カレイの投げ釣りは遊動式仕掛けで決まり、違和感なくじっくり食わせるのがコツ!

作成:2021.11.20更新:2021.11.20

冬の訪れが聞こえて来て、いつもであれば暮れに向かって何かとせわしくなってくる晩秋から、ショアの堤防やサーフでは、熱いアツイ、カレイの投げ釣りシーズンが開幕します。どんなに寒くても、雪がちらつこうとも、座布団級の1枚を目指して、寒風吹きすさぶ大海原にカレイ仕掛けをフルキャストし続けます。しかし、カレイ釣り、昔と比べると難しくなりました。数が少なくなっている、接岸するポイントの環境が悪化しているなど、様々な要因があろうとは思いますが、カレイの投げ釣りを専門に続けている生粋のカレイ師は毎シーズンコンスタント座布団級を釣り上げ続けています。

ポイント選び、エサ選び、潮まわり・・・様々な要因があると思いますが、今回は仕掛けの面から、確実にカレイを仕留めるポイントについて解説します。

カレイ釣りの魅力

カレイ釣りは、冷たい北風が吹きだす11月頃、ほとんどの魚が沖の深場に落ち始める時期に産卵準備のために接岸し、真冬の産卵期に備えて荒食いをします。1月~2月頃まで産卵し、その後もしばらくは体力回復のため浅場に残り、晩春から初夏にかけて、深場に落ちて行きます。カレイは、この、ターゲットが少ない厳冬期の投げ釣りシーンを彩る、ホッケ、アイナメと並ぶ、冬の人気ターゲットとなっています。

カレイ釣りの魅力は、何と言っても「座布団級」と言われる、40cm超の大型個体を仕留めた時の充足感でしょう。釣り味は決して良いとは言えず、重い手ごたえでただリールが巻かれるがままに上がってくるイメージですが、たまに抵抗する際の「グイッ、グイーッ、ゴンゴンゴン!」という引き味が堪りません。そして、無事にランディングに成功したときは、寒さも吹っ飛ぶ歓喜の瞬間です! そんなカレイを求めて、冬から春にかけてはカレイ釣り以外しないという猛者もたくさんいます。真冬の荒海で確実にカレイをキャッチするための仕掛けについて考えて行きましょう。

カレイの投げ釣り仕掛け【基本仕掛け】

場所を問わず、カレイを投げ釣りで狙う場合の一番シンプルな仕掛けは、海草天秤やジェット天秤のような、シンカーが予め取り付けられている天秤を使い、メインラインと仕掛けをそれぞれ接続します。海草天秤とは、シンカーの上部に2本の金属棒が取り付けられていて、仕掛けを取り付ける側の金属棒を直角に折り曲げて、L字型に固定して使用します。L字型に固定された海草天秤は、キャスト時にも天秤と仕掛けが離れて飛んで行くため、仕掛けが絡むことが少ない優れた天秤です。

しかし、着底後もL字型に固定されているため、根掛かりのリスクは高くなります。ジェット天秤は、シンカーが取り付けられている金属棒の後部に、もう一本の金属棒が取り付けられている天秤で、後ろに取り付けられている、自由に動く金属棒に仕掛けを取り付けるものです。着底後は仕掛けはまっすぐになるため、根掛かりのリスクは比較的小さいですが、キャスト時の飛行姿勢がやや不安定になるため、キャスト時の仕掛け絡みのリスクは海草天秤より高いです。どちらが優れているということはありませんが、初心者が使いやすいのはジェット天秤だと思います。

冬の海は潮の流れが速く、風の影響も強いため、シンカーの重さは最低25号が必要です。デフォルトは30号、潮が速い時は35号以上を使います。また、「スパイクおもり」という、ドーナツ状のシンカーの表裏にスパイク状の突起が加工されたものです。これを使用すると、着底後の仕掛けの流される力に対して踏ん張ることができます。

仕掛けは市販のカレイ仕掛け、2本針仕掛けを

一般的なカレイの投げ釣り仕掛けは、市販のカレイ専用の投げ釣り仕掛けを使うのが簡単で良いでしょう。幹糸ナイロン4号、ハリスフロロカーボン2号、針は流線形10号~13号の2本針仕掛けを用意しておけば、大物がかかっても充分対応が可能です。カレイはシロギスとは違い、綺麗な砂底というよりも、泥質を多く含む、いわゆる砂泥底で、周辺に藻場が点在しているような場所を好みます。カレイは中層以上に浮きあがって捕食することはほとんどないため、基本、海底を引きずる挙動が多く、根掛かりのリスクもそれなりにありますので、予備はたくさん持ち込んでおきましょう。

カレイ釣り仕掛けには、2本針仕掛け、3本針仕掛けがありますが、カレイ仕掛けの複数針は連掛けを想定したものではなく、カレイに対してエサをより目立たせるための2本針、3本針です。座布団サイズを連掛けしてしまったらなかなかランディングにまで持ち込むのは大変です。カレイに食わせる針1本、残りはアピール用の見せエサと思いましょう。青イソメ、岩イソメ、コガネムシなどの虫エサを針いっぱいに2~3匹房掛けにしてアピールさせますので、カレイ釣りは大量のエサを消費します。一日8時間釣りをするとして、3本針仕掛けではだいたい400g以上の虫エサが必要になりますので、経済性を考慮しても2本針仕掛けが良いと思います。3本針仕掛けを使うなら、2本針仕掛けの竿を2本出す方が効率的です。

カレイの投げ釣り仕掛け【遊動式仕掛け】

カレイの投げ釣り仕掛けとして、「遊動式仕掛け」というものがあります。これは、先に説明した「基本仕掛け」と全く同じ仕掛けを使うのですが、仕掛けの固定方法が異なる仕掛けで、簡単に言うと、仕掛けが天秤に固定されておらず、カレイがエサをくわえた時に仕掛けがカレイの吸い込みに伴なって引っ張られる方向に動く仕掛けです。

基本仕掛では、メインラインの先端に天秤の金属アームのトップのリングに結び、もう一方の金属アームに仕掛けをスナップサルカンで固定するので、メインラインと仕掛けは天秤野アームを介して分断されていますが、遊動式仕掛けでは、メインラインと仕掛けがサルカンを介して一直線になっています。メインラインを天秤の金属アームのトップのリングに通したあと、リングを通り抜けできないサイズのサルカンを結びつけます。そして、天秤のもう一方のアームのリングを通した仕掛けを、メインラインに結んだサルカンと繋げます。

こうすることによって、天秤のトップのアームから仕掛け側のアームにかけて、仕掛けが一本通る形になります。この仕掛けは、感度も高くなりますし、カレイがエサを食いこんで仕掛けを引っ張った際、仕掛けが自然に出て行くため、カレイが抵抗を感じてエサを吐き出す事がほぼなくります、カレイに違和感を感じさせることなく、じっくりと食わせることができます。カレイはのどの周辺の皮膚が硬く、フッキングさせることはやや難しいため、じっくりと食い込ませ、針を喉の奥に飲ませてしまいましょう。きちんと喉の奥にフッキングできていないと、ランディング直前にフックオフの憂き目に遭いますので、最後まで気を抜かないようにゆっくり、一定のペースでリーリングしましょう。

カレイは基本、エサを求めて素早く泳ぎまわるようなことはしません。ゆっくりと泳ぎながら、エサになるものを自分の周辺の近い距離で探しています。そのため、エサをたっぷりつけて、大きく見せてやる必要があります。近くにカレイがいれば、目ざとく見つけて食いついてきますが、距離が遠かったり、小さなエサには食いついてきませんので、エサの存在をアピールするためにも、エサは潤沢に、大きく使いましょう。

カレイの投げ釣り、遊動式仕掛けを使った実釣のコツ

では、遊動式仕掛けを使ったカレイの投げ釣りの実釣について説明して行きます。狙うべきポイントは、堤防からのアプローチの場合はなるべく潮通しの良い先端付近で、船舶が頻繁に通過する場所で、船のスクリューでかき回された海水が砂泥を掘ってできたカケアガリを狙います。堤防では距離を狙うよりも、カケアガリや岩礁地帯と砂泥地帯の境目など、変化がある場所を重点的に狙います。サーフの場合も基本は変化のある場所を狙いますが、藻場や沈み根がある場所、或いは河川との接続部などを狙います。サーフの場合は飛距離が重要です。竿を2本出せる場合は、長距離キャスト用1本、中距離キャスト用1本を用意し、効率良く探ります。

キャスト後は、天秤のシンカーをうまく操って、砂泥を巻き上げて煙幕を作り、カレイにエサの存在をアピールします。具体的には、ズル引きだけでなく、竿尻を小突いてみたり、竿を軽くあおってシンカーをピョンピョン弾いたりしながら底砂を巻き上げ、濁りを作ります。その後は置き竿でアタリを待ちます。カレイのアタリは特徴的です。エサを見つけてつついているような小さな前アタリがあり、その後、エサをくわえたらティップがコンコンと小さく動きます。しかしこの時点では合わせず、じっくり食い込ませます。

遊動式仕掛けの場合、カレイがエサに食いついて仕掛けを引っ張った際に、ラインが自由に出るため抵抗にならず、違和感を与えることが少ないです。固定式仕掛けの場合は、カレイがエサに食いついて仕掛けを引っ張った際に抵抗を感じて吐き出してしまうことがあります。

完全にエサを食い込んだ後、カレイが泳ぎだすと仕掛けを引っ張り、置き竿の竿尻が浮き上がるほど大きなアタリが来たり、或いは逆方向に泳いだ場合は、ピンと張っていたラインが突然ふわーっと弛みます。こうした大きなアタリを確認したら大きく強く竿をあおり、フッキングさせます。ヒットすればずっしりとした重さを感じますので、一定のペースでリールを巻き続けます。

カレイは無抵抗に上がって来るイメージですが、一定間隔でゴンゴンと抵抗をし、アングラーの脳汁を分泌させてくれます。しかし、フッキングが甘いと、この抵抗時にバラしてしまうことがありますので、最初の大アワセを確実にしておかなければなりません。

そして、カレイの姿が見えるところまで手繰り寄せたら最大の難所です。堤防など、足場が高いところから釣っている場合は、水面から顔を出し、空気を吸わせて大人しくさせる際にフックオフという悲劇が一番起こりやすくなります。サーフの場合は、波打ち際まで引き上げたあとの寄せ波に最大のバラしのリスクがありますので、慎重に慎重を期してランディングまで気を抜かずに対処しましょう。

座布団級を仕留めるために頭に入れておきたいこと

カレイは群れを作る魚ではありませんが、気に入ったポイントがあるとそこに溜まる習性があります。すなわち、同じ場所で釣っていても、ある人ばかりカレイが掛かり、周りのライバルはサッパリということが少なくありません。勝利のカギは、如何にしてカレイの「溜まり場」を見つけられるかに掛かっています。

特に漁港や堤防ではその傾向は顕著に現れます。とにかく、急に深くなる場所のカケアガリ部分に大型のカレイは溜まっていますので、なるべく大きな船舶が頻繁に出入りする港湾で、底が激しくえぐられているような場所、理想は大規模港湾のフェリー乗り場の近くなどで、釣りが禁止されていない場所です。最近ではなかなかそういう場所で釣りをすることも難しくなりましたが、「急深のポイント」を重点的に探るということを頭に入れておけば良いでしょう。

もうひとつ、カレイ釣りに大事なことは、「エサはケチらない」ことです。エサをケチり、虫エサを短く切ってつけたり、ちぎれた虫エサをそのまま再度投げたりしていてはカレイは釣れません。とにかく針いっぱいに、2〜3匹を房掛けにして、ビジュアルに訴えれば、カレイはちゃんと応えてくれる魚です。逆に、エサの切れ目は簡単に縁の切れ目に直結しますので、エサは潤沢に用意し、惜しみなく使いましょう。

厳寒の海でアツい闘いを繰り広げよう!

何度も説明したように、カレイには「ドンくさい」一面があり、捕食が上手でなかったり、フッキング後のファイトがおとなし目だったり、とても可愛らしい魚ですが、他の魚が続々と深場に落ちて冬ごもりしているシーズンに一躍スターフィッシュに躍り出ます。よく、冬が旬の魚は「寒ブリ」、「寒グレ」、「寒ボラ」などと言われますが、カレイも真冬の食卓を彩る魚として、刺身、煮魚、唐揚げ、干物と、あらゆる調理法で美味しくいただけます。

座布団級の大型のカレイが釣れた暁には、私のおすすめは、5枚おろしでサクを取ったら、酒を塗った昆布に包んで数時間冷蔵庫に寝かせた昆布締めですね。これをツマミに飲む熱燗は至高の贅沢であると言えます。寒さに耐えて一日粘った甲斐があったと言うものです!

この記事を書いた人

初心者歴40余年!
ショアおやじ

 メジナ、クロダイ、アイナメ、カサゴ、メバル、カワハギ、シロギス、イシモチ、カレイ、ハゼ…ベラ、フグ、ヒイラギw、フカセ釣り、投げ釣り、穴釣り、江ノ島周辺(湘南大堤防、表磯、裏磯、片瀬漁港)、福浦岸壁、大磯サーフ、逗子・葉山界隈、城ヶ島(神奈川県)

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