ハゼをルアーで狙う「ハゼング」をやってみよう、ワームでもハードルアーでも釣れます!
作成:2023.05.31更新:2023.05.31
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ハゼと言えば、小物釣りの定番魚で、子供でも手軽に釣れる人気のターゲットです。淡水釣りのシーンでは、その奥の深さから、「フナに始まりフナに終わる」と言われますが、海水釣りは「ハゼに始まりハゼに終わる」と言われます。フナ釣りもハゼ釣りも、「釣り」というアクティビティの基本的な技術をすべて網羅しています。この釣りで習得したテクニックは、その後のあらゆる釣り人生において、必ずベースとなる基本の技術をすべて網羅した釣りとなります。
しかし、「フナに始まりフナに終わる」も、「ハゼに始まりハゼに終わる」も、ともにエサ釣りを前提とした格言です。時代の流れとともに、釣りの理論もメソッドもタックルも、大きく進化を遂げています。とりわけ、かつては、本物の餌に似せたものであるため、「疑似餌」と呼ばれていた「ルアー」の進化は目覚ましく、現在では自然界に存在するリアルな餌とは似ても似つかぬもの、例えばスピナーベイトやタイラバなどで魚を釣る技術もどんどん確立しています。そして、これまでは虫エサなどでしか釣れないと思われていたハゼも、小型のクランクベイトやワームなどのルアーで釣れることがわかり、虫エサを触れない人がルアーを使い、ゲーム感覚でのんびりハゼを釣って遊ぶということもできるようになっています。
今回は、ルアーを使ってハゼを釣る「ハゼング」について説明していきたいと思います。
そもそもハゼをルアーで釣る必要はあるのか?
身も蓋もないと言われてしまうかも知れませんが、そもそもハゼをルアーで釣る必要があるのでしょうか? ハゼは雑食性で悪食のため、青イソメやジャリメなどの虫エサでバンバン釣れます。一日粘れば写真の数量くらいは普通に釣れるでしょう。しかしそんなハゼをルアーで狙う理由は何でしょう? それは、ライトゲームの「キホンのキ」を手軽に修得できるからに他なりません。特にハゼは水深の浅い岸ギリギリの場所にもいるため、ルアーをどう動かせばどんな泳ぎ方をするのか、また、ハゼがルアーのどんな動きに反応して食いついてくるのかを観察しながら釣る、「サイトフィッシング(見釣り)」ができるというメリットがあります。
ルアーを使ったサイトフィッシングは、ハゼ釣りからマグロ釣りまで、すべてのルアーフィッシングにも共通するテクニックを習得できます。そういった意味で、ルアー二ストにとってはとてつもない学習材料となるのです。
ハゼングのタックル
ハゼをルアーで狙うためのタックルについて説明いたします。基本はちょい投げタックルとほぼ同じで構いませんが、本格的にルアーフィッシングの基礎を習得したければ、メインラインにはPEラインを使い、先端にフロロカーボンのショックリーダーを使うと良いでしょう。
ロッド
ロッドはいわゆるちょい投げロッドで良いでしょう。ハゼングは軽量ルアーを使いますので、そんなに遠投できませんし、遠投する必要もありません。ロッドの調子はやや張りがあるものの方が、キビキビとルアーを操りやすいでしょう。細身のアジングロッドやエギングロッドなどは非常におすすめです。長さは7フィートから8フィートくらいが使いやすいと思います。
リール
リールは小型のシャロースプールのスピニングリールがいいでしょう。番手はズバリ2000番をおすすめします。ラインキャパを考えれば1000番でも全く問題ないのですが、スプール径の小さい1000番のリールよりも、2000番のリールの方がライントラブルが少なく、ハゼ釣り以外の汎用性も高いと思います。また、ルアーでハゼを狙っていると、セイゴ(スズキの幼魚)やカイズ(クロダイの若魚)、エイなど、思わぬ大物が掛かることもありますので、2000番を装備しておいたほうが安全です。ギアはハゼの場合はノーマルギアがいいでしょう。ショアジギングのような高速リトリーブはハゼ釣りにはありません。基本はスローリトリーブです。
ライン
メインラインも特にこだわる必要はありませんが、ルアーフィッシィングの練習を兼ねてハゼングを行うならば、メインラインはPEを使うのが良いでしょう。号数は0.4号を使用し、先端にフロロカーボンの3lb程度のショックリーダーを1m程度結んでおきましょう。結び方はきちんと「ノットシステム」を組みましょう。基本ハゼ釣りなので、ノットの締結強度等はあまり気にせず、自分が得意だと思うノットを正しく結ぶことを心掛けましょう。ノットシステムはいろいろたくさん覚えることよりも、スピーディーに、薄暗い中でも風の吹く中でも完璧に結べるノットをひとつマスターする方が得策です。
PEラインを使わない場合は、メインラインはフロロカーボンの6lb(1.5号相当)位が良いでしょう。ナイロンラインよりも硬い使い勝手ではありますが、ハゼはベタ底狙いなので、ルアーの操作性を考慮すると、比重の高いフロロカーボンラインが向いています。
ルアー
ハゼ釣りに使用できるルアーは、小型のものであればなんでも使えますが、ボトムでアクションさせる釣りなので、着底させることができるものを使います。小型のスプーンや、潜行タイプの小型クランクベイト、ジグヘッドリグなどが向いているでしょう。クランクベイトは、ハゼがエサとして認識して食いついてくるというよりも、ハゼの縄張り意識を刺激し、動いて接近してくるものに対して無意識に突進してくるという、どちらかというと、アユの友釣りに似たメカニズムになります。
ベイトフィネス用などの超軽量ルアーはキャスティングや取り回しに経験と慣れが必要ですので、重量は5g程度あるものが良いでしょう。
ハゼングの実践
ここからは、ハゼをルアーで釣るハゼングの実践について説明して行きます。まずは基本的なこととして、ハゼ釣りがショアから楽しめるのは初夏から晩秋までです。水温が低い冬から早春にかけては沖の深場に落ちています。水温の上昇とともに接岸し、盛夏になれば非常に浅い岸ギリギリのところまでエサを求めて接近してきます。そのため、ハゼングがやりやすいのは夏から初秋にかけての時期となります。
ポイント選び
ハゼをルアーで狙う場合も、ポイント選びはエサ釣りの場合と変わりません。河川の河口部など、汽水域で干満の影響を受ける砂泥底が、ハゼが好む動物性プランクトンや多毛類(ゴカイなど)が豊富に存在するため、狙い目となります。底の状態は、ハゼの場合は、シロギスが好む清澄な砂底よりも、濁りが多く発生する泥質の底を好みますので、泥(ヘドロではない)が堆積しているような場所を選びましょう。
また、船着き場など、小型船舶が停泊し、影ができているような場所は、ハゼが多数身を潜めている事が多いため、丹念に探りたいポイントとなります。停泊している船の直下や、船舶の出入り口付近にできる、船の出入りによって底砂が掘られた駆け上がりの部分を重点的に攻略します。エサ釣りとは違い、ハゼをおびき寄せる能力はルアーにはないので、基本は移動しながらハゼがいる場所を探し求めるランガンスタイルになります。
狙いやすい時合い
ハゼは完全な昼行性の魚であるため、特に間詰め時を重点的に狙うようなことは必要ありません。それよりも、潮が動いている時間に狙うことが大切です。潮が止まっている時間は、エサとなるプランクトンなども動きが鈍くなり、ハゼの活性も下がります。
潮位は高い時の方が足元近くまでハゼが近付くことができるため、接近戦がしやすいでしょう。潮位が低いとポイントはやや遠くなりますが、ある程度の距離まで、底の状態やハゼの存在を目で見ながら釣るサイトフィッシングがやりやすくなります。
サイトフィッシングの重要性
ハゼングの場合は、サイトフィッシングができることが大事です。ターゲットの存在や海底の状態を目視しながら、根掛かりを回避しつつターゲットを効率よく釣りあげることができるサイトフィッシングは、即釣果アップにつながります。そのため、水面にギラギラ反射する雑光を除去できる高性能の偏光サングラスを必ずかけて行いましょう。曇りの日でもかけていた方が海底のハゼを見つけやすくなります。
アクションの基本はボトムをズル引き
ハゼングのルアーアクションにはこれといったテクニックは必要ありませんが、スローリトリーブでボトムを這わせるようにルアーを操作しなければならないため、常に根掛かりのリスクが伴います。そのため、可能であれば浅い場所でのサイトフィッシングをすることをおすすめします。しかし、それができない時は、ルアーやラインを通じてロッドに伝わってくるボトムの情報を全身を研ぎ澄ませてセンシングしなければなりません。
手に伝わる感覚や巻きの重さの変化を敏感に捉えながらスローリトリーブして行きます。途中で障害物に引っ掛かるような感覚や、巻きが突然重くなったと思ったら、ロッドを軽く上にしゃくり挙げ、ルアーを跳ね上げて根掛かりを回避しましょう。
もし、サイトフィッシングができる環境なら、ハゼの鼻先をルアーがゆっくり通過するように仕掛けをコントロールし、ハゼの目の前でルアーをチョンチョンとバンプさせ、底砂の泥を少し巻き上げて濁りを作ってやるとパクリと食い付いてきます。しかし、あまり捕食が上手ではないので、一発で針にかけることは簡単ではありませんが、ハゼは捕食に失敗しても、何度でも果敢に食ってきますので、焦らずにボトムをチョンチョン叩き続けましょう。
ハゼングはルアーの浮き上がり過ぎ厳禁
ハゼ狙いに特化する場合、ルアーは浮き上がり過ぎないように注意しましょう。ジグヘッドワームやスプーンを使う場合は浮き上がりの心配はしなくても良いですが、小型のクランクベイトを使う場合は要注意です。もし、リトリーブで潜行しても、ハンドルを止めてしまうと大きく浮き上がってしまうようなら、シンカーを取り付け、完全にボトムを這うようにチューニングする必要があります。
但し、シンカーをつけたクランクベイトは途端に根掛かりマシーンと化すため、細心の注意を払わなくてはなりません。根掛かりのリスクが低いと自信を持って断言できる、釣り慣れたポイントならいざ知らず、水位が高く、サイトフィッシングができない、知見のない場所での使用は控えたほうが良いかも 知れません。シンカーを取り付けたクランクベイトは、障害物を乗り越えるための跳ね上げがうまくできないことが多いので、通常の跳ね上げよりも一段大きなアクションでロッドをシャクる必要があります。
数を上げるコツ
ハゼングは正直効率の良い釣り方とは言えません。個人的には、ハゼ釣りの醍醐味は、細くて柔らかい延べ竿と極細の道糸に、ゴカイやジャリメなどの虫エサを使い、ハゼの「プルプルプル」という何とも言えない小気味良い引きを堪能しながら、数をたくさん釣り上げ、持ち帰って天ぷらなどで美味しくいただくことだと思っています。しかし、虫エサがどうしても触れないという方や、キャッチアンドリリースを旨としているゲームフィッシングアングラーにとっては、ルアーによる決して効率の良くないハゼ釣りも、十分に楽しむことができるメソッドとなります。そんなハゼングですが、少しでも数を上げたい人のためのコツについて説明します。
ワーム(ソフトルアー)を使う
アジング用、メバリング用などの小型のソフトワームは、ゴム質素材の水中での動きがハゼの興味を惹き、さらにワームに付与された匂い成分により、一定の集魚効果も得ることができます。活性が低いときは特に、クランクベイトやスプーンなどのハードルアーよりも分があります。ストレートタイプ、グラブタイプ、カーリーテールタイプ、シャッドテールタイプなど、数タイプのソフトルアーをこまめにチェンジしながら、その日の当たりルアーを探し出しましょう。
カラーチェンジを頻繁に行う
すべてのルアーフィッシングに言えることですが、ハゼングのシーンにおいても、ルアーのカラーローテーションを行うことは釣果に直結します。ハゼは底砂の色や周囲の色に同化するようなナチュラルカラーを好む傾向がありますが、反応が薄い場合は徐々に目立ちやすい派手なカラーにチェンジして行くと反応が良くなっていくことがあります。そのため、スタート時はブラウン系やグリーン系などから始め、徐々にオレンジ、ピンク、赤、黄色、ゴールド色などへチェンジして行くと良いでしょう。どの色がその日のヒットカラーになるかはわかりませんので、クリア系、ラメ系なども含め、たくさん用意しておくと良いでしょう。
発展途上のハゼのルアーフィッシングは練習にピッタリ!
ハゼのルアーフィッシングは2000年代初頭ころから始まった、比較的新しい釣りのジャンルです。ハゼング専用タックルもまだ潤沢とは言えませんが、ハゼを釣ること自体はさほど難しいことではありませんので、将来的に様々な魚をルアーで釣ろうと考えている初心者にとっては、ハゼングは格好の練習材料になります。どういう動きで誘えばどういう反応を示すのか、カラーローテーションはどういうパターンを構築すればよいのか、ルアーの形状やサイズはどうすればよいのかなどは、サイトフィッシングを行うことによって十分観察しながら釣りができます。まずは手軽なターゲットであるハゼを相手に、ルアーフィッシングの基本をしっかり習得し、その後、様々なルアーフィッシングに挑戦してステップアップして行くのが良いでしょう。