ついにクレストもLT化! ダイワ 20クレスト LT3000-CXHは、釣りを始めたい人が最初に手にすべき万能スピニングリール!
ダイワが2018年に発表した、新設計思想である「LTコンセプト」は、これまでの常識を覆す発想で、軽さ(Light)と強さ(Tough)の両立に貢献し、以後発売されるモデルは基本、「LTコンセプト」の下、ゼロベースで素材や構造が見直されていますが、なんと、超ハイコスパリールの20クレストにも採用されています。旧モデル(16クレスト)と比較し、平均40g程度の軽量化を実現しています。実質5,000円でお釣りが来るほどのハイパーコスパリールである、20クレストとはどんなリールなのか、20クレスト LT3000-CXHにスポットを当て、見ていきたいと思います。
クレストにまでLTコンセプトが! ダイワの本気度が垣間見える
ダイワが2018年に発表した、新設計思想「LTコンセプト」とは、「軽さ(Light)」と「強さ(Tough)」を両立させるための設計指標で、材料の選定基準の厳格化、構造解析による強度確保を行いながら徹底的な肉抜き・薄肉化を行う設計基準など、これまでの設計基準を一新し、同じリールでも、2018年以降発売の機種のほとんどは、全く新しい設計でものづくりを行っています。この、新設計基準「LTコンセプト」が導入されているスピニングモデルの中で、もっとも価格が安い機種が20クレストとなります。クレストより安価なモデル(メーカー希望小売価格の設定のないオープン価格モデル)との明確な線引きを行っています。
20クレスト LT3000-CXHの基本スペック
20クレスト LT3000-CXHのスペックを見てみましょう。ギア比は6.2、ハンドル1回転当たりの最大巻き上げ長さは93cmのエキストラハイギアタイプです。最大ドラグ釣力は10㎏、自重は240gです。ラインキャパは、ナイロン/フロロカーボン2号で150m、PE1号で200mとなっています。スペック上は、トラウトゲーム、バスゲーム、シーバスゲーム、ライトショアジギングあたりまで対応できる汎用性の高いリールとなっています。
素材はコスパ重視のDS4をメイン材料に使用、必要最低限のボディ強度を確保
メインボディおよびローターの材質は、ダイワ独自開発のガラス繊維強化プラスチック「DS4」が使われています。実は、ダイワが現在スピニングリールに使用している繊維強化プラスチックは3種類あります。最も歴史が古く安価に製造できる、ガラス繊維強化プラスチックが「DS4」、強化繊維をガラスファイバーからカーボンファイバーに変更し、軽さと強度を高めたCFRTP(カーボン繊維強化熱可塑性プラスチック)が「DS5」、DS5のカーボン繊維を細かく破砕したものを使い、カーボン添加量をDS5の3倍程度に増やし、マグネシウム合金以上の強度と軽さを実現した究極のCFRTPが「ZAION」となっています。クレストのボディとローターには、コストパフォーマンスの高いDS4が使われています。ただし、クレストのローターは、上位機種に採用されている、徹底した肉抜きと回転時の慣性モーメントを排除した「エアローター」ではありません。
タフデジギア・鍛造アルミスプール・ATDドラグ
コンピュータによる構造解析により、ギア歯面の精度および噛み合わせ強度を向上させ、ドライブギアの大口径化による力強い巻き上げを可能にする「タフデジギア」がクレスト以上の機種に採用されています。このタフデジギアの効果は絶大で、ショアジギングなどの際に不意の大物がガツンと食いついて来た時に、脆弱なリールだと一発でギア破損になる危険性もありますが、タフデジギアであればしっかり踏ん張ってくれるはずです。また、スプールにはアルミ鍛造のLC-ABS(ロングキャスト・アンチバックラッシュスプール)が使われており、軽量化と剛性アップ、さらにキャスト時の飛距離アップに寄与しています。そして、特筆に値するのが、ATD(オートマチックドラグシステム)の搭載です。これは、ドラグワッシャーに特殊なグリースを含浸させたフェルトワッシャーを使用し、ドラグの効き方をじんわりと、魚の不意の抵抗による瞬間的に掛かる大きな力がかかった場合も、ラインブレイクさせずにファイトできる、ダイワの新設計のドラグシステムです。ダイワでは、それ以前のUTD(アルティメットドラグシステム)からATDへのチューンアップサービスも請け負っています。
※参考記事:タフデジギアとは - 具体的な説明と搭載されているダイワのリール機種一覧20クレスト LT3000-CXHが活躍する場面
20クレスト LT3000-CXHは、陸っぱりからであればたいていの釣りに対応できるでしょう。しかし、エアローターではなく、従来型のローターのため、ハンドルを巻いた際の応答性の面で、上位機種に見劣りするかもしれません。すなわち、シビアなルアーコントロールが必要とされる場面にはあまり向かないでしょう。また、ラインローラーにはボールベアリングではなくカラーが装着されているだけなので、特に摩擦に弱いPEラインを使う、ライン負荷がかかる釣りをする場合は、ラインローラー部にベアリングを装着するチューニングが必要です。その他の小物釣りであればたいてい可能です。堤防や地磯でのウキ五目釣りやサビキ釣りなどには最適ではないかと思います。不意の大物が来ても、ATDがキチンとアングラーのファイトをサポートしてくれます。肩肘張らず、休日に近所の海に自転車漕いで行き、のんびり竿を出す。そんなシーンがぴったりかも知れません。
5,000円で買えるリールとしては出来が良い。チューンアップ次第では戦闘能力を上げられる!
以上、20クレスト LT3000-CXHについて見てきましたが、基本性能の高さは価格以上のものがあります。初心者が最初に手にするリールとしては必要にして十分な性能を備えています。ボールベアリングの追加や防水コーティングなど、アングラーによりチューンアップされたものは戦闘能力も上がっているはずです。海上釣り堀などでの青物やマダイなど、よりタフな釣りでも使える汎用性も手に入れることができるでしょう。