ヒイラギ釣りに使うリールは、汎用スピニングリールの2000番若しくは2500番が良いでしょう。ドラグ機構は基本使いませんので、キャスタビリティ優先で選べば良いでしょう。外道でクロダイやキビレが掛かる可能性のある時はドラグの使用が必須となりますので、ドラグ性能も考慮したリール選びとなります。
ヒイラギ釣りのラインもあまりこだわる必要はありません。使用するシンカーがキャストできる強度があれば何でも構いません。標準として、ナイロンライン3号を使用します。テーパーライン(力糸)は必要ありません。
道糸からエダスを出すために使用する、ライン接続部が3つついたサルカンです。針の本数分使用します。上下の環に道糸を、横の環にハリスを接続します。
ナス型オモリ若しくは六角オモリの15号を標準とし、流れが速い場合は18号、20号とサイズを上げていきます。ロッドの錘負荷を超えるサイズのシンカーは使用してはいけません。
ヒイラギ釣り用のハリスはフロロカーボンの1号を使用しますが、河口などの汽水域にはクサフグが入りやすく、クサフグが多いときはハリスをひっきりなしに切られますので、そんな時は1.5号〜2号を使用します(それでもハリスは切られます)。針やハリスは必ず予備を多めに持ち込みましょう。
ヒイラギ釣り専用の針というものは存在しませんが、ヒイラギの吻は薄く切れやすいので、針は刺さり性を重視し、細身のものを使用します。標準は丸セイゴ針を数サイズ用意しておけば良いですが、より針掛かり性の良いアジ針を使えば、向こう合わせで勝手に針掛かりします。アジ針は非常に細い線材を使った針のため、太いハリスは適さないので、アジ針を使う場合は、ハリスは0.8号以下にします。
ヒイラギは基本、塩分濃度の高くない砂泥底を好みます。そのため、河口部や内湾の河川接続場所周辺が高ポイントとなります。大規模河川の河口部からヒイラギを狙う際は、川の流芯部(水深があり、流れの一番速い場所)を探ります。
まずは仕掛けを川幅の真ん中くらいまでキャストします。小規模河川なら向こう岸の少し手前まで飛ばしましょう。シンカーが着底したら、一定のスピードで、ゆっくりリールを巻き、シンカーを底でズル引きさせます。ズル引きしていて、突然、ハンドルが軽くなる場所があります。そこは下り坂になっている場所です。さらに仕掛けをズル引きすると、今度は一転、ハンドルか重くなる場所に当たります。ここは上り坂です。この下り坂の部分、上り坂の部分はともにカケアガリ部ですのでこのあたりに仕掛けをとどめ、置き竿にします。大規模河川の場合は、こういうカケアガリがいくつかありますので、丹念に探りましょう。
アタリは明確に出ます。「グイッ!、グイグイッ!!」という感じで竿先を揺らしてくれます。強くアワセを入れる必要はありません。ヒイラギの口は切れやすいので、軽くロッドをあおり、あとはゆっくりリールを巻き上げましょう。釣ったヒイラギは、大量の粘液を出しますので、素手で触らず、タオルや魚ハサミで掴みながら針を外し、他の魚や氷と触れないように、チャック付きポリ袋などに入れ、速やかにクーラーボックスに収容しましょう。活け締めの必要はありません。
ヒイラギは、小魚であること、大量の粘液を出すこと、各ヒレに鋭い棘があることなどから、持ち帰って食べる人は一部の地域を除きほとんどいないと思いますが、大変おいしい魚ですので、ぜひ一度食べてみて下さい。ここからは、釣ったヒイラギの処理とおいしい調理法について紹介します。
まずは、ぬるぬるドロドロになっている、ヒイラギの体表の粘液を洗い流します。タライなどにヒイラギを入れて、塩を大量に振りかけ、ヒイラギをよくこするようにしてヌルヌルを取ります。簡単に落ちますので、確実に洗い流しましょう。尚、ヒイラギのヒレには鋭い棘がありますのでくれぐれも慎重に。厚手のゴム手袋をはめて作業すれば安全です。
小型の出刃包丁で、頭を落として内蔵を抜きます。内臓は非常に少ないです。食べても害はありませんが苦いので、完全に取り去り、キレイに洗い流しておきましょう。煮付け、素揚げ、南蛮漬けなどで食べる場合は下処理はこれで終了です。また、素揚げの場合は頭も美味しく食べられますので、揚げる場合は無理に頭を落とす必要はありません。
刺身で食べる場合は頭を落としたヒイラギを三枚におろします。こんな小さくて薄っぺらい魚を三枚におろすのは大変と思うでしょうが、ヒイラギはびっくりするほど身離れが良く、小骨も全くないので、サクッと簡単に三枚おろしができます。
ヒイラギは身離れが良いだけでなく、皮も簡単にはがせます。皮が下になるように置き、尻尾側のギリギリのところに包丁を入れ、左手で身を押さえながら右手で包丁を倒しながら動かすと皮が一発ではがれます。
ヒイラギを食べる習慣のある地域では、刺身、握り寿司、酢締め、塩焼き、煮魚、吸い物、素揚げ、南蛮漬けなどなど、様々な調理法で食べられています。酒豪が多いと言われる高知県ではヒイラギは「にろぎ」と呼ばれ、酒の肴に大変喜ばれています。
ここでは、私の家族にも大評判の素揚げ、南蛮漬け、そして、一度食べたらヒイラギのイメージが180度変わると断言できる刺身を紹介します。
ヒイラギを一番簡単に、おいしく食べることができるのはやはり素揚げです。衣も使いません。前項②の状態まで処理したヒイラギはキッチンペーパーで水気を十分に拭き取り、130℃前後の低温の油に投入します。そして、150℃を越えないように注意しながら5分〜6分じっくり揚げます。そして、一旦油から上げ、数分間放置し、予熱で火を中まで入れます。その後は180℃の油に再投入して1〜2分、手早くあげ色がつくまで2度揚げします。揚げ上がったら、塩こしょうを振って、熱いうちにワシワシ食べましょう。鋭いヒレの棘から骨から全部いただけます。ビールに最高に合います。
素揚げのまま食べてももちろん美味しいのですが、南蛮漬けにすれば保存も出来ます。タマネギ6、ニンジン2、パプリカ2を細切りにし、お好みで鷹の爪をタッパーなどの容器に入れます。そこに、素揚げのヒイラギを乗せ、タレをドボドボ入れます。タレは、酢、醤油、砂糖酒、みりんを合わせてひと煮立ちさせて冷ましたものを使います。ヒイラギの素揚げにタレがひたひたになるように注ぎ、蓋をして密閉し、冷蔵庫で1日置けば骨まで柔らかくなった南蛮漬けの出来上がりです。おつまみにしても、おかずとしても抜群の存在感で、野菜と魚の栄養をたっぷり摂れます。
ヒイラギの刺身は、一度食べたらヒイラギのイメージが全く逆転する、衝撃的な美味です! チマチマと面倒くさいのですが、手間を惜しまずに作業をこなした者だけが堪能出来る甘みと旨味は、生姜醤油との相性は完璧、また、昆布締めにしても、酢漬けにしても大変おいしくいただけます。さらに、酢飯を作って握り寿司にすれば、ひとくちにして一躍光モノのトップに躍り出る味わいです。1匹から薄く小さな身が2枚しか取れませんが、神経を集中させ、丁寧に調理する価値がある魚です。ぜひ一度食べていただきたいと、声を大にして言いたくなるのがヒイラギです。素揚げ用に20匹、南蛮漬け用に20匹、刺身用に20匹、合計60匹くらい釣れれば、家族の分も含め食べ甲斐がありますね!
そもそも、ヒイラギ釣りの記事の需要自体があるとは思えません。ヒイラギが釣れるとほとんどの釣り人は疎み、嫌い、捨ててしまいます。ヒイラギは「猫またぎ」とも言われ、猫も食わずに素通りするほどの雑魚というイメージが定着しきっています。しかし、それは、ヌルヌルが気持ち悪い、棘が痛い、調理が面倒といったイメージが先行し、「食わず嫌い」の人間がヒイラギに植え付けたイメージの濡衣を着せられているだけなのですよ。ちゃんと調理して食べたら、もう外道とは言わせない実力を秘めた小魚なのであります!
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