【軽さと強さ】20イグジストLT 4000-CXHについて徹底インプレッション
18イグジストLT4000-CXHはLTコンセプトという新たな基準をもとに開発されたモデルですが、「前作からどう変化したのか?」「他社のフラッグシップモデルと比べてどう違うのか?」といった疑問を抱いている方も多いと思います。この記事ではこうした疑問を解消するため、18イグジストの特徴はもちろん、18ステラや19イグジストといった他機種との違いについても解説していきます。
イグジストシリーズとは
イグジストシリーズは、ダイワを代表するフラッグシップモデルです。2005年に登場した初代イグジストは未だに根強いファンが多く、名機と呼ばれる1台となっています。ボディ・ローターともに金属製で、ドライブギアが小さめだからこそ発揮される感度の高さが、現行のリールには無い魅力と言えるでしょう。初代以降の12イグジスト・15イグジストは樹脂製ボディ・樹脂製ローターに変更され、軽さを追求したモデルになります。なお今回インプレッションする18イグジストは、ボディ素材に限りますが、改めて金属製のものが採用されています。
18イグジストの特徴
それでは18イグジストの特徴について、搭載されている技術を踏まえつつ確認していきましょう。イグジストはモデルチェンジの度に大幅な変更が行われていますが、18イグジストでも同様です。この項目を読んで頂ければ、18イグジストがどんなリールなのかすぐに把握出来るかと思います。
タフデジギア
まずは「タフデジギア※」です。これは軽さと強さをテーマにした、LT(LIGHT TOUGH)と呼ばれる新しいコンセプトで登場したギアになります。従来のギアよりも更に大きく、より精度が高いことが特徴で、素材には超々ジュラルミンが採用されています。次に紹介するモノコックボディとの相性も良く、巻き上げ力や耐久性の向上に貢献するギアです。
※参考記事:タフデジギアとは - 具体的な説明と搭載されているダイワのリール機種一覧モノコックボディ
「モノコックボディ」とは、これまでのボディ構造を一新し、剛性や防水性をより高いものとした技術です。従来のリールは、ボディとボディーカバー同士がビスで止められ、その部分で負荷を支えるような構造になっていました。モノコックボディではビス止めを廃止し、ボディ全体で負荷を受け止められるよう進化しています。また、ビス止めが廃止されたことでボディ内のスペースが広がり、より大口径のギアを搭載することが可能となりました。モノコックボディは採用されたリールはこれが初めてではありませんが、18イグジストが発表される以前は、17ソルティガBJや16セルテートHDといった大型かつヘビーユースなモデルにのみ採用されていました。
マグシールド
「マグシールド」はダイワを代表する防水技術で、2012年モデルで初めてイグジストに搭載されました。これは磁性を持つ「マグオイル」で壁を作り、海水や異物の侵入を防ぐというものです。18イグジストでは、ピニオン部とラインローラー部にマグシールドを採用し、ドライブギアの両端には「マグシールドボールベアリング」が搭載されています。モノコックボディによる密閉性の高さとマグシールドから、18イグジストの防水性能は非常に高いものであることがうかがえます。
新設計防水ストッパー
18イグジストには、新設計の防水ストッパーが搭載されています。これはリールを逆回転させることが可能な機能ですが、防水性能が低下するため現行のリールでは廃止されているものがほとんどです。長年釣りをされている方や、ドラグを使わず逆回転させて魚とやり取りされている方には、ストッパーの採用はかなりのメリットではないでしょうか?18イグジストのストッパーは従来のものとは異なる構造で、防水性能が低下する心配も必要ありません。
18ステラ、19ヴァンキッシュとの違い
次は、シマノの18ステラや19ヴァンキッシュと比較していきます。18ステラは18イグジストと特徴が異なるリール、19ヴァンキッシュは似た特性を持つリールです。
18ステラとの違い
18ステラは、シマノの「コアソリッドシリーズ※」に属するフラッグシップモデルです。ノイズレスで滑らかな回転性能やが特徴のリールとなっています。重さは4000番で255gと、上位機種としては重たい部類に入りますが、最も重要なのはタックルバランスです。18イグジストLT4000-CXHは重さ205gと、リール本体だけでは18イグジストが勝っていますが、ロッドの選択肢は少なくなってしまいます。ロングロッドの使用をメインとする場合は、18ステラを選ぶと良いでしょう。
※参考記事:シマノの「コアソリッド」と「クイックレスポンス」の違いを解説19ヴァンキッシュとの違い
19ヴァンキッシュは、巻き出しの軽さや感度を重視した「クイックレスポンスシリーズ」の頂点に位置するリールです。重さは18イグジストを超える200gで、非常に軽量なリールとなっています。しかし注目すべきは採用される素材の違いです。18イグジストはローター素材だけがZAION※であるのに対し、19ヴァンキッシュはボディにもカーボン素材が使用されています。19ヴァンキッシュが軽さで勝っているのは確かですが、ボディが全て金属かつモノコックボディを採用していることを考えると、剛性では18イグジストに軍配が挙がるでしょう。
18イグジストLT4000-CXHの良い点
軽さと強さの両立
現行のリールの多くは軽量化が進められ、実売価格10,000円以下のエントリーモデルでも驚くほど軽くなりました。しかし、剛性や耐久性はどうしても犠牲になりがちで、どこか不安感のあるモデルが多いのも事実です。18イグジストLT4000-CXHは205gと非常に軽量でありながら、金属素材やモノコックボディの採用によって、LTコンセプトを体現したリールとなっています。ランカークラスのシーバスや青物が掛かっても安心感のあるやり取りが可能です。
巻き心地が滑らかに
18イグジストLT4000-CXHは、前作に比べて非常に滑らかな巻き心地となっています。これまでステラの様なシルキーさのある巻き心地が好みだった方にもおすすめできます。しかしこれまでのイグジストを愛用されてきた方にとっては、少し違和感のある巻き心地かもしれません。
18イグジストLT4000-CXHの悪い点
巻き感度は低め
ドライブギアが大口径であるため、トルク感はありますが感度は物足りない印象です。ただ4000番という大きめの番手ですし、感度を最優先するような釣りをすることはまずないでしょう。もし感度を重視してリールを選びたいという場合は、あえてモノコックボディ非搭載のモデルを探すことをおすすめします。ドライブギアが小さい分、巻き感度では勝ります。
質感はチープに感じる部分も
18イグジストLT4000-CXHは軽量化に力を入れている影響か、ベールの動作などは若干チープさが感じられます。この点に関しては18ステラの方が重厚感・高級感があり、1つ1つの動作にノイズがありません。「軽さよりも道具としての完成度を優先したい」という方には18ステラがおすすめです。フラッグシップモデルとしての高級感は、もう少し欲しかったところでしょうか。
18イグジストLT4000-CXHが向いている人
18イグジストLT4000-CXHは、「軽さを優先しつつも、安心できる剛性が欲しい」という方におすすめのリールです。4000番ながら205gという軽さと、タフデジギアや金属製モノコックボディによる剛性の高さがバランス良く両立しています。価格は決して安くありませんが、満足度の高い釣りが楽しめるかと思います。
18イグジストLT4000-CXHが向いていない人
「軽さよりも重厚感や高級感が重要」という方や、「コストパフォーマンスが第一」という方にはおすすめできません。先程触れたように、道具としての完成度は18ステラに軍配が挙がりますし、タックルバランスを考えるとロッドにもコストをかける必要があります。軽さだけなら、20ルビアスのようにミドルクラスでも良いものが見つかりますし、コストパフォーマンスは低めです。
軽さと強さは最上級だが、チープな部分も
今回はダイワのフラッグシップモデル、18イグジストLT4000-CXHについてインプレッションしました。2015年の前作から大幅な変更が加えられ、LTコンセプトとして非常に完成度の高いモデルになった印象です。ベールの動作など、チープさが目立つ部分もありますが、「剛性に安心感のある軽いリール」を探している方には最適の1台です。