのシンカーを使う仕掛けの方が無難でしょう。

ハリス

堤防でのフカセ釣りの場合、フロロカーボンの1.5号もしくは1.75号を2m〜3m程度使います。海中での根ズレはあまり考えなくても良いですが、最もハリスを傷つけてしまうのは、仕掛けを回収する際に、堤防の壁に仕掛けが触れてしまうことです。ハリスの状態は常に目視及び指でハリスの表面を触ってチェックし、ささくれ立っていれば速やかに交換します。

針はターゲット及びサイズによりますが、クロダイ狙いであれば、チヌ針1号〜3号まで3サイズ持っていれば何とかなりますが、ウミタナゴやカワハギ、メジナなど、口の小さい魚が多いときは、小型のウミタナゴ針、丸セイゴ針などに交換できるように準備ができれば尚良いでしょう。

玉網・玉の柄

堤防でフカセ釣りをする場合、何はなくともこれがないと大物がかかったとき厳しいでしょう。特に青物がかかった場合はぶっこ抜きをするにもテクニックが要ります。玉の柄の長さは6mくらいまでありますが、安価なものは重くて一人で扱えなかったり、剛性が足りず、操作がやりにくいものが多いので、長い玉の柄を購入する際はそれなりに良いものを選びましょう。4m程度までのものなら、安価なものでも実用に耐えるものは多いです。

コマセ

堤防でのフカセ釣りにもコマセは必要ですが、気をつけなければいけないポイントがあります。それは、コマセの使用が禁止されている場所が意外と多いことです。釣り人がコマセを過剰に撒くため、内湾の漁港などは海底にコマセが大量に堆積・腐敗しヘドロになって水質悪化、土壌悪化の原因になっていることが少なくありません。また、こういう場所に居着いている魚は、主食が釣り人が撒くコマセであることも多く、栄養過多で食味が悪くなるなどの弊害も出ています。必ずしコマセの使用が禁止されていないか確認し、禁止されている場所では絶対にコマセを使ってはいけません。

堤防でのフカセ釣り、狙うべきポイント

堤防は、水面から上の部分を見ると、どこも同じような感じで、どういうところが狙い目なのかわかりにくいですが、ポイント探しはさほど難しくありません。基本は「先端」、「外面」、「変化点」です。

「先端」は、文字通り、堤防の先端のことです。ここは一番水深があり、外洋に近く、潮通し通いポイントとして、全ての釣りにあたってのベストポイントとなります。当然、場所の取り合いになり、なかなか入れないポイントではあります。

「外面」は、外洋にに向いている側が海底の地形に変化が多く、青物など回遊魚の接岸にも期待ができるポイントです。ただし、外洋に面した側は安全上釣りが禁止されているケースが多いので、必ず確認することが必要です(外洋に面した側が釣り禁止になるケースは漁港に多いです)。

「変化点」は、堤防の切れ目で、潮が堤防の表側から裏側へ貫通している場所や、堤防が枝分かれしている場所、堤防の構造や材質が異なっている場所(増築や補強工事が行われた場所に多い)などは、潮流れが変わり、プランクトンが溜まりやすい場所ができたり、水温が周囲より高かったり低かったり、周りとは違った環境が出来ているエリアには、思わぬ大物が潜んでいる可能性があります。

堤防でのフカセ釣りの注意点

堤防からフカセ釣りを行う場合、磯などで行う場合と違い、注意しなければならない点がいくつかありますので、周囲の釣り人とトラブルにならないよう、必ず守りましょう。

混雑しているときのフカセ釣りは最大限の注意を

フカセ釣りをする場合、コマセを撒き、コマセがどのように流れて行くかを見極め、コマセと食わせの同期を目指しますが、週末などは非常に混雑し、すぐ隣でサビキ釣りやちょい投げ釣り、ぶっこみ釣り、カゴ投げ釣り、ルアー釣りなど、別の釣りをしている人がたくさんいると思います。立錐の余地がないような混雑状況ではフカセ釣りは出来ません、日にちや時間を改めましょう。

荷物を広げすぎない

フカセ釣りは意外と荷物が多くなる釣りです。混雑していなくても、自分がベースを張った場所だからといって、荷物をドーンと広げるのは反則です。荷物はできる限りコンパクトにまとめ、例えば波が高くなってきたり大きな船舶が通過したり入港したりする場合にすぐに移動ができるようにしておくべきです。

コマセを使用する際は周囲の釣り師への配慮と後片付けを完璧に

フカセ釣りにはコマセが必須ですが、例えばヘチ釣りでクロダイを狙っている人のそばでコマセを撒くなどの行為は、謹んだほうが良いでしょう。コマセを撒くと、本命以外にも様々な魚を寄せてしまいます。お互いが相手を気遣い、トラブルにならないよう、大人の対応が求められます。

また、コマセを使ったら、必ず水で流し、完璧にキレイに掃除してから帰りましょう。掃除用のブラシを持っていれば、乾いてこびりついたコマセも落とせます。コマセを現場に残してしまうような釣り師はコマセ使用禁止です。

ファイトも最小限に

不意の大物がかかることのある、堤防でのフカセ釣りですが、最も頻度の高いのは、青物の誤爆です。青物は、針にかかると脱兎のごとく走り出し、メチャクチャに走ります。その時、周囲の人の仕掛けに自分の仕掛けが絡んでしまうと大変です。そのため、少しでも青物の動きを制圧するため、地磯でフカセ釣りを行うよりもひと回りパワーの強いタックルを使い、周囲に迷惑を掛けないよう、最小限のファイトで釣り上げたいです。また、善意で玉網を当ててくれる方がいたら、遠慮せずにお願いしましょう。アカの他人でも、目の前で大物がかかった人がいたら、ランディングを見たいに決まっています。無事ランディング出来たら、謝意の表明をお忘れなく!

堤防での釣りは安全と譲り合いの精神が第一!

堤防でのフカセ釣りについて、色々と書きましたが、残念なことに、最近は釣り師が締め出され、立入禁止とされてしまった堤防が大変増えています。遵法精神とマナーと安全に関しての意識が著しく低い、一部の心ない釣り師による傍若無人な振る舞いが原因です。安全のための柵を破り侵入し、挙句の果てに事故を起こして救助隊を出動させるなど、決してあってはなりません。

堤防は釣り人のためのものではありません。これは100%断言できます。釣りを楽しむ人すべてがルールを守り、関係者の業務の妨げにならず、安全に釣りを楽しむことに徹することができれば、これ以上、釣り師の貴重な遊び場が減ることはないと思っています。私も含め、ひとりひとりが、釣りをさせていただくという意識を高く持ち続け、楽しみたいですね!

この記事を書いた人

初心者歴40余年!
ショアおやじ

 メジナ、クロダイ、アイナメ、カサゴ、メバル、カワハギ、シロギス、イシモチ、カレイ、ハゼ…ベラ、フグ、ヒイラギw、ウキフカセ釣り、投げ釣り、穴釣り、江ノ島周辺(湘南大堤防、表磯、裏磯、片瀬漁港)、福浦岸壁、大磯サーフ、逗子・葉山界隈、城ヶ島(神奈川県)

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