ベイトリールの仕組みを大解説! スピニングリールと何が違う?

作成:2022.08.01更新:2022.08.01

タカミヤ・ギガソルト HG RH

ベイトリールは、スピニングリールと比較して、巻きのパワーが強いとか、太いラインが使えるとか、一般的に言われていますが、具体的にどこがどう違うのでしょうか? 巻きのパワーが強い理由は何でしょうか? 太いラインが使える理由は何でしょうか? そんな、ベイトリールの仕組みと、スピニングリールとの違いについて、初心者アングラーにもわかりやすいように心がけて解説して行きたいと思います。

ベイトリールの基本的な構造

ベイトリールの構造は、スピニングリールと比較すると、基本的な機構に関する部分は単純です。ハンドル中心部の軸に、直径が大きく、歯数の多いドライブギア(メインギア)が取り付けられております。この、歯数の多いドライブギアから入力された回転の力を、スプール側についているピニオンギアで受け、スプールをハンドルの回転と逆方向に回します。この、ドライブギアの歯数とピニオンギアの歯数の倍率が、ギア比と呼ばれます。

例えば、ドライブギアの歯数が85、ピニオンギアの歯数を12とすると、85÷12=7.0833333333・・・となり、ギア比は7.1となります。ハンドル1回転で、スプールが約7.1回転するという意味です。ベイトリールのドライブギアとピニオンギアの関係は、自転車のペダルが付いているフロントスプロケット(歯車)と、後輪に取り付けられているリヤスプロケットの関係と全く同じです。自転車の場合は、それぞれの歯車が離れているため、フロントスプロケットから入力される力をチェーンを介して伝達しているだけです。

ドライブギアは中心に穴が開いていて、メインシャフトを貫通して取り付けられていますが、ドライブギアの穴とシャフトは噛み合っておらず、ただ挿入されているだけであるため、このままではハンドルを回してもドライブギアは回りません。このドライブギアをメインシャフトと連動して、金ドルを回すとともにドライブギアが回るようにするパーツがストッパーギア、スタードラグ板という金属パーツです。このストッパーギアとスタードラグ板の間には複数枚のドラグワッシャーとドライブギアが挟み込まれています。そして、スタードラグ板の外側には、スタードラグ板を締め付けるワッシャーとボルトが内蔵された星形のドラグハンドルが取り付けられています。この星形のドラグハンドルを回すことでドラグの調整を行います。

レベルワインダーの仕組み

スプールの前に取り付けられたレベルワインダー。これがあるおかげでラインが均等にスプールに巻かれていきます。

レベルワインダーは、スピニングリールのオシレーションに相当する機構です。ラインが均等にスプールに巻かれて行くように、スピニングリールの場合は、スプールを固定しているメインシャフト後部のカム機構(もしくはクロスギア機構)が働き、スプールを前後に動かして、ラインが均等に巻かれて行くよう調整されますが、ベイトリールの場合は、スプール軸の両端がボディに固定されており、スプールを動かすことができないため、ボディのフロント側にクロスギア軸を渡し、このクロスギア軸の上をクロスギアピンに取り付けられレベルワインダーが左右にスライドすることで、ラインがスプールに均一に巻かれて行きます。

レベルワインダーは、クロスギア軸に刻まれた2本のX状に刻まれたクロスギア軸の上を走ります。

上の写真は、ベイトリールのレベルワインダーを下から撮影したものですが、クロスギア軸とは、スパイラル状の2本の溝が切られたシャフトです。この、クロスギア軸を動かす動力もハンドル軸に取り付けられたクロスギアから供給されます。

クラッチの仕組み

ベイトリールのクラッチはスプールの真後ろにあり、このレバーを押し下げるとクラッチが切れ、スプールがフリーになる

ベイトリールに備わっている機構の中で、最も特徴的と言えるものがクラッチではないでしょうか? ボディ後部についているレバーで、親指で押し下げるとドライブギアとピニオンギアの接続が切れ、スプールがフリーになり、ラインを放出するための機構です。クラッチレバーを押し下げた状態では、スプールシャフトとピニオンギアが固定されないため、スプールはフリーになります。この状態でラインを放出し、仕掛けを投入したらハンドルを回すと自動的にスプールシャフトとピニオンギアが固定されて噛み合い、ハンドルの回転に応じてラインが巻かれて行きます。

ボディ後部のスイッチはクラッチの自動リターンのON/OFFスイッチ。スイッチが上にある状態がOFF、下に下がっていればON。自動リターンモードOFFの場合はハンドルを回すとクラッチがクラッチが再び繋がり、ONの場合はクラッチレバーを押し下げた指を話すとすぐにクラッチがつながる。

機種によっては、クラッチレバーの横に、写真のようなスイッチがついているものがあります。このスイッチは、「スピードクラッチ機構」といって、クラッチレバーのロックのON/OFFを切り替えるスイッチです。写真の状態がスピードクラッチOFF、スイッチを下に下げるとスピードクラッチONとなります。スピードクラッチOFFの場合は、クラッチレバーを押し下げるとその場でクラッチレバーが固定され、指を離してもスプールはフリーの状態になります。クラッチを再びつなぐにはハンドルを回します。ハンドルを少し回すと自動的にクラッチレバーが跳ね上がり、巻き上げが始まります。スピードクラッチONの場合は、クラッチレバーを押し下げた際にレバーの固定ができないため、指でクラッチレバーを押し下げている時だけスプールがフリーとなり、指を離すと即クラッチがつながます。このスピードクラッチは、フォール中にバイトさせるような釣りを手返しよく行う時に便利なモードです。普段はスピードクラッチはOFFの状態で使用します。

ベイトリールとスピニングリールの違い

スピニングリール(ダイワ・レガリス LT2500D)とベイトリール(タカミヤ・ギガソルト HG)

以上、これまでベイトリールの基本的な構造について説明してきましたが、ここではベイトリールとスピニングリールの違いについて説明して行きます。

スプールの向きの違い

スピニングリールのスプール(左)とベイトリールのスプール(右)

ベイトリールとスピニングリールの一番大きな違いがスプールの向きです。スピニングリールの場合は、ラインの放出方向に対し90°の角度にラインが巻かれて行きます。そして、スプール自体は回転しません。ラインを巻き取るのは、ベイトリールには存在しない「ローター」と、ローターに取り付けられたベイルの先端に取り付けられている「ラインローラー」です。ラインローラーがラインを拾い上げながら、ローターが高速回転し、スプールにラインを巻いて行きます。ただし、そのままでは同じ場所にラインがずっと巻かれて行ってしまうため、「オシレーション」という機構がすべてのスピニングリールにはあります。スプールを固定しているメインシャフトが前後に往復運動することで、ローターは常に同じ軌道を回っていても、スプールが動いてくれるため、スプール全体にラインが均等に巻かれて行きます。

対して、ベイトリールのスプールは、ラインの放出方向と同じ向きを向いていて、ラインの巻き取りはスプール自体が回転して行うため、スピニングリールのローターに相当するパーツはありません。ローターがなく、かつ構造的に弱くならざるを得ないベイルアームもラインローラーもないため、非常に巻きパワーが強いのがベイトリールの最大の利点です。スプール自体が回転し、グングンラインを巻き取って行きますので、スピニングリールよりもパワフルな釣りが可能です。また、ラインの放出方向と巻き取り方向が同じなため、ナイロンラインやフロロラインをスピニングリールで使う際に出やすい、ラインに螺旋状の巻き癖がつきにくいというメリットもあります。スピニングリールには必須のオシレーションに相当する機構は、ベイトリールの場合は先述のレベルワインダーが担当します。

大きな負荷に対してはベイトリールが有利

大型魚がかかった時、或いは根掛かりを外す時など、ラインを通じて大きな負荷がかかった時は、ベイトリールが圧倒的に有利です。スピニングリールの場合、ラインにかかる負荷を一手に受ける部分はラインローラーです。この、ベイルアームの先端にビス1本で固定されている小さいパーツにすべての負荷がかかるわけですからたままりません。そしてこのラインローラーは回転するローターの上についているため、ローターの回転により、ラインとラインローラーの接触する角度が常に変動しています。このため、大きな負荷がかかったまま巻き続けると、どうしても傷みやすい部分なってしまいます。

対してベイトリールの場合は、ラインにかかる力はほぼ正面でスプールが受けます。スプールは円筒形状をしているため、最も機械強度が高い状態でラインをグイグイ巻き取って行きます。ラインを巻いている際にスプールにかかる負荷は、スプールを固定しているシャフトの左右の端部で分散して受けますので、ラインローラー一か所ですべての負荷を受け止めるスピニングリールよりも、ベイトリールの負荷を受けるポイントにかかる力は弱くなり、力強い巻き上げが可能になるのです。

ベイトリールは片手で操作できる

ベイトリールをツーフィンガーグリップで持った写真

スピニングリールは構造上、片手で操作することはできません。片手でロッドのリールシート部を握り、そのあと、利き手の人差し指にラインを掛けて、ベイルを起こすという、キャスト直前の一連の準備動作が、片手では絶対にできません。そして、キャスト終了した後、ベイルを戻す動作も、一部の競技用スピニングリール以外は片手ではできません。しかし、ベイトリールの場合は、ベイトキャスティング用のピストル型リールシートを備えたロッドに取り付けてあれば、クラッチOFF→キャスト→サミング→着水→クラッチON→リトリーブ開始・・・の一連の動作は片手でできます。

ベイトリールの宿命、バックラッシュ

バックラッシュはベイトリールを使うには避けて通れない道。ひたすら練習あるのみ!

初心者がベイトタックルに挑戦する際、100%避けて通れないトラブルがバックラッシュです。バックラッシュは、スプール自体が回転しラインを放出する構造のベイトリールの宿命と言えるトラブルで、スプールの回転スピードがラインの放出スピードを上回った瞬間、100%発生します。写真の通り、ラインがスプール上でぐちゃぐちゃに絡まる現象です。初めてベイトタックルで釣りに挑戦するような場合は、このバックラッシュ対応で一日が終わってしまったなどということもたくさんあるライントラブルです。この現象を少しでも緩和できるよう、ベイトリールには様々なブレーキシステムが存在します。これらのブレーキシステムの構造とセッティング方法をよく理解すると同時に、「サミング」という、スプールの回転を指で軽く触れて抑制するテクニックを使えるようになれば、バックラッシュの悩みも解消します。練習あるのみです。

メカニカルブレーキ

メカニカルブレーキの調整はすべてベイトリールの基本設定。まずはここからセッティングをはじめる。

メカニカルブレーキは全てのベイトリールに装備されている、基本のブレーキシステムです。スプール固定の締付力を調整します。写真の丸い調整ネジを少しずつ回して調整します。

遠心ブレーキ

シマノのベイトリールに多く搭載されている遠心プレーキは、オレンジ色のシュー調整パイプをON/OFFして、ブレーキシューの当たりをチューニングします。

遠心ブレーキは、スプールの回転による遠心力で、ブレーキシューがスプールを収納しているフランジ部に触れることでブレーキがかかるシステムで、シマノのベイトリールに多用されている接触式ブレーキシステムです。遠心力の大きさに応じてブレーキの効きが変わるため、効率の良いブレーキングが可能で、飛距離の点で有利なブレーキシステムですが、着水時はほとんどブレーキがかからない状態になるため、着水前のサミングが必須です。

マグネットブレーキ

マグネットブレーキの内部。磁力でスプールの回転を抑制するタイプのブレーキ。

マグネットブレーキは、磁力でスプールの回転を抑制する非接触式のブレーキシステムで、ダイワのベイトリールに多用されています。磁力の大小はサイドカバー部のダイヤルで調整できますが、キャスト時の磁力はラインの出はじめから着水まで、一定の力がかかり続けるため、バックラッシュの抑制には効果的ですが、飛距離の点では遠心ブレーキに軍配が上がります。

デジタルコントロールブレーキ

シマノの高級機種に搭載されているデジタルコントロールブレーキは、型番の後ろに「DC」というアルファベット2文字が付与されています。スプールにマグネットが、スプール受けにはセンサーと制御基板が内蔵されており、スプールの回転数を検知し、マイコンが最適なブレーキングを行うという自動ブレーキシステムです。非常に高価ではありますが、バックラッシュの心配はほぼ解消します(メカニカルブレーキの初期設定は必須です)。

スピニングリールとベイトリールの使い分け

最後に、スピニングリールが良い場面と、ベイトリールが良い場面について説明します。往々にして「好みの問題」という面もあるかも知れませんが、釣りのジャンルによって、スピニングタックルが向いているものとベイトタックルが向いているものは確実にあります。

スピニングリールが向いている釣り

スピニングタックルは比較的万能ではありますが、ラインスラックを利用して仕掛けを潮の流れに任せて流すような釣りにはスピニングタックルが向いています。磯で仕掛けを潮の流れに乗せてコマセつ食わせの同期を狙うウキフカセ釣りや、サーフでの離岸流や河口部の複雑な流れに乗せてルアーを流すドリフト釣り、30号程度の錘をつけた天秤を100M以上のポイントへ大遠投する釣りなどにはスピニングリールが向いています。どれも使用するロッドが長いという特徴があります。10フィートを超えるロッドを使う場合はスピニングタックルが使いやすいでしょう。

ベイトリールが向いている釣り

ベイトリールを使用するメリットは、「ピンポイントの場所に仕掛けを落とすコントロールが要求される釣り」に向いています。河川源流部で障害物を避けながらピンポイントの場所に小型ミノーをキャストしたり、流木やカバー周りにホッパーなどを正確に通すバス釣りなどはベイトタックルに軍配が上がります。5フィート~7フィート前後のショートレングスのベイトロッドを合わせると、近~中距離のコントロール性がスピニングタックルよりもはるかに良くなります。また、100mを超える水深の場所へ仕掛けを送り込む釣りには、スピニングリールではラインキャパが足りなかったり、巻きパワーが足りなかったりしますので、中型以上のベイトリールを使わないと釣りにならない場合もあります。

ベイトリールを使いこなせるようになると釣りの幅が広がります!

穴釣りで釣れたムラソイ

いかがでしたでしょうか? 初心者にとって、ベイトリールはネガティブなイメージが付きまとっていて、なかなか手が出しづらいと思っていることでしょうが、ベイトタックルは慣れるとスピニングタックルよりも手返しの良い釣りを楽しむことができます。そして、初期設定を正しく行えるようになって、キャストの練習を少し行えば、目をつぶっていてもバックラッシュさせずにキャストすることができるようになります。スピニングタックルでは為しえなかった、針の穴を通すコントロールがベイトリールでは身に付きますよ。そして、1g以下のジグヘッドを投げるベイトフィネスの世界へとステップアップして行ってください。

この記事を書いた人

ショアおやじのプロフィール写真

初心者歴40余年!
ショアおやじ

 メジナ、クロダイ、アイナメ、カサゴ、メバル、カワハギ、シロギス、イシモチ、カレイ、ハゼ…ベラ、フグ、ヒイラギw、フカセ釣り、投げ釣り、穴釣り、江ノ島周辺(湘南大堤防、表磯、裏磯、片瀬漁港)、福浦岸壁、大磯サーフ、逗子・葉山界隈、城ヶ島(神奈川県)


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