価格もさることながらDAIWAの最新・最高技術を惜しみなく投入しスペック追及したシーバスロッドです。DAIWAの釣種ブランドではバスの『STEEZ』、エギングの『Emeraldas』、オフショアの『SALTIGA』などに負けないDAIWAの代表ブランドとして『morethan』は君臨しています。
さてmorethanはフラットフィッシュ用としても使用できますが基本的にシーバス専用ロッドです。サーフや港湾、河口などシーバスを狙うシチュエーションは奥が深くそして幅が広い。サーフでの遠投性や港湾での取り回しのしやすさや、河口でのウェーディングキャスト間などシチュエーションに合わせて様々な仕様のロッドが用意されています。
歴代のmorethanロッドシリーズは『EXPERT』と『BRANZINO』に分けられてそれぞれAGSガイドを利用したタイプが別に用意されておりEXPERT(専門)はその名の通り軽快性・感度・操作性・正確性を重視したランガンモデル。
BRANZINOはEXPERT+POWERを重視したランカーモデルで各フィートサイズでAGSガイドで軽量化したタイプが用意されているという感じでした。しかし2021年に発売されたmorethanは今までの代表の2つのモデル『EXPERT』と『BRANZINO』を『BRANZINO EX』として統一されました。なぜ1つのモデルになったのでしょうか?
BRANZINOはイタリア語で『ヨーロピアン シーバス』のことです。ではmorethan BRANZINOは直訳すると『シーバスよりもっと』『シーバス以上に』となります。シーバスを超えたシーバスを釣るということですね。2021年にmorethan BRANZINO EX AGSシリーズが登場しましたがBRANZINOとEX(EXPERT)が1つになって製品化されました。なぜモデルを分けなかったのでしょうか?
理由は1つ。軽快性・感度・操作性・正確性を重視したEXPERTの専門性とBRANZINOのPOWERタイプを製作していくうえで高水準の技術と素材で製作したらほぼ同じもモデルになり分ける理由がなくなったのでしょう。要は軽快性とPOWERを兼ね備えた究極の最上級ロッドができてしまったので『BRANZINOモデル』と『EXPERTモデル』を融合し『BRANZINO EX』シリーズとしてmorethanの最終形が完成したいうことです。
2022年12月現在morethan BRANZINO EX AGSシリーズは9モデル発売されています。特に2022年に登場した87LMLモデルは自重97gでルアー重量5~30gまで対応するという驚異のスペック!とうとうシーバスロッドも100gを切る時代に突入したとフィッシング業界に激震が走りました。
型式 | 全長(mm) | 自重(g) | ルアー重量(g) | PEライン(号) |
87LML | 2.62 | 97 | 5~30 | 0.6-1.5 |
87ML | 2.62 | 111 | 7~35 | 0.6-1.5 |
93L/M-S | 2.82 | 123 | 5~40 | 0.6-1.5 |
94LML | 2.85 | 105 | 5~30 | 0.6-1.5 |
94ML | 2.85 | 121 | 7~35 | 0.6-1.5 |
94MMH | 2.85 | 145 | 12~45 | 1.0-2.0 |
97ML/M | 2.92 | 126 | 7~40 | 0.6-1.5 |
98M/MH | 2.95 | 147 | 10~50 | 0.8-2.0 |
1010ML/M | 3.3 | 153 | 7~40 | 0.8-2.0 |
morethan BRANZINO EX AGS 87LMLとSHIMANOのシーバスロッドと比較してみましょう。
メーカー | DAIWA | SHIMANO | SHIMANO |
ブランド | morethan BRANZINO |
EXSENCE ∞ | EXSENCE GENOS |
クラス | 87LML | S86ML | S87L+/F |
全長(mm) | 2.62 | 2.59 | 2.62 |
自重(g) | 97 | 113 | 109 |
ルアー重量(g) | 5~30 | 5~32 | 4~28 |
PEライン(号) | 0.6-1.5 | 0.5~1.2 | 0.4~1.2 |
カーボン含有率(%) | 100 | 99.3 | 99.5 |
メーカー希望価格(円) | 77,000 | 81,000 | 62,800 |
2022年12月発売のシーバスハイエンドロッド エクスセンス ∞(インフィニティ)S86MLの自重は113gで16gの差があります。エクスセンス ジェノスS87L+/FがSHIMANO最軽量の109gですので11g差があります。
もちろん軽さがすべてではありませんが87fクラスはランガン使用するので軽さは有利です。しかもこの軽さでルアーウエイトが最大30gまでです。25g前後までのルアーをフルキャストとできる考えたら充分ですね。
さてシーバスロッドとしては十二分に最上位ということはわかりました。ここからはmorethan BRANZINO EX AGS 87LMLの伸びしろを探っていきます。まさか?BIGトラウトロッドとして使える!?
実はシーバス釣りが盛んではない北海道でもシーバスロッドは人気があります。なぜでしょう?北海道というフィールドはご存じの通りトラウト王国と呼ばれ昔からトラウトフィッシングが盛んでショアではサケ、サクラマス、海アメマス、カラフトマスなど湖や河川ではサクラマス、アメマス、ブラウントラウト、レインボートラウトなどの大型トラウトが生息しています。
そのほかメーターオーバーの「イトウ」など。そんな大型トラウトたちをターゲットにしたBIGトラウト専用ロッドというのが少ないんです。近年はショアでのサーモンや海アメ・海サクラ専用ロッドが発売されるようになりましたがどれも10fを超えるほど長くて硬いロッドばかりです。
湖や河川でも使えるランガンタイプのBIGトラウト専用ロッドはまだまだ少ないのが実情です。現在のネイティブBIGトラウトの専用ロッドというとDAIWAではシルバークリーク ネイティブスティンガー、SHOMANOではカーディフ モンスターリミテッドが唯一サーフや河川、湖でのBIGトラウト専用ロッドです。早速比較してみました。シーバスロッドとの比較は結構貴重だと思います。
メーカー | DAIWA | DAIWA | SHIMANO |
ブランド | morethan BRANZINO | SILVER CREEK NATIVE STINGER | CARDIFF MONSTER LIMITED |
クラス | 87LML | 83ML | DP83ML |
全長(mm) | 2.62 | 2.51 | 2.51 |
自重(g) | 97 | 129 | 150 |
ルアー重量(g) | 5~30 | 3~18 | 7~30 |
PEライン(号) | 0.6-1.5 | 0.8~1.5 | 0.8~1.5 |
カーボン含有率(%) | 100 | 94 | 99.7 |
メーカー希望価格(円) | 77,000 | 40,200 | 94,000 |
いかがでしょうか?morethan BRANZINO EX AGS 87LMLがスペック的に劣っているどころか、ほぼ上回っています。なぜこんなことになるのでしょう?大きな理由としてシーバスアングラーの数がトラウトアングラーの数より多いからでしょうね。ネイティブなBIGトラウトの生息地が北関東以北の地方が中心ですのでフィッシング人口も少なく専用ロッド市場も狭まります。
一方、シーバスは都市近くの港湾や河口、運河が中心ですのでフィッシングも人口が多いわけです。それだけ製品も売れて消費するのでメーカーも力を入れ最新の技術を投入する。そして価格競争もあり良い製品に淘汰されてまた新しい商品が出る。やはり釣り人気の差はこのように製品の種類が多さや物量の豊富さの違いが出てくるのです。
トラウトアングラーが質の良いシーバスロッドを求めるにはこのような事情があるのです。さて気になる点としては曲がりの比較ですね。morethan BRANZINO EXとSHOMANOカーディフ モンスターリミテッド曲がり比較(500g)ではほとんど同じカーブを描きます。カーディフモンリミの方が若干先調子です。
数値上のスペックでmorethan BRANZINO EX AGS 87LMLは十分であることが分かりました。でもフィッシングターゲット(魚種)が異なるとシーバスロッドはネイティブトラウトの釣行に向いていないのでは?という声もあると思います。確かにシーバスはスズキ目スズキ科スズキ属スズキです。トラウトはサケ目サケ科です。
ふつうは魚が違うのでロッドも変えなきゃといわれます…でも本当にそうですか?少ないかもしれませんがシーバスとトラウトの両方のルアーフィッシングを経験したアングラーならばわかると思います。シーバスフィッシングとトラウトフィッシングはルアーや釣り方に若干の違いはありますが非常に共通点が多いことに気が付くはずです。ではターゲットのトラウトとシーバスを比較してみましょう。
魚種 | トラウト | シーバス |
種目 | サケ目 | スズキ目 |
生息域 | 淡水・海水 *種類による |
淡水(個体差あり)・海水 |
釣行エリア | ショア・オフショア 磯・港湾・河口・河川・湖 |
ショア・オフショア 磯・港湾・河口・河川 |
最大サイズ | 1m弱 | 1m弱 |
最小サイズ | 20cm~ | 30cm~ |
ベイト | 小魚・オキアミ・昆虫 | 小魚・オキアミ・小型甲殻類 |
ルアー | スプーン・ミノー・ジグ・シンキングペンシル・スピナーなど | ミノー・バイブ・シンキングペンシルなど |
ファイト特徴 | エラ洗い・ジャンプ | エラ洗い・ジャンプ |
全く別の魚種でこんなに酷似しているフィッシュターゲットも珍しいかもしれません。実はそれほど似ているんです。大きな違いといえば湖はもちろん清流や源流域はさすがにシーバスがいませんね。でもシーバスを狙っててサクラマスが釣れたなんて言う話はたまに聞きます。
さてmorethan BRANZINO EX AGS 87LMLに話を戻します。あとは好みと価格になりますね。冒頭にもお話しした通り私はmorethan BRANZINOのデザインが気に入っています。ブランクのゴールドカーボン!morethan BRANZINOのロゴといい。とにかくド派手!と思われる方も多いと思います。
でも釣りって地味な色が多いじゃないですか。まぁ魚から警戒されないためには服やバックはナチュラルカラーは理解できるのですがロッドやリールは地味である必要ってあるでしょうか。もちろんコルクのグリップも好きです。でも自然に溶け込みすぎて釣っているときのモチベが上がらないっていうか。写真映えもしないっていうか。とにかく好きなんですよね。多分同じ理由の方が多いので北海道にもmorethan BRANZINOの愛用者が多いのだと思います。
見た目ばかりをお伝えしましたがmorethan BRANZINOは見た目とスペックが伴っているからカッコいいと思います。ガイドまでカーボンですのでカーボン100%は伊達ではありません。特に今回採用された『AGS』TYPE-0(ゼロ)は今までのAGSよりも小さく軽くなってそのガイド自体もCWS(カーボンラッピングシステム)でロッドに強力に固定されクラックが生じにくくなっています。ゼロ形状リング採用によりラインの放出性能が向上し強風などでもストレスなくキャスト操作が可能になっています。
そのほか継ぎ部分にはV-ジョイントα、SVFコンパイルXナノプラスのブランク、X45フルシールドで捻じれを抑制します。そして新型のエアセンサーリールシート。以前のmorethan BRANZINOから変わった点はこのリールシートのナット(ねじ込み)部分がノック式のクリック感がありました。準備しているときにテンションが上がったのですがそれがなくなり唯一残念な部分です。DAIWAさん是非復活させてください(そんなに自重は変わらないと思います)
そして一番気になるのは価格です。DAIWAのSILVER CREEK NATIVE STINGERは4万円台なのでmorethan BRANZINO EX AGSだとまだ7万円台なので高価になりますね。でもSHIMANOのEXSENCE ∞とはほぼ同額、CARDIFF MONSTER LIMITEDは9万円ぐらいなので比較すると安価です。morethan BRANZINO EX AGS 87LMLを購入したら8~9fのトラウトロッドを追加購入する必要がなくなりますので元は取れると思います。なんといってもスペックや見た目で価格以上の価値を見出してくれると思います。
いかがでしたでしょうか?久しぶりにガッチリインプレしました。今年はこのロッドでまだ3回しか釣行に行けていないのでこれからmorethan BRANZINO EX AGS 87LMLとたくさんの思い出とBIGトラウトを入魂していきます!その時はインプレ続編をお送りいたします。
この記事を書いた人
合わせてよく読まれる記事
新着記事