ダイワのレバーブレーキ式リール 24インパルトを買った! 満を持して実釣レビューします。
作成:2024.12.17更新:2024.12.17
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2024年10月、ダイワのレバーブレーキ式スピニングリール、インパルトがモデルチェンジし、24インパルトとしてデビューしました。前モデル、20インパルトと比較すると、全く違うモデルと言って良いほど、進化を遂げています。この度、24インパルト 2500XH‐LBDを予約購入し、3回ほど地磯フカセ釣りをしてきましたので、レビューを書き記したいと思います。
24インパルト 2500XH-LBDを購入した理由
私は、小学校3年生で釣りを始めて以来、タックルにはお金を掛けない主義で、単品で2万円を超えるタックルは、リール、ロッド、クーラーボックス、ウエア類まで含め、何ひとつ保有しないまま半世紀近く過ごしてきました。
若い頃はそれこそいろんな釣りに手を出しましたので、あらゆる釣りができるよう、安いタックルをたくさん保有していました。しかしここ数年はほぼ地磯フカセ釣りに特化していますので、少しずつフカセ釣りのタックルにお金をかけるようになってきました。それでも、ロッドはダイワのインプレッサ(ガイドモデル)を1号、1.25号、1.5号の3本(それぞれ1本2万円程度)、リールはダイワの18レガリス、21フリームスといった、実売8千円~1万5千円程度の安価なものを使用していました。
しかし、フカセ釣りばっかりやっていると、たまにはそこそこ大物がかかるようになってきます。すると、細いラインの仕掛けでは竿を伸されてしまい、魚を獲れなかったことが何度かあったため、レバーブレーキ式リールの必要性は感じていました。しかしながら、なかなかお高いので決心がつかずにいました。
24インパルトが発表された後、型落ちの20インパルトを安価で購入しようかとも思いましたが、24インパルトがフラッグシップ機の22トーナメントISO LBDと同じZAIONモノコックボディに進化していたため、思わず予約注文を入れてしまった次第です。番手については、自分のフカセ釣りのシーン(地磯での口太メジナ、クロダイ専門、キャッチ&イート)に最もマッチしていると思われる、2500XH-LBDを選択しました。メーカー希望小売価格は68,100円ですが、私は予約価格59,928円で購入しました。
24インパルトのスペック
24インパルトには、前モデルの20インパルト同様、4つのモデルがあります。
競技LBD
ダイワ
まずは24インパルトの旗艦モデル、競技LBDから紹介します。ダイワのレバーブレーキ式スピニングリールとしては最速のギア比7.6:1、ハンドル1回転当たりの巻き長さ114cmを誇ります。時間との闘いである競技のシーンにおいて、魚を根に潜らせず、スピード勝負に持ち込むためのモデルです。手返しの良さを追求するため、競技LBDのみ、ベールがキャスト後ハンドルを回すと自動で戻るオートリターン式を採用しています。ボディ、ローター、ハンドル、ブレーキレバーのすべてにZAIONを使用し、自重はシリーズ最軽量の240gとなっています。スプールはアルミ製超シャロースプールとなっており、ラインキャパはナイロン1.85号で150mです。手返し最優先のモデルですので、トーナメントに挑戦する方は競技LBD一択でしょう。
2500XH-LBD
ダイワ
2500XH-LBDは、ボディサイズは競技LBDと全く同じです。材質も競技LBDと同じくボティ、ローター、ハンドル、ブレーキレバーのすべてがZAION制となっています。ギア比が6.8:1、ハンドル1回転当たりの巻き長さは103cmとなっており、競技LBD同様、手返しの良さを追求したモデルです。ただし、スピードよりも確実な操作に重きを置いたモデルのため、ベールはマニュアルリターン式となっています。自重は245gと、競技LBDに次ぐ軽さを誇っています。スプールはアルミ製シャロースプールとなっていて、ラインキャパはナイロン3号で150mとなっています。付属のエコノマイザーをスプールに装着すれば、競技LBDと同じラインキャパ、1.85号で150mとなります。地磯、波止で様々な魚をターゲットにしたい方は軽さと強さ、スピードのバランスに優れた2500XH-LBDがおすすめです。
3000-LBD/3000XH-LBD
ダイワ
シリーズ最大モデルとなる3000番は、シリーズ最大のパワーを誇るローギアの3000-LBD(ギア比5.3:1、巻き長さ80cm)、スピード勝負にも強いエキストラハイギアの3000XH-LBD(ギア比6.8:1、巻き長さ103cm)がラインアップされています。どちらも沖磯のオナガやカンダイなどの大物狙い仕様となっており、ブレーキレバー材質、ハンドル材質はZAIONではなくアルミとなっています。また、ハンドルノブもダイワのレバーブレーキ式リール初の、ラウンド形状のEVAパワーライトノブが採用され、操作の確実性も向上しています。自重は260g、ラインキャパはナイロン4号で150mです。沖磯に乗ることが多い方、遠征が好きな方は迷わず3000番をチョイスすることをおすすめします。
前モデル・20インパルトからの変更点
ダイワ「20 インパルト 競技LBD」
先述の通り、24インパルトは、前モデルの20インパルトと比較するとまるで別モデルではないかというほどの進化を遂げています。その最大の進化は「ZAIONモノコックボディ」の採用です。簡単に言えば、フラッグシップ機である22トーナメントISO LBDと同じ構造になりました。
ZAIONモノコックボディの採用
ダイワ
モノコックボディとは、メインのボディフレームに機構部をマウントし、ボディカバーで蓋をしてビスで止める従来の組み立て方法とは違い、ボディとボディカバーが一体成型されたワンピース構造になったフレームに機構部をマウントし、エンジンプレートという大型のスクリューキャップで蓋をする、すなわち、ビスを一本も使わずにボディ内に機構部をマウントする構造です。写真の通り、モノコックボディには、各パーツを固定するためのビス孔スペースがありません。このため、同じ体積でもボディ内部の空間を広く取れるため、ハンドルを回す力をドライブシャフトに伝えるためのドライブギアの大口径化、肉厚化が可能となり、従来型ボディと比較し圧倒的なパワーを発揮します。また、ビスを使っていないため、防水性能も高まり、ビスの緩みに起因する機構部のガタの発生もありません。カーボン長繊維強化樹脂という、流動性、成形性の大変悪い樹脂材料を、射出成型の金型精度、成形条件のトライ&エラーの蓄積から見出した、ダイワ独自の成形制御術がなせる業と言えるでしょう。
ドライブギアの超々ジュラルミン化
モノコックボディの恩恵で、ボディ内部のスペースが広がったことにより、ドライブギアの大口径化(33mm→34mm)、肉厚化(5.5mm→6.2mm)を実現、さらにドライブギア材質もこれまでの高強度亜鉛から、トーナメントISO LBDと同じ、超々ジュラルミンによるアルミマシンカットタフデジギア+特殊表面処理品に変更され、パワー、耐久性ともにシリーズ最強となりました。
ブレーキシステムの強化
ダイワのレバーブレーキシステムは「BITURBO」で知られていますが、24インパルトでは、ブレーキパッドの材質を見直し、「BITURBOⅡ」として、耐摩耗性が大幅にアップしています。22トーナメントISO LBDをはじめとした、従来のBITURBO搭載機種では、BITURBOⅡへのアップグレードサービスを有償で実施しています。
ドラグ音の質向上
ドラグ機構のラチェット(爪)の形状を見直し、ドラグ作動時の大音量化と作動レスポンスが向上しています(従来のドラグ音と比較して音質が高めになっています)。
デザイン性の向上
競技LBDは、20インパルトのガンメタリック基調のボディに赤の差し色を使ったスパルタンなデザインを継承しましたが、それ以外のモデルは20インパルトとは180度カラーリングが変わりました。シルバーポリッシュのモノトーンとなり、エンジンプレートのレーザーカット部にブルーの差し色がさりげなく入っており、落ち着きの中にも闘志を秘めたデザインとなっています。2500XH-LBDのZAION製ブレーキレバーは濃紺の塗装が施されています。
実釣レビュー:剛性は非の打ちどころナシ!!
10月に購入し、3回ほど地磯フカセ釣りを行いました。ここからは、24インパルト 2500XH-LBDのレビューをしたいと思います。
ブレーキレバーの操作
レバーブレーキの操作性は少しだけ慣れが必要です。キャスト時や仕掛けを流している間は、ブレーキレバーはロック(ハンドルが逆転しない)しておきます。ブレーキレバーのロックは、人差し指で押して、「カチッ」となればOKです。このロック操作を忘れてキャストしてしまうと、高確率でバックラッシュが起こりますので、必ずロックを掛けてからキャストしましょう。
ローター逆転ロックの状態からわずかにレバーを引く(かすかにカチッと音がする)と、ロックが解除されます。この状態ではローターは正転、逆転どちらにも回りますので注意します(この状態は通常はリール収納時しか使いません)。魚がフッキングするまではローター逆転はロックの状態にしておきます。
魚がかかったら、人差し指でレバーを引きます。BITURBOⅡにブレーキ力は非常に強いのであまり強くレバーを引く必要はありません。レバーを引いたまま、ロッドが立っている間は通常のスピニングリールと同じようにドラグを駆使してやり取りをします。魚に負け、ロッドがまっすぐ伸されてしまった時だけ、握っているブレーキレバーを一瞬離し、ローターを逆転させてラインを出し、その隙にロッドを立てて体勢を立て直します。
ブレーキの操作感は、非常に軽い力でローターの逆転を完全に止めることができ、レバーのストロークも短かく、操作感は非常に良いと思います。ZAION製のブレーキレバーも握った時のたわみ感などは全くなく、強度は問題ありません。
ボディの剛性感
ボディの剛性感については全く非の打ちどころがありません。これまで使っていた18レガリス、21フリームスと比較しても一目瞭然の剛性感です。ドライブギアの大口径化と超々ジュラルミン製アルミマシンカットデジギア化が効いていると思います。この剛性の高いパワーユニットが、強靭なモノコックボディの中に高い精度でマウントされているので、当たり前と言えば当たり前でしょうか? とにかく圧倒的な剛性感が24インパルトの最大の進化点と言えるでしょう。
巻きの操作感
巻きのフィーリングは、このクラスのスピニングリールとしては標準的という印象です。ローターやスプールの加工精度が高いため、回転軸のブレによる振動や、オシュレート時のスプールのブレなどは全くないのですが、個人的にはもっとシルキーな巻き感、というかヌルヌル感というか・・・を期待していたので、そこまでではないなと思ってしまいました(個体差なのかもしれませんが)。
ドラグのフィーリング
24インパルトのATDは非常によくできたドラグだと思います。調整シロが非常に大きく、ドラグノブの1クリック単位で非常に細かい調整ができます。強くアワセを入れ、フッキングが成功した瞬間、ラインには大変大きな力がかかります。その際、アワセ切れというドラグが作動する前にラインブレイクが起こることがあるのですが、24インパルトのATDはラインに瞬間的な強い力がかかった時は初動が速く、ラインブレイクに至る前に「ジッ!」と作動しますが、ファイト中など、強い力がかかり続ける場面では、一定の力で安定的にラインを放出し、バラすことなく魚との距離を縮めて行くファイトが可能になっています。そのため、アワセ切れ対策で必要以上にドラグを緩めておく必要がありません。
24インパルトのATDでは、ファイト中のドラグ音が大きくなり、音域も従来のドラグと比較して高い音になっています。確実にドラグが作動しているという安心感と、「ピンピンピン」という、高音が脳を刺激し、ファイト時の興奮を演出してくれます。私は非常に気に入っています。
スプールの取りつけには慣れが必要
ひとつだけ難があるとすれば・・・スプールの取り付け、取り外しをするための、ドラグノブの中心にあるワンタッチスイッチの使い勝手があまりよくありません。スプールを外す時はいいのですが、取り付けるときが慣れるまでは厄介でした。ワンタッチスイッチを押しながらメインシャフトにスプールを差し込むのですが、スプールが一発で奥まで入り込まないのです。スプールをシャフトに刺してから、ワンタッチスイッチを押したまま少し回すと奥まで入り込むポイントがあり、そこでもう一度スプールを押し込むとカチッと固定される構造なのです。慣れればなんてことないのですが、最初は結構戸惑いました。
レバーブレーキリールは大物を掛けた時に威力を発揮する
いかがでしたでしょうか? 今回は、24インパルト 2500XH-LBDを購入して3回ほど実釣した状態でのレビューでしたが、正直、ロッドが伸されてレバーブレーキを緩め、ローターを逆転させてラインを出し、体勢を立て直すという場面にはまだ遭遇していません。メジナでいえば40cm級、クロダイでいえば50cm級の大物がかかった時にこそ、レバーブレーキ式リールが威力を発揮するということですね。
しかし、ZAIONモノコックボディ化され、ドライブ機構も大幅に強化された24インパルトは、レバーブレーキを使用しない場面でも従来モデルよりも大きなパワーがあり、スピニングリールとしての戦闘能力は格段に向上しています。フラッグシップ機の22トーナメントISO LBDに迫るスペックを実装し、満を持して登場した24インパルト、決して安い買い物ではありませんが、おすすめです!