【インプレ】ダイワオフショアリールの最高峰、20ソルティガ 8000-Hは近海ジギングスペシャルモデル!
全てが進化した20ソルティガはどのように変わったのか
初代ソルティガZで完全防水を実現、10ソルティガでマグシールド、UTD、ハイパーデジギアを搭載して進化、15ソルティガでのマイナーチェンジを経て2020年に更に進化しフルモデルチェンジを果たした20ソルティガ。2020年の釣りフェスティバルでダイワブースの目玉機種として大々的に発表されました。新型コロナウイルスの影響で発売日の延期などもありましたが、それを乗り越えて2020年3月に発売されました。まずは前機種である15ソルティガからどこが変わったのかを見てみましょう。
モノコックボディーの採用
近年のダイワスピニングリールにて採用される事が増えてきたモノコックボディーが、ついに20ソルティガシリーズにも採用されました。モノコックボディーは非常に剛性が高く、撓みや捻じれに強い構造となっています。ボディーがワンピースになった事によりリールの室内が広くなり、1サイズ大きく肉厚なドライブギアの搭載が可能になりました。これにより大型の青物などが掛かっても、今まで以上にパワーもロスなく魚に主導権を渡すことの無いファイトが可能になりました。
ZAIONエアローターからアルミエアローターに変更
10ソルティガからZAIONエアローターが採用され、その巻き出しの軽さや軽量化による効果で非常に軽快にリールを使う事ができました。ところが20ソルティガシリーズでは、なんと10年以上ダイワが拘りぬいてきたZAIONエアローターを捨て、アルミエアローターが採用されました。これにより前モデルよりもやや重量はアップしましたが、ローターの剛性はなんと約2倍になりました。ZAIONエアローターも特に撓みなどはなかったのですが、今回のモデルチェンジではより強固になったリールのイメージを全面に押し出したかったのではないでしょうか。
スプールがロングキャストABS(LCABS)に
ロングキャストABSも近年のダイワリールでは採用されるケースが増えてきました。チタンリングを施した事によってスプールエッジが二段テーパーになり、ラインのバタつきを最小限にしてスムーズな放出が可能になりました。これにより1g程度の軽量ルアーでも体感できるほど飛距離のアップに成功しました。時には100gを超える大型ルアーを使用するオフショアキャスティングゲームでも、他のアングラーに差をつける大きなアドバンテージとなる事でしょう。
メインギアにG1ジュラルミン製マシンカットタフデジギアを搭載
メインギアがG1ジュラルミン製マシンカットタフデジギアに変更されました。これにより前機種と比較してもギアの大口径化、肉厚化に加えて歯面の面積が広くなった事で、明らかに巻き上げトルクがアップしました。2020年の釣りフェスティバルのダイワブースで、15ソルティガと20ソルティガの実機で巻き上げの比較をさせてもらいました。同じ負荷でも明らかに楽に巻けるようになっていたのは驚きでした。耐久性については、今後使い込んで検証していきたいと思います。
ドラグシステムが一新、ドラグ音も気持ちいい!
ドラグシステムも前モデルから大幅に変更され、カーボンワッシャーが6枚から14枚になりました。さらに大型になったアルミドラグノブのラジエーション構造により、放熱効果もアップしてその耐久力は10倍以上に跳ね上がりました。これでマグロやGTなどとの長時間のファイトでも、十分にそのドラグ性能を発揮してくれる事でしょう。またドラグ音が大きくなり、釣り人のモチベーションを向上させてくれます。
実釣で20ソルティガ 8000-Hを使用してみて
2020年4月に購入し、月に1~2回ほど様々なフィールドで20ソルティガ 8000-Hを使用してきました。まだ半年ほどの使用ですが、これまで使用してみたフィーリングや感じた事をいくつか挙げてみたいと思います。ちなみに使用したラインシステムはメインラインPE3号にリーダー60lbです。
巻き心地は流石ソルティガ、非常にスムーズでストレスを感じません
マシンカットタフデジギアは、通常の冷間鍛造のタフデジギアの歯面をマシンで切削加工して更に滑らかにしたものです。20ソルティガシリーズにはG1ジュラルミン製マシンカットタフデジギアが搭載されており、18イグジストと19セルテートの超々ジュラルミン製マシンカットタフデジギアよりも硬い素材なので、面粗度も良くここもシルキーな巻き心地に一役買っているのでしょう。
魚が掛かった時の巻き上げパワーも圧巻!
G1ジュラルミン製マシンカットタフデジギアの恩恵から、ヒラマサやカンパチなど一気にボトムへ突っ走る青物相手でも、魚に主導権を与える事なく一気に魚の頭を上に向けられるパワーを持っています。ワラサやブリのような船底を見ると一気に走る魚のパワーも受け止められる巻き上げ力は流石です。ギアのパワーも勿論ですが、モノコックボディーと高剛性のアルミローターの撓みなく巻き上げられる相乗効果でアングラーに有利に魚とのファイトを楽しめるでしょう。
ドラグ音が大きくなり金属感のある気持ちいいサウンドに
前モデル以前のソルティガシリーズは正直ドラグ音が小さく、掛かった魚が走っても海上では分かりづらいところがありました。しかし20ソルティガシリーズではシマノのステラSWシリーズや15ツインパワーSWシリーズのようなメタリックな音に変更されています。このおかげで魚とのやり取り時にもどれくらいラインが出ていったのかがわかりやすくなり、リニアな反応が得られるATDの効果を耳でも実感できるでしょう。
ハイギア特有の巻き重りは女性や子供には少し厳しいかもしれません
5.8:1のハイギアはルアー回収時に早く巻けるのが良いですが、PE3号以上のラインであればそのウォータープレッシャーは女性や子供だとかなり体力を消耗してしまうかもしれません。また潮が速い地域や中深海などの深場を狙う時も、同様にかなり疲れてしまうと思います。そういった場合はパワーギアの20ソルティガ 8000-Pの方が良いでしょう。
誰もが気になる19ステラSW 8000HGと徹底比較!
ダイワ、シマノ両社のそれぞれのオフショアリールの最高峰である、19ステラSWシリーズと20ソルティガシリーズ。巻き上げ力やドラグ性能といった基本性能は、お互いにハイエンドモデルだけあって負けず劣らずといったところだと思うので、ここでは基本性能とは違ったポイントで比較してみました。
スプール互換の幅広いのは20ソルティガ 8000-H
19ステラSWは8000HGのみ専用のローターが搭載されているので、他のスプールとの互換性がありません。それに対して20ソルティガ 8000-Hでは8000~14000までが同じローターなので、スプールの互換性が高く遠征時などのタックルの数を絞らなければならない、しかしラインシステムは状況によって変えて対応しなければならない、そんな場合には20ソルティガシリーズをおすすめします。
キャスティングで使用する場合には20ソルティガ 8000-Hが有利
ロングキャストABSを搭載した20ソルティガ8000-Hは、キャスティングゲームでも非常に有利となる場面が多いでしょう。15ソルティガ 4500Hとの比較でも、平均で約4~5mほど飛距離がアップしています。プラグを少しでも遠くに飛ばす事は大きなアドバンテージとなり、魚をキャッチするチャンスを無限に広げてくれます。
シルキーな巻き心地は19ステラSW 8000HGに軍配が
G1ジュラルミンマシンカットタフデジギアを搭載した20ソルティガ 8000-H、勿論その巻き心地はとてもスムーズで不満はありません。しかしシマノのインフィニティドライブの方が、ギアの切削精度はやや高いように思います。この辺りは流石ギアの世界的メーカーであるシマノの技術力の高さを感じます。
20ソルティガ 8000-Hに向いている釣り
青物などの近海でのオフショアジギングゲーム
20ソルティガ 8000-HはPE2.5号~4号までを使用する近海オフショアジギングをメインターゲットに開発されたモデルです。その為近海で釣る事ができるブリ、ヒラマサ、カンパチなどの大型青物にはドンピシャです。その剛性とパワーは大型青物にも引けを取ることなく、今まで獲る事のできなかった大物に出会う確率を上げてくれる事でしょう。水深20m~150mまでの近海ジギングをメインにされている方には是非おすすめしたいモデルです。
近海や沖磯でのキャスティングゲーム
ロングキャストABSを搭載しているので、大型プラグもストレスなくキャストする事ができます。私がキャスティングゲームで使用したのはPE4号でのヒラマサキャスティングゲームでしたが、アンダーハンドキャストでも気持ちいいくらいにルアーを飛ばす事ができました。スプールを14000番に交換してPE6号のセッティングでも使用しましたが、こちらも飛距離は申し分なしでした。オフショアだけでなく沖磯などからのプラッギングでも十分対応できるでしょう。
20ソルティガ 8000-Hに不向きな釣り
ライトラインを使用するオフショアゲーム
カツオやシイラ、サゴシなどのPE1.5~2号程度を使用したジギング、キャスティングゲームの場合は、ロッドのバランスなどを考えると20ソルティガ 8000-Hは少しオーバースペックかもしれません。こういった場合には16セルテートHD 3500Hや4000H、17ソルティガBJ 3500Hや4000SHの方がおすすめです。
生まれ変わった20ソルティガ 8000-Hは非常に高いポテンシャルを持ったリール、価格は高価ですが買えば満足できる事間違いなし!
20ソルティガ 8000Hは実売価格が約95,000円と非常に高価なリールです。ハイエンドモデルは発売時点の最先端技術が惜しげもなく詰め込まれていますので、その値段の中には新技術の開発費や開発期間の設計者の苦労などが詰まっている為、どうしても高価になってしまうのだと思います。オフショアの釣りではリールは非常に過酷な環境下に置かれます。なので中途半端な買い物をして後悔をしたくない、そういった方は是非20ソルティガを手にしてみてください。きっとあなたに新しい世界を見せてくれると思います。