ヘッドライトにしてもランタンにしても、夜釣りでは万が一バッテリーが切れたりすると即ゲームオーバーになりますので、予備の電池をお忘れなく。充電式ライトの場合はモバイルバッテリーも必要です。乾電池の場合も充電池の場合も、長い間放置していると自然放電してしまい、いざという時に持続時間が極端に短かったりすることがありますので、バッテリーチェッカーがあると安心です。
夜の釣りはただでさえ光の少ない環境で行いますので、荷物をあちこちに広げてしまうと、高確率で納竿時の片づけ忘れが発生します。小型のレジャーシートなどを敷き、その範囲だけで荷物を広げるようにしておけば、片づける際に便利です。また、小物はトレイのような容器にまとめておいておけば、紛失するリスクは大幅に軽減されます。また、暗いところではどうしても荷物を蹴倒したり、踏んでしまったりするリスクがありますので、歩く際は足元をライトで照らしましょう。
イシモチの夜釣り用の仕掛けは、日中の投げ釣り仕掛けよりもひとまわりサイズアップした仕掛けで臨みましょう。日中の投げ釣りよりもイシモチのサイズが大きいものが釣れやすいことと、夜釣りでは日中には釣れにくい夜行性の大型魚がかかる可能性が高いからです。イシモチと生息域や食性が被るアナゴは特にイシモチの夜釣りをしていると掛かります。丸々と太った80cm程度のアナゴはかなりのパワーがあります。他にフッコ、タチウオ、ヒラメなどがかかることもあります。
ロッドは、25号~30号がフルキャストできる投げ竿を用意します。イシモチのアタリは強烈で、ガツンと餌に食いつきますので、ロッドの感度はあまり気にする必要はありません。イシモチの強烈な引き堪能するには、やや柔らかめのロッドが良いでしょう。長さは4m前後が扱いやすいです。
イシモチは群れを作り生息していることが多く、一荷(一つの仕掛けで複数釣れること)でかかることもあります。イシモチやアナゴの一荷をランディングさせるにはかなりのパワーが必要です。
リールは大型のサーフキャストリールでも良いですし、パワーのある汎用スピニングリールの4000番程度でも良いです。メインラインはPE1号~2号を150m程度巻ければよいでしょう。メインラインの先にはナイロン力糸3号→12号前後を必ず結んでおきましょう。PE力糸は高価なので、敢えて使用する必要はありません。
イシモチをメインに、効率よく数を稼ぎたいと思う方は胴突き投げ仕掛けを、同時にアナゴも狙いたい方は吹き流し式の投げ釣り仕掛けをおすすめします。胴突き投げ仕掛けは、仕掛けの一番下にオモリが付いており、幹糸からエダスを出し、エダスの先に針が付いている仕掛けで、吹き流し式仕掛けは、天秤のアームの先に仕掛けが接続されている、いわゆる通常の投げ釣り仕掛けです。両者の違いは、アタリを待っている際に、針が海底についているか、浮いているかの違いです。
イシモチは海底をつつくような摂餌行動もとりますが、海底付近を浮いて漂っている餌の方が反応が良いです。アナゴは完全な底棲魚で、海底にいる餌を捕食します。夏の夜釣りの風物詩と言えるアナゴも狙いながらイシモチを狙うのは魅力的です。竿を2本出せるなら、胴突き投げ仕掛け1本、吹き流し式投げ仕掛け1本を出したいです。
1本しか出せない場合は、アナゴも狙いたければ吹き流し式仕掛け、イシモチメインで狙うなら胴突き投げ仕掛けを使いましょう。餌はイシモチに最も効くイワイソメをメインに、アナゴや他の大型魚を狙う場合は、イカ短や魚の切り身などを併用すると良いでしょう。
イシモチの夜釣りの場合の狙い目は基本的には日中と同じです。すなわち、砂泥底で、海底に波が作った、横方向に盛り上がっている場所(ヨブといいます)や離岸流によって海底が縦方向に抉られた場所(スリットといいます)、ブレイク(水深が急に変わるところ)、カケアガリなどの変化のあるところを狙いますが、夜釣りですのでほとんどポイントは見えません。
従って、フルキャストして着水点から仕掛けをゆっくり引き、仕掛けの重さが急に変わるところ(地形の変化点)を広範囲に探してアタリを待ちます。夜釣りでは、イシモチの警戒心も薄れ、餌を求めて活発に泳ぎ回っていますので、置き竿で待っていても良いですが、ロッドを少し小突いたりして誘いを掛けるのも効果的です。
また、イシモチは、日中はボトム付近にいることが多いのですが、夜釣りの場合はボトムから中層付近まで、広いレンジを泳いでいますので、縦方向も広く狙いましょう。
イシモチはタイミングを見計らってシビアなアワセを入れる必要はありません。「向こう合わせ」と言って、魚が十分食い込んで、針に勝手にかかり、竿先が十分曲がるまでじっくり待ちましょう。早アワセは厳禁です。
理由は、イシモチの摂餌の方法にあります。イシモチは餌を見つけると素早くアタックしてきますが、はじめは餌の端に食い付き、違和感がないかどうか確認します。ここでいくらアワセを入れてもフッキングは出来ません。2回、3回とアタックして、異常がないのを確認してはじめてしっかり食い込みます。
イシモチのアタリは、最初から「ガツン!」と大きく、ロッドの穂先がグンと動くため、思わず大アワセを入れてしまいがちなのですが、ここはグッと堪えて、キチンと食い込み、ロッドが大きく曲がるのを待ちましょう。
十分食い込んだのを確認したら、ロッドを一度大きくあおり、フッキングを確実にさせましょう。イシモチのファイトは、サイズに似合わず強烈です。十分に食い込ませていれば、フックオフすることはあまりありませんが、イシモチのファイトでハリス切れを起こすことがありますので、できる限り一定のテンションと一定のスピードでリールを巻きましょう。強く抵抗しているときは強引にリーリングせず、テンションを緩めずに、おとなしくなるまでその場でステイしましょう。
イシモチは、数十匹単位で群れを作っていることが多いので、一度釣れたポイントは何度もしつこく攻略しましょう。そもそもイシモチが溜まりやすいポイントは、地形の変化がある場所や、周囲より水温が高い場所がほとんどであり、そういうところには餌となる生き物も溜まりやすい特徴があります。イシモチの溜まり場を見つけたら、かなりの確率で数釣りができます。夜明けまでの勝負ですので、効率よく数を稼ぎましょう。
イシモチの夜釣りというよりは、堤防などから夏ね夜の投げ釣りを行う際のゲストについて、簡単に触れておきます。
夜釣りでは、日中の釣りで釣れるゲストとは異なる、夜行性の魚がたくさん釣れます。中には毒魚など、危険な魚も日中の釣りよりも多いため注意が必要です。
アナゴは個人的に大変嬉しいゲストです。特にまるまる太った大型のアナゴは釣り味も食味も最高です。ただし、釣れたらかなりの確率で仕掛けをめちゃくちゃにされてしまうのが玉に瑕です。
ベイエリアや河口部で夜の投げ釣りをしているとかかることがあります。特に初夏の新月の夜はバチ抜け(イソメ類の集団産卵)が起こる時は多くかかります。
水深のある堤防からの投げ釣りをしているとかかることがあります。特に餌に魚の切り身を使っているときに多いです。歯が非常に鋭いので、ワイヤーハリスなど対策が必須で、イシモチ仕掛けにタチウオがかかってしまうとひとたまりもありません。
岩礁地帯が近い場所で夜の投げ釣りをやっているとかかることがあります。ウツボも非常に歯が鋭く、顎の力も強いため非常に危険です。針を外す際には防護手袋が必須です。
アカエイは砂泥底の高水温域を好み、水深数cmの波打ち際まで接近してくることがある危険な魚です。尻尾の付け根に鈎状の毒針があり、踏み抜いてしまったりすると病院で皮膚を切開して抜いてもらわなれればならない厄介な魚です。毒針には絶対に触れないようにしましょう。
ネコザメやドチザメなど、小型のサメも、湾内で投げ釣りをしていると昼夜問わずかかります。特に危険なサメではありませんが、特に食べて旨い魚でもないので、リリースしてあげましょう。
夜釣りは、完全な昼行性の魚以外は、すべからく活性が高く、イシモチやアナゴなどの他、アジやイカなども釣れる可能性があり、日中の釣りよりも多くの魚種が釣れます。
その代わり、毒魚等の危険魚も多く、さらに暗い環境での釣りのため、安全には細心の注意が必要です。
きちんと安全対策ができていれば、日中では味わえないスリルが味わえるでしょう。特に夏場は日中の灼熱の釣りとは違って、太陽がないため、比較的が快適な釣りとなること請け合いです。夏の夜の納涼釣り、おすすめです!
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