「17ソルティガBJ 4000」はベイジギングスピニングリールの強力な武器になる
タフな釣りであるジギングに使用するリールに求められるものは、まず「剛性」。また、ジャークを繰り返すジギングにおいては「軽量性」も同時に求められます。軽さと剛性の両立は簡単ではありません。上位機種になればそれも可能にしていますが、とにかく高い。そんな中ダイワから発売された「17ソルティガBJ 4000」は、ベイジギング向けに設計されたリールであり、サイズ・剛性・軽量性を見事に兼ね備えています。新たに搭載されたモノコックボディとハイパーデジギアは魚を掛けた後もガンガン巻くことができ、マグシールドをはじめとした防水性能もあります。ギア比は4.9とローギアであり、巻き取り量は少ないもののその分大きなパワーを発揮してくれます。
17ソルティガBJ 4000の基本仕様は?
「17ソルティガBJ 4000」に搭載されているもののうち、もっとも特徴的なものといえば、やはり「モノコックボディ」。ダイワのLTシリーズで有名ですが、16セルテートHDにも搭載されています。新たな構造から生み出される剛性は強烈で、巻いている時のガッチリとした安心感はとても高いものがあります。重量は430gとこのクラスのリールとしては一般的で、PEは「2.5-300、3-250」巻けるため、ベイジギングにおいて問題ない巻き量だと言えます。ベアリングも標準で12個搭載されているため、上位機種と比べても遜色ないスペックとなっています。
モノコックボディ
従来スピニングリールは、ボディとボディカバーでドライブギアの両端を支持し、それを数箇所のねじで固定する方式でした。これをボディカバーをなくし、ボディに直接高精度のプレートをねじ込む構造とすることで従来を上回る精度と剛性を実現しています。これによりギアの支持精度が高まり、剛性だけでなく気密性も向上しています。さらに従来ねじに取られていたスペースを活用し、ドライブギアのサイズを極限まで拡大することにも成功しているため、ギアの強度もアップしています。
MAGSEALED:マグシールド
リール内部に侵入してくる海水を磁性流体による油の膜でガードする、ダイワ独自の防水技術です。ラインを伝わってリール本体に侵入してくる海水から内部を保護してくれます。リール内部まで海水が侵入してしまうと、塩ガミや、錆が発生しやすくなり、リールの故障やストレスにつながります。オフショアでは船の上にいる以上、海水は頻繁にリールにかかってきます。またラインを通してリールに侵入してくる海水も侮れず、マグシールドを搭載していることは防水性能において優位に立っていると言えます。
ZAIONエアローター
ZAION(ザイオン)とは、高密度にカーボン繊維が織り込まれたカーボン樹脂で、重量比強度でマグネシウムを上回るというダイワ独自の樹脂材料です。高剛性であることに加え、もちろん樹脂であることから軽量です。さらに金属と異なり腐食に強いという特性もあります。「17ソルティガBJ 4000」では、これがエアローターに搭載されており、軽量化できるところは軽量化し、その軽さは回転フィーリングの向上にもつながります。
ATD:オートマチックドラグシステム
魚の引きに滑らかに追従しながら効き続けるドラグシステムで、滑り出しがスムーズなためラインブレイクしにくく、魚に違和感を与えにくくなっています。掛けた後に一気に走る青物相手のジギングでは、ドラグ性能はとても重要な要素です。また、あらかじめ強めに設定しておくことで、ジャーク中にはドラグがほとんど出ず、魚を掛けた時にはしっかりとドラグが作動します。
比較検討されるリールと比べると?
19ステラSW 6000PG
ジギング用スピニングリール鉄板と言えばステラSW。ダイワの4000番はシマノの6000番と同等サイズであるため、ステラにおける「17ソルティガBJ 4000」の比較番手は6000番となります。シマノ最高峰のリールの名にたがわず、その性能は圧巻で、重量は約5g軽く、ベアリングも1つ多い13個搭載されています。また、ステラ独特の至高の巻き心地も最高です。しかし気なるのはやはりその価格で、100,000円近くする値段には少し手が出にくいというところが本音だと思います。
15ツインパワーSW 6000PG
ステラの下位機種であるツインパワーSWですが、その性能は申し分なく、高い剛性を持った人気のリールです。「17ソルティガBJ 4000」と価格帯も比較的近く、重量は5g軽く設定されています。ベアリングは1個少ない11個ですが、上位機種に劣らないHAGANEボディ&ギア、高い性能を誇るXプロテクトなど多くの機能を有しています。ですが、ツインパワーSWは発売が2015年と少し前のリールになってしまいます。技術の進歩はすさまじく、日々新たな技術がリールに詰め込まれているため、少し目移りしてしまいます。
なぜ私が17ソルティガBJ 4000を選んだか?
魅力的な高剛性
重たいジグを日に何度もシャクリ続けるジギングではリールの剛性に重きを置かれることが多いです。私もその一人ですが、「17ソルティガBJ 4000」はモノコックボディが搭載されたおかげでその剛性が格段に上がりました。「17ソルティガBJ 4000」は空巻きした時点でリール内部にしっかりとモノが詰まっている感覚があります。リールから感じるその重みは少し巻いただけで「このリールは剛性が高いな」と感じることができます。また、シルバーを主体とした武骨なデザインですが、メカメカしさも感じることができ、機械的でかっこいいものがあります。
ジギングリールの中でも優しい価格帯
ジギングに使用するリールはどれも高価なものであるというイメージが強いと思います。実際基本的にどれも高いのですが、「17ソルティガBJ 4000」はその中でも優しい方だと思われます。確かに実売60,000円台と決して安くない価格ですが、100,000円近いリールもあることを考えると少し安く思えてきます。また、まれにですが店舗ではセールを行っている場合もあり、40,000円台で購入する機会もありますので、チェックしておくことが必要です。
逆に残念だと思うところは?
ドラグノブが小さい
ATDが搭載されており、いくらドラグ操作する機会が減るとはいえ、不意な大物がかかることも多いジギングではドラグ操作の機会も往々にしてあります。「17ソルティガBJ 4000」はそのボディ・スプールサイズに対してドラグノブが小さく感じます。おそらく他部品を流用しているためこのようなサイズになっているのだと思われますが、ちょっと操作しにくいです。
糸巻き量が少ない
「17ソルティガBJ 4000」の糸巻き量はダイワのHPには【PE2.5号-300m、3号-250m】と表記されています。消して少ないということではないのですが、対して「ステラSW 6000PG」や「ツインパワーSW 6000PG」は【2号-440m、3号-300m、4号-210m】とかなり違いがあります。駆け上がりの根掛かりでジグをロスとしやすいポイントに行く場合、PEラインの残量はもちろん多い方が安心です。水深にもよるでしょうが、シマノリールの方が安心感はあります。「17ソルティガBJ 4000」の場合、予備のリールもしくはスプールを持って行った方が無難です。
17ソルティガBJ 4000はベイジギングに最適な高性能リール
モノコックボディを搭載し、剛性と軽さを兼ね備えた「17ソルティガBJ 4000」はベイジギングにうってつけのリールと言えるでしょう。安定感のある巻き心地は釣り中の不安を払しょくし、実売価格が手の届く範囲であるということもうれしいポイントです。自分の行く釣り、ポイントに合わせた機種選定は大事ですが、「17ソルティガBJ 4000」もその中の有力な候補としてきっと筆頭に出てくるでしょう。