ベイトリールはブレーキ設定が全て!初心者が失敗しない海用ベイトリールの選び方と使い方

作成:2022.07.19更新:2022.07.19

ベイトリールってカッコイイですよね?非常にコンパクトなフォルムであるにもかかわらず、巻きのパワーはスピニングリールよりも強く、ハンドルを回すとレベルワインダーが音もなく左右にスライドしながらスプールに正確にラインを巻いて行く。

ベイトリールは使いこなすためにはやや慣れが必要ですが、慣れてしまえばスピニングリールよりも正確なキャストができたり、スピニングリールよりも頑丈だったり、メリットは多くあります。今回はベイトリール初心者に向けて、失敗しない海用ベイトリールの選び方と使い方、そして、これができていないとどんなに優れたベイトリールも宝の持ち腐れになってしまうという「設定」について説明いたします。

ベイトリールには淡水専用モデルがある

ベイトリールの選定で、まず気をつけなければならないこと、それは、「ベイトリールには淡水専用モデルが多い」ということです。ベイトタックルは、スピニングタックルと比較すると、より正確なキャストテクニックを必要とする釣りに向いています。スピニングタックルは遠投性能に優れますが、仕掛けを着水させる位置についてはかなりアバウトで、「あそこに見えるシモリ根の右側の、だいたいあの辺」的なキャストになります。対して、ベイトタックルは、キャストする距離はスピニングタックルと比較して近距離になりますが、「あそこに杭が5本立っているけど、左から2本目と3本目の間の後ろにあるカバーの真下をピンポイントで通す」など、正確なコントロールが要求される場面に向いています。

そのため、ベイトリールは、軽い仕掛けをキャスト出来るよう、スプールの回転を軽くするために、薄肉化したアルミスプールを使い、防錆塗装や防水パッキンなどを省略したり、ベアリングを減らしたりして、徹底的に軽量化を図ります。そのため、淡水専用のベイトリールは、ソルト対応のモデルと比較すると、防錆性能が落ちるものがほとんどです。

淡水専用ベイトリールはソルトでは使えないのか?

では、防水性能、防錆性能よりもキャスタビリティーを優先した淡水専用ベイトリールはソルト環境では使えないのでしょうか?

結論から言うと使えます。実際に、操作性を優先させて、敢えて淡水専用のベイトフィネスモデルをソルト環境で使っているアングラーは多数存在しています。ただし、防錆性能が低いのは事実ですので、毎釣行後の塩抜き及び乾燥・注油といったメンテナンスが欠かせません。塩抜きに関しては、乾燥して塩が結晶化してしまう前、すなわち、帰宅前というよりは、釣りが終わってできるだけ速やかに水道で水を十分にかけ、海水を洗い流してから後片付けをしたいです。

こういう、少しデリケートな扱いをしなければならないことを考えると、ズボラな方は淡水専用モデルは避けたほうが良いかも知れません。

ベイトリールはハンドルの左右交換ができない

ベイトリールがスピニングリールと大きく違う点は、「ベイトリールは構造上、ハンドルの左右交換ができない」点です。必ず「LH(左ハンドル)」モデルと「RH(右ハンドル)」モデルがあります。ハンドルは後で左右交換できると思って、確認せずに購入ししまうという、初心者が陥りやすい落とし穴のひとつです。必ずハンドルの向きを確認して購入しましょう。通販で購入する場合は特に要注意です。

ベイトリールの選び方

はじめてベイトタックルを組むというときのリールの選び方は難しいものですが、特に初心者が選ぶ際に注意したいことは、「価格が少し張ってもブレーキ性能の充実したモデルを選ぶ」ことです。初心者がベイトリールデビューした際に100%苦しむのが、キャストの際ラインがグチャグチャに絡まってしまう「バックラッシュ」です。スピニングリールはスプールが回転せず、ラインだけが放出されて飛んで行くため、バックラッシュはほとんど起こらないのですが、ベイトリールの場合はスプール自体が回転するため、スプールの回転スピードがラインの放出スピードを上回るとバックラッシュが発生します。これを軽減させるため、ベイトリールには様々なブレーキシステムが存在します。

メカニカルブレーキ

メカニカルブレーキは全てのベイトリールに備わっている、最も基本のブレーキ機構で、スプールのシャフトを受ける力を調節するものです。写真中央の黒く丸いパーツがメカニカルブレーキの調整ネジです。ベイトリールの調整は、まずはこのメカニカルブレーキの調整から始めます(設定の方法は後述します)。

遠心ブレーキ

遠心ブレーキは、主にシマノのベイトリールに採用されているブレーキ機構で、接触型の物理ブレーキです。写真のオレンジ色のカラーと呼ばれるパーツがキャスト時、スプール回転の遠心力によりフランジに当たり、スプールの回転を抑制する構造で、工業用ブレーキにも多用されている機構です。遠心ブレーキは、スプールの回転が速ければ速い程ブレーキが強く効き、回転が遅くなるとブレーキが弱まります。そのため、キャスト直後に最も強いブレーキがかかり、着水直前はブレーキがほぼ効いていない状態まで落ちるという特徴を持っています。遠心ブレーキは、他のブレーキシステムと比べると、キャスト終盤にブレーキ力が抜ける分、俗にいう「最後のひと伸び」があり、遠投性に優れています。その代わり、着水直前のサミングをうまく行えないとバックラッシュの危険性がマグネットブレーキよりも高いというウィークポイントがあります。

マグネットブレーキ

マグネットブレーキは、ネオジム磁石という、強力な磁力を持つ小さな磁石を数個埋め込んだサイドカバーの磁力により、スプールの回転を非接触で抑制するブレーキ機構で、ダイワのベイトリールに多用されています。マグネットブレーキは、物理的にスプールにブレーキシューを接触させて回転を抑制させる遠心ブレーキとは異なり、磁石の力でスプールの回転を押さえつける方式のため、スプールの回転スピードに関わらず、一定のブレーキ力がかかり続けます。そのため、飛距離の点では遠心ブレーキに一歩譲りますが、使い勝手の良さ、バックラッシュの軽減効果はマグネットブレーキの方が高く、初心者も抵抗なく扱えるブレーキであると言えます。

デジタルコントロールブレーキ

シマノのベイトリールの上位機種に搭載されているデジタルコントロールブレーキ(DCブレーキ)は、スプール内にコイルを、スプール受け内に磁石および回転センサー、制御基板を仕込み、コイルの回転に伴い発生する微弱な電流をセンシングし、マイコンが自動で最適なブレーキングを行うシステムです。キャスト直後はブレーキがフリーの状態になっていて、スプールスピードがMAXになるときに強めのブレーキが発動し、その後はスプールの回転スピードの低下に伴って、小刻みに必要最低限のブレーキ制御が行われ、バックラッシュの軽減と飛距離の向上を両立させることができる機構です。価格は高いですが、画期的なシステムであり、初心者に特におすすめです。

ベイトリールのセッティング方法

ベイトリールは「最初のセッティングがすべて」と言っても過言ではありません。設定がうまくキメられないと、どんなに高性能なベイトリールを使ったところで、全くそのリール本来の性能を発揮することはできません。スピニングリールではその概念すら存在しない「セッティング」について、各ブレーキごとに解説します。

メカニカルブレーキのセッティング方法

まずはじめに、メカニカルブレーキの調整を行い、スプールをボディに固定する力を調整します。スプールはボディに対し、スプールの中心から左右に伸びるシャフトの先端部のみで固定されています。このシャフトを締め付ける力を、メカニカルブレーキ調整ネジの締め込みで調整します。はじめは一番緩めた状態から、少しずつ締め込んで行きます。

ネジを少し締め込み、その都度指でスプールを左右にゆすってみます。その際、スプールが左右にカタカタ音を立てながら動くようであれば緩すぎです。再度ネジをわずかに締めて、指でスプールを左右にゆすります。これを繰り返し、スプールの左右のガタつきが完全になくなったポイントから、わずかに調整ネジを緩めたところ、具体的なスプールのガタは0~0.2mm程度の場所で、スプールのカタカタ音は完全に消えるか消えないかといった、ギリギリのポイントを探します。

このポイントを「ゼロポイント」といい、メカニカルブレーキの基本の設定となります。このポイントより緩めすぎても締めすぎても100%の性能は発揮できません。メカニカルブレーキのセッティングは全てのベイトリールにとって、最も重要な準備ですので、丁寧に、正しく行うことが大事です。

この状態でクラッチを切ると、ルアーの自重でゆっくりと仕掛けが出て行くくらいの調整となります。メカニカルブレーキは、一度セッティングが決まれば、その後は終日動かさない方が良いです。状況に応じた細かな設定は、後述のブレーキで調整します。

遠心ブレーキのセッティング方法

遠心ブレーキ搭載モデルのセッティング方法は、サイドカバーを開けた時に現れる、ブレーキシュー(オレンジ色のパーツ)のON/OFFでブレーキ力を調整します。外側に引き出した状態がON(ライニングに当たる)、内側に押し込んだ状態がOFFとなります。写真の機種の場合、シューは6個内蔵されており、3個がONの状態、3個がOFFの状態であることを示しています。

モデルによって、シューの数は4個だったり6個だったり、さらにブレーキ効果の高いシューと弱いシューが混合で使われていたり(カラーパーツの色を変えてあるのでわかります)するのですが、初心者はまずは全てのシューをONの状態(外側に引き出した状態)で始め、釣りを続け行く中で、シューを1つずつOFFにしながら、バックラッシュを起こさず、飛距離も稼げる、自分なりのベストのセッティングを探りましょう。

マグネットブレーキのセッティング方法

マグネットブレーキの調整は非常に簡単です。ハンドルの反対側のサイドパネル部には必ずマグネットブレーキ調整ダイヤルが付いています。モデルにより調整幅が何段階になっているかは異なりますが、多くのマグネットブレーキ搭載モデルの場合、0(FREE)~10(MAX)の10段階に分かれています。初心者は10(MAX)からスタートし、慣れに応じて1段階ずつダイヤルを回し、ブレーキ力を弱くしていくことをおすすめします。

デジタルコントロールブレーキのセッティング方法

デジタルコントロールブレーキ搭載機種は、初期設定を決めた後はほとんどいじる必要はありませんが、一番最初のメカニカルブレーキのセッティングは他のベイトリール同様必要です。メカニカルブレーキ調整ネジを少しずつ回し、ゼロポジションをとりましょう。また、デジタルコントロールブレーキシステムには、ブレーキの効かせ方のモードがいくつかあり、ブレーキフィールを切り替えることができます。詳細は取扱説明書を参照ください。

ベイトリールの扱いに絶対に必要なスキル

どんなにベイトリールのブレーキ設定が正しく行われていたとしても、ただ漫然とキャストしていたのでは、バックラッシュを起こしてしまいます。ベイトリールでキャスティングを行う場合、必須のスキルが「サミング」です。

サミングとは、スプールの回転を親指でコントロールするテクニックです。キャスト直後はあらかじめ設定しておいたメカニカルブレーキ、遠心ブレーキ、マグネットブレーキなどの機能が正しく働いて、スプールの回転スピードとラインの放出が同期して飛行して行きますが、キャスト後半から終盤にかけて、徐々にスプールの回転スピードが上回ってしまいます。するとスプールに巻かれているラインが浮き上がり、バックラッシュにつながってしまうため、キャスト後半から着水まで、指でスプールを軽く押さえ、スプールの回転スピードをコントロールしてやる必要があるのです。

このスキルは、ひたすら練習するしかありませんが、少し練習すればすぐになれると思います。サミングがうまくできるようになると、バックラッシュを抑え込むことができるうえ、狙ったポイントにピンポイントで仕掛けを投入できるコントロールが身に付きます。

初心者にはマグネットブレーキモデルがおすすめ!

以上、ベイトリールのブレーキのタイプ及びセッティングの方法について紹介してきましたが、どのモデルに対しても言えることは、「一度慣れてしまえば全く難しいことはない」ということです。バックラッシュも必要以上に恐れていても仕方ありません。「習うより慣れろ」としか言いようがありません。コツさえつかんでしまえば、以後は困ることはなく、ベイトリールの巻きのパワフルさ、キャストの正確さなど、ベイトタックルの魅力を存分に満喫できるはずです。その最初の一歩がスピニングタックルと比較するとやや難しいというだけです。

もしどうしてもベイトリールに苦手意識があるならば、まずはマグネットブレーキ方式のモデルを使うことをおすすめいたします。一定のブレーキ力がかかり続けるため、飛距離は犠牲にはなりますが、サミングをうまく使えるようになれば、ライントラブルの危険性は遠心ブレーキモデルと比べれば小さいでしょう。最初のうちはブレーキを強めにセットしておき、扱いに慣れたら徐々にブレーキの制動力を弱めていくことができれば、飛距離は徐々に伸びて行きます。是非、ベイトタックルの沼にハマってみてください。スピニングタックルとは全く違ったフィーリングに驚くはずです!

この記事を書いた人

初心者歴40余年!
ショアおやじ

 メジナ、クロダイ、アイナメ、カサゴ、メバル、カワハギ、シロギス、イシモチ、カレイ、ハゼ…ベラ、フグ、ヒイラギw、フカセ釣り、投げ釣り、穴釣り、江ノ島周辺(湘南大堤防、表磯、裏磯、片瀬漁港)、福浦岸壁、大磯サーフ、逗子・葉山界隈、城ヶ島(神奈川県)

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