10,000円でどこまで使える?ダイワ16BG3500についてインプレ!
今回は、ダイワの16BG3500についてインプレッションしていきます。オフショア向けのリールには剛性・耐久性が求められますが、エントリーモデルであるこのリールの性能がどこまで通用するのか。気になっている方も多いのではないでしょうか。上位機種との違いも明確にしながら、「使えるリール」なのか迫っていきます。
16BG3500の特徴
まず始めに、16BG3500がどんなリールなのか解説していきます。BGシリーズはオフショア向けのエントリーモデルとして展開されていますが、この16BG3500は主にショアジギングやヒラスズキなどをメインに見据えたリールです。どんな特徴を持っているのでしょうか。
実売価格10,000円前後のオフショアリール
冒頭でも触れたように、16BG3500はオフショア向けのエントリーモデルです。実売価格は10,000円前後と、オフショアリールとしては非常に安価な部類に入ります。オフショアでは大型の魚の引きに耐える剛性や、波を被るような状況でも酷使できる耐久性の高さが必要です。そのためオフショア向けのリールは30,000円を超えるものが多く、中には100,000円を超えるようなものも見られます。「ここまで安いと、性能に問題があるのでは?」そう思われる方も多いのではないでしょうか。しかし16BGは、高性能なATD(オートマチックドラグシステム)や、後述のスーパーメタルボディを搭載するなど、十分な基本性能の高さが感じられます。
スーパーメタルボディ搭載
16BG3500は、スーパーメタルボディと呼ばれる剛性の高いアルミ製ボディを搭載しています。通常この価格帯のリールは樹脂製ボディを採用していることが多く、剛性に関しては期待できない場合がほとんどです。アルミは重さこそあるものの、樹脂に比べて剛性が高いため安心できます。
ねじ込み式ハンドル、マグシールドは非搭載
16BG3500ではコストカット・上位機種との差別化のため、ねじ込み式ハンドルやマグシールドは非搭載となっています。ねじ込み式ハンドルは供回り式に比べてガタつきが少なく、より安定した使用感があるハンドルです。ただ、実釣性能で言えば供回り式でも特に問題ありません。また、ダイワの代表的な防水技術であるマグシールドは、人によって評価の分かれる技術でもあります。マグシールド搭載機特有のシャリシャリとした巻き感や、個人で可能なメンテナンスの少なさなど、気になる方も多いのではないでしょうか。「シャリシャリ感が苦手」「自分でメンテナンスしたい」という方には、マグシールドの非搭載はむしろメリットかもしれません。
16ブラスト、19スフェロスSWとの違い
ここまで、16BG3500の特徴について解説してきましたが、次は上位機種にあたる16ブラストとの違いを確認していきます。基本性能を抑えた16BGから、上位機種になることで何が変わるのでしょうか。加えて、近い価格帯で販売されるシマノの19スフェロスSWとの違いについても見てみましょう。
16ブラスト3500との違い
16ブラスト3500は、実売価格19,000円前後で販売されている16BG3500の上位機種です。基本的なスペックは16BG3500と同様ですが、マグシールドが搭載され、ハンドルの仕様が異なります。ハンドルはねじ込み式を採用し、より力を加えやすいよう85mmに延長、加えてパワータイプのノブが採用されています。より快適性を意識した仕様ではありますが、10,000円近い価格差を考えるとお得感はあまり感じられません。16ブラスト3500を選べる予算があるのであれば、16BG3500を購入してロッドやルアーにお金をかける方が良いと思われます。
19スフェロスSW4000HGとの違い
19スフェロスSW4000HGは、実売価格14,000円前後で販売されているシマノ製のリールです。SW(ソルトウォーター)仕様ではありますが、16BG3500とは趣向が異なります。16G3500Hが400gであるのに対し、こちらは280gとかなり軽量です。16BGほどの剛性は期待できませんし、ライトショアジギングやシーバスでの使用が最適と言えるでしょう。
16BG3500の良い点
軸受け部分にベアリングを搭載
エントリークラスのリールである16BG3500ですが、スプールの軸受け部分にベアリングを搭載しています。この価格帯では、汎用機でもベアリングを搭載しているものはほとんどありません。引きの強い魚とやり取りするのであれば、ドラグ性能は必須です。10,000円でドラグにベアリングを搭載している点は、かなり評価できます。
非常に高いコストパフォーマンス
オフショア向けのリールは求められる性能上、価格が高くなりがちです。しかし16BG3500では、最低限必要な部分だけを残してコストカットが行われています。廉価版のリールはコストカットされたくない部分までグレードが下がっていることも珍しくありません。16BG3500は、十分使用に耐える廉価版です。
16BG3500の悪い点
長期間の使用には向かない
長期間の使用になると、やはりガタつきやガリなどの問題が発生してきます。上位機種に比べると、精度や素材の質が低いため仕方ない部分でもあります。質感を気にせず割り切って使える方にとっては良いリールですが、気になる方にはおすすめできません。
ハンドルノブはチューニング不可
16BG3500のハンドルノブは、カシメて固定されています。そのためベアリングを追加したり、ハンドルノブを変えるチューニングは不可能です。標準装備のT字ノブは好みが分かれるため、マイナスポイントと言えるでしょう。
おすすめできる釣りのスタイル
16BG3500は、気軽にショアジギングやキャスティングを楽しみたい方や、これから初める初心者の方におすすめできます。大物狙いに必要な最低限の性能を一通り持ち合わせていますし、何よりコストパフォーマンスが優秀です。ハイエンドのリールを1台買うか、手頃なリールを買い替えて使うかは好みが分かれますが、後者を選ぶ方には最適と言えます。
他のリールが適したスタイル
自己記録更新など、よりストイックに大物を狙う方や、道具としての質感にもこだわりたいという方には、16BG3500はおすすめできません。「あと少しで取れたかもしれない魚」をキャッチするには道具に妥協できませんし、質感を求めるなら精度の高い上位機種を選ぶ他ありません。
気軽に楽しむならこの1台
今回インプレッションしたのは、ダイワの16BG3500でした。実売価格10,000円のエントリーモデルながら、大物を狙うための要素がしっかり詰め込まれ、気軽に楽しめる1台となっています。質や快適性には期待できませんが、お試し感覚で購入してみるのも面白いでしょう。