1万円以下でライトゲーム専用?20月下美人X LT2000Sの性能とは
今回は、ダイワの20月下美人X LT2000Sについてインプレッションしていきます。ライトゲーム専用機として支持を集める月下美人シリーズの入門機となっていますが、実際にライトゲームに向いているのか気になるところです。今回は同シリーズの18月下美人MX LT2000Sや、18レガリス2000Sと比較しながら、その性能に迫っていきます。
20月下美人X LT2000Sの特徴
まずは20月下美人X LT2000Sの特徴について解説していきます。シリーズの中で最もリーズナブルな1台ですが、ライトゲーム専用機らしい特別な仕様は用意されているのでしょうか。
重さは200g
ライトゲームに使用するリールには、感度や操作性求められます。これらは重さによって左右される要素で、基本的には軽いほど向上していきます。20月下美人X LT2000Sの重さは200gと、実売価格10,000円を切るリールとしては比較的軽量です。数年前までのエントリーモデルと比較すると、考えられないほど軽量化されています。これには、LT(LIGHT TOUGH)コンセプトと呼ばれる新たな基準が導入されたことが大きく関わっています。LTコンセプトは、その名の通り「軽さ」と「剛性」をテーマとしたコンセプトです。従来のモデルよりもボディが小型化され、スプールもより肉薄なものが導入されています。剛性に関してはタフデジギアと呼ばれるより耐久性の高いギアを搭載することで、軽量化による剛性の低下とバランスをとっています。
マグシールド搭載
実売価格10,000円を切る20月下美人X LT2000Sですが、ダイワを代表する防水技術マグシールドも搭載されています。マグシールドは、磁性を持つ特殊なオイルで海水や異物の侵入経路を塞ぐことで、回転性能を維持するという技術です。現在はエントリークラスのリールでもこの技術を採用したモデルが増加していますが、10,000円以下のモデルではほとんど見られません。初心者の方はリールのメンテナンスに慣れていないことも多く、自分で管理するのが難しいと思います。しかしマグシールド搭載機なら、基本的に水洗いだけで性能を維持してくれるため、初心者の方も安心です。
ATD搭載
ATD(オートマチックドラグシステム)は、従来のドラグシステムより滑らかで、魚の引きに追従するような動作が特徴のドラグです。ライトゲームでは非常に細いラインを使用しますし、アジのような口の切れやすい魚を狙うこともあります。そのため、ドラグ性能は感度や操作性と同じように重要です。従来のエントリーモデルのドラグは、おまけ程度の性能のものが多く、ライトゲームでは使い物にならないレベルでした。しかしこの20月下美人X LT2000SのATDなら、ライトゲームでも問題なく使用できます。
18月下美人MX LT2000S、18レガリスLT2000Sとの違い
ここまで20月下美人X LT2000Sの特徴について解説してきましたが、次は20月下美人Xの上位機種にあたる18月下美人MX LT2000S、同じくダイワの汎用機である18レガリスLT2000Sとの違いについて見ていきます。具体的な違いを知ることで、どのリールが自分に向いているのか見極めましょう。
18月下美人MX LT2000Sとの違い
18月下美人MX LT2000Sは、実売価格14,000円前後で販売されているリールです。20月下美人Xの上位機種にあたり、メインシャフトに2つのベアリングを装備しています。シャフト部分にベアリングがあるとドラグがより滑らかになるため、ライトゲームでは大きなメリットです。重さは190gで、20月下美人X LT2000Sよりも10g軽くなっています。価格差は3,000円ほどですし、予算がある場合はこちらを選ぶと良いでしょう。
18レガリスLT2000Sとの違い
18レガリスLT2000Sは、実売価格7,000円前後の汎用リールです。マグシールドは非搭載ですが、ATDやエアローターといった基本性能に関わる技術は搭載されているため、実釣性能は20月下美人Xと遜色ありません。自分で問題なくメンテナンスできるという方は、より低価格なこのモデルもおすすめです。
20月下美人X LT2000Sの良い点
シリーズを踏襲したデザイン
20月下美人X LT2000Sの魅力は、月下美人シリーズらしさをしっかりと受け継いだそのデザインにあります。汎用機にはない目を引く配色や、スプールに刻印されたロゴなど、エントリークラスとは思えない所有感を得ることが可能です。特に印象的なのが、三日月をモチーフにデザインされたエンジンプレート。黒いボディに赤色の三日月が映えます。入門機でデザインまでこだわったリールは中々ありませんし、見た目を決め手に購入しても良いでしょう。
バランスの取れた性能
エントリーモデルの20月下美人X LT2000Sは、性能のバランスが良いリールです。ミドル~ハイエンドとまではいきませんが、そこそこの軽さとドラグ性能、巻き心地など、実釣性能には全く問題ありません。月下美人シリーズはライトゲーム専用機という位置づけですが、20月下美人X LT2000Sは他の釣りでも十分使用できるでしょう。特に、「ライトゲーム以外の釣りも同じタックルで楽しみたい!」という初心者の方におすすめできます。
20月下美人X LT2000Sの悪い点
ライトゲーム特化ではない
月下美人シリーズに属するリールではありますが、20月下美人X LT2000Sはライトゲーム特化のリールとは言えません。デザイン面ではシリーズをしっかり踏襲していますが、性能だけに注目すると同価格帯の汎用機と同等です。1つ上の18月下美人MXになるとドラグ性能が強化され、「ライトゲームのためのリール」という印象が強まります。初心者の方が最初の1台として購入されるのは問題ありませんが、「もっと本格的にライトゲームを楽しみたい」という場合にはあまり適さないリールです。
コストカットが目立つ
20月下美人XLT2000Sはあくまでエントリークラスのリールですし、この点は仕方ない部分もありますが、ハンドルノブの仕様は気になります。殆どのリールはハンドルノブにキャップが装着されていますが、20月下美人Xでは中の金具がむき出しの状態です。デザインが良い分、こうしたコストカットが目立ちます。気になる方は好みのノブを購入して交換すると良いでしょう。
おすすめできる釣りのスタイル
20月下美人X LT2000Sは、これからライトゲームを初める方やオールラウンドな小型スピニングを探している方におすすめです。ライトゲーム専用シリーズに属するリールですが、バランスの良い性能を秘めており、どんな釣りでも使えます。エントリークラスでは中々見られないデザインのため、見た目で購入するのも良いでしょう。
他のリールが適したスタイル
本格的にライトゲームに取り組みたい方や、見た目よりも性能を重視したいという方にはあまりおすすめできません。ライトゲームでの性能を重視するなら同じ月下美人シリーズの上位機種がより適していますし、同価格帯なら汎用機の方が性能は上です。
デザインは優秀だが、シリーズのイメージに注意
今回インプレッションしたリールは、ダイワの20月下美人X LT2000Sでした。月下美人シリーズに属するリールではありますが、基本性能はエントリークラスの汎用機と変わりません。ただ、月下美人らしいデザインは価格以上で、所有感を満たしてくれます。最初の1台として購入する場合や、見た目で選ぶ場合は良いリールです。しかし本格的なライトゲーム専用機を探している方はシリーズのイメージに注意しましょう。