ワカシやイナダなど、小型・中型青物を、遠投カゴサビキ仕掛けで狙う場合は、飛ばしウキをつけて仕掛けを青物の回遊ルートめがけてキャストしなければなりません。この場合のコマセカゴは、キャストの力に耐え、飛行時は姿勢を保ちつつ、コマセをこぼさずにポイントまで保持させなければなりません。そんな場合に便利なのが、「ロケットカゴ」と呼ばれるコマセカゴです。
このタイプのコマセカゴは、飛行時にコマセカゴが動き回って飛行の抵抗にならないように、メインラインに対してまっすぐ取り付けるため、カゴの中心部にクッションゴムがまっすぐ通っています。このクッションゴムの上下にメインラインとサビキ仕掛けを取り付けます。主に表層付近を回遊する青物の遊泳ルート上に仕掛けを直撃し、素早く放出させたコマセで足止めさせて、ターゲットを一撃で仕留めるための重要なアイテムです。
タカミヤ公式
オフショアで深場を攻め、大型のアジやイサキ、マダイやアマダイなどを狙う場合は、大型のビシカゴを使います。例えば水深100mの場所まで一気にコマセと仕掛けを沈めなければならないため、カゴの底部には大型のビシ(オモリ)が取り付けられています。上の写真のビシカゴは非常にオーソドックスなビシカゴです。写真ではわかりづらいのですが、ボディーに扉がついていて、扉を開けて横からコマセを詰めたら、扉をしっかり閉めてロックします。水深に応じて重さは使い分けますが、ざっくりと、オモリの号数は深さ(m)と同じと覚えておけばわかりやすいでしょう。すなわち、水深50mなら50号、100mなら100号といったイメージです。
ダイワ公式
この写真のビシカゴは、ダイワ・MDビシⅡという特殊なビシカゴですが、これは本体のキャップを回すことでコマセの放出量を調節することができる優れモノで、流線型のフォルムは水の抵抗を受けることが少なく、素早く目的のポイントまで沈んで行きます。非常に高価なのが難点といえば難点ですが、60号、80号、100号のラインアップがあり、オーソドックスな針金ビシカゴよりもポイントに早く仕掛けを送り込むことができ、巻き上げ抵抗も小さいため、オフショアビシカゴ釣りを頻繁に行うのであれば、是非とも使いたいアイテムです。
写真のように、コマセカゴの下部、コマセが出る部分にフラップがついているものもあります。これには、仕掛けを投入しカゴが沈んているとき、フラップが水の抵抗を受けて上向きになり、コマセの出口を塞ぐ役目があります。すなわち、ポイントに到着するまでコマセを無駄に放出させないための可動式の蓋です。沈降が終わり、ラインを止めると、下からかかる水の抵抗から開放され、フラップが下にさがり、コマセがそこで初めて放出される仕組みとなっています。このタイプのコマセカゴにはあまり大きなものはありませんが。コマセを効率よくピンポイントに拡散させることができる、大変便利なアイテムです。
オフショアでのビシカゴ釣り仕掛けについて、簡単に説明しておきます。基本は漁港や堤防などで足元に垂直に落とすサビキ仕掛けとほぼ同じです。オフショアのビシカゴ釣り仕掛けでは、カゴの取り付けに片テンビンを使うことが唯一の違いといったところでしょうか? 他は、それぞれのパーツ類がオフショア用の方がサイズが大きくなっているだけと言えます。ロッドとリールはオフショア専用のパワーのあるものを用意しましょう。マダイ用やタチウオ用、ターゲットによってはブリの落とし込み釣りに対応できるようなヘビーなタックルが必要になる場合もあります。ビシアジ釣りなどの場合はライト五目ゲーム用などのタックルでも良いでしょう。
小物釣りでも大物狙いでも、コマセカゴを使う釣りをする場合には気を付けなければならないことがありますので、いくつか記載しておきます。
コマセカゴは材質こそ化学繊維の編み物、樹脂成型品、線鋼加工品と様々なものがありますが、すべてについて言える一番の注意点は、コマセをかごにギシギシに詰め過ぎないことです。一回でなるべくたくさんのコマセを撒けるよう、コマセカゴにコマセをいっぱいに詰めて、さらにギュッと押し込んでから仕掛けを投入する人を稀に見かけますが、ギシギシに詰めてしまったコマセカゴは、ポイントに到着したあと、ロッドを上下に煽った際、コマセがうまく放出できません。カゴの容量の8割くらいまでにして、決してギュッと押し付けないようにしましょう。
コマセカゴの材質やカゴ全体のサイズを問わず、思いの外網の目は細かいものです。アミコマセを使う場合でも、イワシミンチを使う場合でも、十分に潰してカゴに詰めなければなりません。カゴに詰める前に再度良く潰して、こねましょう。そうすれば、コマセの放出を妨げる不純物が混入していれば気がつくはずです。
アミコマセやオキアミを使う場合は、特に気をつける必要があります。冷凍のコマセブロックを解凍して使う場合は、魚の鱗が大量に混入している場合があります。こういうものをコマセカゴに入れても、鱗が邪魔をして、コマセカゴからコマセが全く出て行きません。
国産(三陸産が多い)のアミブロックや、日本メーカー製のナンキョクオキアミブロックであれば、不純物は十分除去されてから冷凍されていますのでほぼ問題ありませんが、中国、韓国からの輸入品の場合はほぼ100%不純物がそのまま一緒に冷凍されています。そういうものはコマセカゴに入れるコマセとしては使い物になりません。それらは、カゴに入れずそのまま撒くフカセ釣りに使いましょう。
マルキュー
非常に割高にはなってしまいまずが、パックコマセを利用すれば、鱗やゴミの類は完全に除去されていますので、少なくともコマセカゴが詰まってコマセが放散されないという心配は一切無用です。常温保存できることや、臭いを抑える加工が施されているのも使い勝手の点でアドバンテージになります。
写真のマルキュー「カゴズバッ」は、遠投カゴ釣りに使えるパックコマセとして、増粘処理が施され、キャストの勢いでコマセが飛び散りにくいという、途轍もないメリットがあります。遠投カゴ釣りをするのであれば、是非とも使いたいコマセです。
仕掛けを真下に落とす波止での小物狙いや、オフショアからのビシカゴサビキ釣りならあまり問題ないかもしれませんが、遠投カゴ釣りの場合は置き竿は厳禁です。飛ばしウキをつけて50m〜60m先のポイントにコマセカゴがついた仕掛けを投げます、そして、大きな飛ばしウキがついているため、仕掛けは表層付近に浮いているはずです。仕掛けはどんどん潮に流されて遠くへ行ってしまいます。
遠投カゴ釣りのハイシーズンになれば、有名なポイントには立錐の余地がなくなるほど多くの遠投カゴ釣り師が仕掛けを投げています。ラインスラッグをウォッチせず放置していては、たちまち他人の仕掛けとオマツリしてしまいます。PEラインをメインラインに使うことが多い遠投カゴ釣りでオマツリは致命的なダメージをお互い受けます。
せっかくの休日を台無しにしないためにも、オマツリは絶対に避けなければなりません。置き竿、放置はもってのほかです。
カゴにコマセを詰めた仕掛けを狙ったポイントに送り込み、回遊してくる青物を足止めにして釣り上げるサビキ釣りは、理論だけを考えれば大変合理的で、簡単に釣れるイメージがありますが、この「回遊してくる青物」というものが曲者で、同じルートを規則正しく回遊してくることは全くありません。
基本、青物はベイトフィッシュを追って回遊してくることがほとんどですが、このベイトフィッシュが神出鬼没で、気温、天気、風の有無、濁りの有無などにより、毎日発生する場所が異なります。そのため、ベイトフィッシュがいなければどんなにコマセを撒いてもターゲットは回って来ず、予測することもほとんど不可能という、一か八かのギャンブル性の高い釣りです。
その代わりの、当たりの日であれば次から次へと大物が掛りまくり、笑いが止まらない釣りでもあります。一度この大当たりを経験してしまったら、その味が忘れられず、カゴサビキ釣りに明け暮れるようになるという、中毒性の高い釣りであります。是非一度ギャンブルを堪能してみて下さい。きっと果てしない沼にハマることでしょう!
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