至高のスピニングリール シマノ ステラC5000XGの使用インプレッションをご紹介。
ステラC5000XGの特徴
まずステラC5000XGはステラシリーズの中でもボディサイズ、ラインキャパシティ共に最大クラスの番手であり、PEライン:2号が300m巻けるキャパシティがあります。その為、ショアからのサーフフィッシングゲームはもちろん、ショアジギングやオフショアでのライトジギング、ライトキャスティングまで幅広く使用することが出来ます。またステラシリーズはシマノが販売するスピニングリールの中でも最高峰のリールである為、ドラグ性能や巻き取りパワー等が高い次元で設計されており、魚種ごとに通常の釣りでは使わない様なワンランク小さい番手でも、充分対応することが出来る懐の深さがあります。実際に地磯からブリを釣り上げた際、リールサイズが大きいステラSW6000や8000番手での使用が一般的な環境下でも、ステラC5000XGで問題なくキャッチすることが出来ました。使用してく中でこれほど、懐が深く扱い易いリールはないのではと思う程でした。
驚愕の巻きの滑らかさ
ステラと言えば、シルキーな巻き心地と高いドラグ性能の2つが真っ先に思い浮かぶ性能であり、「マイクロモジュールギア」を採用した旧モデルでも初めての触った際は、驚きましたが、2018年に発売された現行もモデルは更に進化した「マイクロモジュールギアⅡ」を採用し、驚愕の巻き心地を実現しています。目を瞑っても明確に他のリールとの違いが判る程、全体の部品、ギア等がカッチリと噛み合っているのが良く伝わってきます。この巻きの滑らかさは、ルアーをリトリーブする際、流れの変化や魚からのバイト、ベイトフィッシュの接触等を判断し易く、釣りがやり易くなります。正直、ヴァンキッシュシリーズの様な圧倒的な巻きの軽さはありませんが、このシルキーな巻き心地はステラしか味わうことができないでしょう。
圧倒的なドラグ性能
ファイト時は当然、魚の引きに追従してドラグが出ることで身切れや口切れ等のトラブルを回避しますが、それでも釣りをしていく上で魚をバラすのは付き物と言えます。もちろんバラしの原因はリールだけではないですが、ステラのドラグ性能は「リジットサポートドラグ」の搭載により、高レベルなものに仕上がっており、バラしを軽減できます。しかし、それでもバレてしまう魚はバレてしまうものです。特に大物をバラした際は、ショックが大きいですが、私はステラを使用することで「ステラのドラグ性能でも取れなかったか。」と諦めが付くことが殆どです。正直、他のリールを使用していても、大幅にバラしが増えることは少ないですが、この安心感は釣りをしていて非常にありがたいです。
高い剛性
シルキーな巻き心地と高いドラグ性能ばかりであまりイメージがありませんが、ステラは剛性も非常に優れています。特に巻き取りパワーや大物が掛かってもブレない質感はミドルクラスのリールとは一線を画しており、多少の大型魚とのやり取りではビクともしません。もちろんオフショア専用に設計されたステラSWシリーズと比較すると剛性においては敵わないですが、大抵の魚とのファイトにおいて無理をしてリールに頼ったファイトをしても全く問題なく使用できます。
部品精度、組み立て性
今回ステラを使用して実感したことは、部品精度の高さ、組み立て性の高さです。通常のリールはリール単体を持ち上げて振った際、部品同士の隙間(クリアランス)によりガチャガチャと音を立てますが、現行のステラはこのガチャガチャ音が殆ど無く、新たに搭載された「サイレントドライブ」の効果を実感できます。この部品精度、組み立て性の高さが滑らかな巻き心地やロスの無い巻き取りパワーを実現しているのでしょう。
高い遠投性能
ショアジギングやサーフフィッシングなどのショアからの釣りでは、飛距離が釣果に直結します。現行のステラから糸巻き部の幅を広くした「ロングストロークスプール」の採用によりライン放出時の抵抗を低減し、よりロングキャストを可能にしています。感覚的にですが、サーフで40gのジグをキャストした際、5m程遠投性が増した様に感じ、またキャスト時のライン放出が良くなった為、ロッドのガイドにラインが絡む様なライントラブルが少なくなったと感じます。
ステラSWとの違い
同じステラと言う名前を冠したステラSWシリーズですが、ヒラマサやカンパチ、マグロ類等の大型魚を狙う釣りに特化した高剛性、高耐久、高パワー、防水性に振ったシリーズです。ステラSWシリーズもその他SWシリーズ同様に巻きの滑らかさ等をある程度犠牲にしオフショアでのハードな釣りに向け特化した性能である為、繊細な釣りにはあまり向きません。同じ5000番クラスのリールでもステラSWの方がよりパワーと剛性のあるリールに仕上がっていますが、リール本体の自重も重い為、ライトショアジギング等での使用にはノーマルのステラで問題ないことが殆どです。狙う魚のサイズがアベレージで5㎏を超える様な場合は、ステラSWの方が、ファイトが楽になりますので、ご自身のスタイルによって選ぶことをオススメします。
気になる点
特に見当たらない
正直、現行モデルのステラは完成度が非常に高く、ドラグ性能、巻き心地、巻き取りパワー、剛性、耐久性のどれを取っても欠点らしい欠点がありません。それ程完成度が高いリールですが、性能以外で強いて言えば、気軽に購入できない価格帯とそれにより扱いに注意することが多くなる点でしょうか。地面が硬い堤防や地磯等では、傷が付かない様に意識し扱うことが多くなる為、精神衛生的にあまりよくありません。
ステラC5000XGの向いている釣り
サーフフィッシングゲーム
サーフフィッシングではヒラメ、マゴチ、シーバス等の魚種がメインターゲットになりますが、ワラサやブリ、サワラがヒットすることもあり4000番手のサイズよりラインキャパシティがあるC5000番の方が使用していて安心感があります。稀に10㎏以上のブリやエリアによってはヒラマサがヒットすることもあり、走らせてキャッチする前提のファイトを行う必要があり、リールのドラグ性能は必要不可欠です。適正なドラグ設定と落ち着いてやり取りすれば、ステラであれば大型の魚でもしっかりキャッチできます。サーフでの釣りを極めたい方には非常にオススメできる1台です。
ライトショアジギング
近年、手軽さと豊富なターゲットにより人気急上昇中なライトショアジギングですが、この釣りでもステラのドラグ性能が引き立ちます。ルアーの飛距離と食わせの為、PE1~1.5号の細糸で行うことが多いですが、釣れる魚は小さい魚ばかりではなく当然大型魚もヒットすることもあり、細糸でのファイトではリールのドラグ性能が絶対的に必要です。この様な中でも、ライン強度ギリギリのドラグ設定でファイトできるリールはどのリールを見渡してもステラくらいではないでしょうか。ロッドとドラグの性能を最大限に生かすことで大型の魚もキャッチ出来る1台です。
オフショアジギング、キャスティング
オフショアでの多魚種をターゲットにしたライトジギングやサワラや中型青物のキャスティングゲームにおいては、ステラC5000XGが軽量且つ操作性の良さから扱い易いです。もちろんオフショアシーンではステラSWの方がパワーがあり、ファイトが楽な面もありますが、それ以外の取り回しや一日中使用した際の疲労感等、ノーマルのステラに軍配が上がる点が多く、スリリングなファイトを楽しめる点でもオススメできます。
ステラC5000XGの総評
これまでも紹介してきた様にステラシリーズは他のリールと比較し基本性能は極めて高く、また所有感にも浸れる数少ない最高峰のリールです。決して誰でも手軽に購入できる価格帯ではありませんが、一度手に取ってリーディングしてみれば、一瞬で他のリールとの違いに気づくはずです。繊細な釣りはもちろん、ハードな釣りにも安心して使用できる為、どの釣りにも適応できる懐の深さがこのリールの魅力の一つとも言えるのではないでしょうか。