軽さ、強さはハイエンドに迫る!ミドルクラスの雄 バリスティック LT4000-CXH
ダイワの汎用スピニングリールの中で、ミドルクラスの価格帯に位置する19バリスティックは、ひとつ上の20ルビアス同様、軽さと強さを高い次元で実現し、コストを抑えたハイパフォーマンスモデルで、同社ミドルクラスの雄ともいうべき製品です。ZAIONボディ、ZAIONエアローターの組み合わせによる軽量高感度性能に、マシンカットタフデジギアによる強靭な駆動部を組み込み、シナジー効果を存分に発揮したモデルと言えます。そんな19バリスティックの中から、ショアジギング、シーバス、ヒラスズキなどのパワーゲームにうってつけの、バリスティック LT4000-CXHを紹介します。
海外市場発の異色モデル
バリスティックは、もともとアメリカダイワが北米市場を中心に販売しているモデルで、海外ではネームバリューがあるモデルです。しかし日本市場では未発売でした。ハイエンドクラスに比肩する軽さとシルキーな巻き心地で人気であったバリスティックが、日本でも発売となったのは2019年のことで、最初にフレッシュウォーターモデルのバリスティック FWが3月に発売され、半年遅れてソルト対応モデルのバリスティックが発売されました。
日本市場においても、圧倒的な軽さとシルキーな巻き心地が衝撃をもって受け入れられ、発売直後からミドルクラスの汎用スピニングリールのアイデンティティとして確固たる地位を築き上げた天才肌のモデルです。
バリスティック LT400-CXHの基本スペック
それでは、バリスティック LT4000-CXHの基本スペックを見て行きましょう。ギア比6.2、ハンドル1回転あたりの最大巻き上げ量は99cmというエキストラハイギアモデルです。このハイスピードは、ルアーをロングキャストした際に素早くラインスラックを回収しなければならない磯からのショアジギングや、着水と同時にトップウォーターを全速力で引かなければならないオフショアからのナブラ打ちなどで威力を発揮します。
ドラグはダイワの高性能ドラグ「ATD(オートマチックドラグシステム)」が搭載されています。魚の抵抗力に応じて最適なラインの滑り出しを調整するドラグ、つまり、魚から高速の走り出しがあれば速やかにラインを出し、逆にスピードが緩やかであれば滑らかにラインを出してくれるドラグです。特に細いラインで大物を狙う場合には抜群のパフォーマンスを発揮します。
ラインキャパは、ナイロン10lb(2.5号)で190m、12lb(3号)で150m、PE1.2号で310m、1.5号で200m、2号で170mあり、ライトショアジギングには十分のラインキャパがあります。自重はこのクラスとしては、上位機種のセルテート LT4000-CXHよりも25gも軽く、フラッグシップのイグジスト LT4000-CXHよりもわずか5g重いだけの210gという驚きの軽さです。
ZAIONを多用し、軽さ、剛性、感度を高い次元で均衡させることに成功
バリスティック LT4000-CXHは、ボディとローターに、軽量で強靭なカーボン長繊維強化樹脂であるZAIONを使用しています。ご存知の通り、ZAIONは軽さと耐食性については釣具に使われるあらゆる金属素材を凌駕する性能を持ち、撓み剛性(曲げ弾性率)、加工精度はアルミニウムに次ぐ性能を持っています。ダイワはこの独自開発の素材を2007年に発表し、これまで実績を積み上げて来ました。
「樹脂は弱い」と長らく言われ続けて来た声を見事に覆しました。すでにZAIONは、ハイエンドクラスにも積極的に使用されている素材であり、アングラーたちの間で現時点で最強最軽量の素材であるという認識が浸透しているといっても良いでしょう。なお、熱伝導率の低いZAIONの意外なメリットとしては、厳冬期にZAIONボディのリールは冷たくならないという、ちょっとした嬉しさもあります。
上位機種のルビアスよりも精度の高いマシンカットタフデジギアを使った駆動部
バリスティック LT4000-CXHに使用されているドライブギアは、2021年現在、ダイワのリールに使用されているドライブギアの中で最も精度の高い、「マシンカットタフデジギア」が使われています。ギアの強度だけでいえば、マシンカットをしていない、冷間鍛造のみで作られたギアの方が高いと思われるかもしれませんが、マシンカットはミクロン単位の表面の調整ですので、ギアの剛性には影響を及ぼすことなく、より嵌合精度を高め、シルキーな巻き心地が長時間続くように仕上げられたギアです。
ですので、ゴリゴリ強引に巻いて大型青物を仕留めるというようなパワー至上の釣りよりも、正確で繊細な巻きを要求される釣り、例えば磯でのヒラスズキや大型ロックフィッシュ釣り、また、潮の流れを常に感じながらルアーを潮流に乗せながら操作するドリフト釣法に非常に向いているタックルといえます。
ライバルはシマノ・ヴァンフォード 4000XG
バリスティック LT4000-CXHとスペックが類似しているモデルにシマノ ヴァンフォード 4000XGがあります。ギア比(6.2)、ベアリング数(7/1ベアリング)はまったく同じです。そしてどちらも、自社開発のカーボン繊維強化樹脂をメイン素材(ボディ及びローター)に使用した圧倒的な軽さと高感度、剛性をウリにしています。
また、「巻きの軽さ」、「シルキー感」をフラッグシップモデルにより近づけた「巻き性能重視のリール」であること、さらに、キャスタビリティを向上させるためのロングストロークスプールを装備しているところも同じです。両モデルとも、フラッグシップモデルに限りなく近いスペックを装備しなから、手の届く価格にまとめられているという点で、重要なモデルであるといえます。
自重はバリスティック LT4000-CXHは210g、ヴァンフォード 4000XGが215gと、その差はわずかです。実勢価格はバリスティック LT4000-CXHが30,000円前後、ヴァンフォード 4000XGが25,000円前後です。予算と好みで決めても良いでしょう。
準フラッグシップモデルはコスパ高し!
どこのメーカー品も、フラッグシップ機と呼ばれるものは、その会社を代表するプロダクトですので、一切の妥協を排し、現時点で持てる最高の技術を投入した特殊なモデルです。価格も圧倒的なのが普通です。しかし、そのひとつ下、ふたつ下のモデル、いわゆる準フラッグシップとでも呼ぶべきモデルは、フラッグシップのテイストやコンセプトをできるだけ多く取り入れ、求めやすい価格に抑えたこうコスパのモデルが多く存在します。バリスティック LT4000-CXHは、何とか手が出せる価格帯の高性能機として、後悔しない選択であると思います。